ラフに描いても漫画はバズる。人気マンガ家・横山了一が語るSNS活用法

著者名安里 和哲

東京ネームタンクが主催する『マンガ新連載研究会』は多数のマンガの新連載作品をサロン会員で読み込むサロンです。

新しく連載の始まるマンガには、時代のニーズや最先端のアイディア、ヒットするマンガの要素が多く詰まっています。それを読み込むことで人気マンガの秘訣を探り、明日の人気マンガ家を目指して切磋琢磨するのがこの研究会の醍醐味です。

近頃は、SNS発の大ヒットマンガも多くあります。「マンガ家になる方法は商業誌に書くことだけじゃない」ということで、今回は人気マンガ家の横山了一先生をお招きして、作家・マンガ家原作者の架神恭介さんと東京ネームタンク代表・ごとう隼平さんが、「漫画家がSNSでメシを食う方法」について根掘り葉掘り聞き出しました。

なかなか外部には公開しにくい際どい話題も飛びだしイベントは大盛り上がり。SNSでバズらせる方法や「ブログはどれくらい儲かるのか」などの生々しい話、そしてSNS時代のマンガ家の処世術などなど、ぶっちゃけトークが2時間半に渡って繰り広げられました。今回はこのイベントのレポートをお送りいたします。


横山了一 プロフィール

2002年「週刊ヤングマガジン」から『熱血番長鬼瓦椿』で商業誌連載デビュー。

2015年、TwitterやPixivに投稿した『息子の俺への態度が基本的にヒドイので漫画にしてみました』が話題となり単行本として発売された。

商業誌で連載をするかたわら、SNSやブログ、Pixivなどのネットサービスを駆使して活躍している。

TwitterブログPixiv


Twitterへのマンガ投稿は憂さ晴らしだった⁉︎

すでに商業誌デビューしている横山先生はTwitterでも有利なのではないかと思いきや、そうでもないらしく、マンガを投稿し始めた時のフォロワー数は、2,000人くらいだったそう。マンガ投稿を続けた結果、フォロワーが91,000人まで増えたというので驚きです!

大きな野心を抱き、綿密な計画を立ててTwitterにマンガを投稿し始めたのかと思えばそうでもないようで、案外気軽に始めたそうです。

「初めてTwitterに載せたのがこれ。子育てでストレスがあったから描いたんですよ。なんで息子から理不尽な目にあってるんだろうと思って(笑)。それを知ってほしい、表現したいと思って描いたんです。」 仕事のきっかけになればという気持ちは、なきにしもあらず。 しかし「ただエッセイを描きたかったんです、憂さ晴らしみたいなもんですよ」という先生の言葉からは、とにかくマンガが好きだという純粋な気持ちが伝わってきます。 この《憂さ晴らしマンガ》は結局28,000リツイートされ、ある出版社から「前から声をかけようと思ってたんです!」と電話がかかってきたそう。 このマンガはのちに『息子の俺への態度が基本的にヒドイので漫画にしてみました。として書籍化されます。 Twitterでのバズが仕事の呼び水になる可能性は十分にあるようです。

トレンドを捉えラフに描け!

Twitterにマンガを投稿する時に意識していることは「ラフに描く」、「トレンドを捉える」の2点だと横山先生は言います。 Twitterでは「下手でも内容がおもしろいマンガが拡散される」そう。ちなみに作り込んだマンガはPixivやブログではウケるようです。 横山先生はTwitterでバズらせるため、トレンドを意識しています。 例えば北朝鮮によるミサイル発射でJアラートが鳴った日、横山先生はミサイル発射から約2時間後に、風刺マンガを描きあげています。

このスピード感に会場からもため息が漏れました。

「使命感があったんですよ。自分が思いついたことは他の人も思いついてるから、誰かに先にやられちゃう前にやろうって思って描いたんですよ。」

「ネタを寝かせて置いてその間に誰かに先を越されるのがイヤだから、トレンドニュースを誰よりも早く、そして美味く料理できることを見せたかった。」

先生のマンガに対する情熱の一端が垣間見えるエピソードです。

横山先生の語りの端々から感じられるのは「好きこそものの上手なれ」ということ。

Twitterが好きだからこまめにタイムラインをチェックする。そうすると自然にトレンドがキャッチできる。マンガを描くのが好きだから本業が終わった後の疲れた時でもTwitter投稿用のマンガが描ける。

マンガを描くことを愛しているから横山先生はマンガで成功している。

「描きたくない時は描かなきゃいいんじゃないですかね」という言葉は、マンガ家を目指す人々を突き放しているのではなく、「あなたはどれだけマンガを愛しているんですか?」という問いなのでしょう。

ヘタでも楽しいポジティブなマンガがバズる!

横山先生の分析によれば「拡散されるツイートは《共感》か《驚き》(あるいはその両方)を持っている」のだそう。

あるあるネタで共感を得てリツイートボタンを押させる。あるいは「こんなことがあるのか!」と驚かせて思わずリツイートさせる。共感か驚きを駆使して人々の感情の琴線に触れるマンガがツイートできれば、おのずと拡散され、フォロワーも増えていくようです。

口でいうのは簡単だけど、実行するのは難しい……という声も聞こえてきそうですが、「Twitterは残機無限のゲームみたいなもの」だと言います。ネタを思いついたらすぐに描く。何度失敗しても、痛手を負うことなくチャレンジできる。それがTwitterの良いところです。

「僕はラフなものしか載せてないので(Twitter投稿用のマンガにかかる時間は)5分とか10分です。僕は割り切ってるので、ラフなもの載せてウケたものとかを連載作品に清書して載せてるんですよ。Twitterには完成原稿は上げてないです。」

たくさん描いていくことで、自分のどこが読者にウケるのかがだんだんと分かる。そうやって共感と驚きを駆使できるマンガ描きになれるのかもしれません。

「人によるかなとは思うんですけど、僕は何がどれくらいウケるかっていうのを調べようと思って、好きなように載せたんですよ。もともとエッセイが手堅いかなっていうのは嗅ぎ取ってたので、とにかくいろんなエッセイを載せてました。」

マンガ新連載研究会

 

横山先生はTwitterを自分のマンガを公開する場だけでなく、どういうマンガがウケるのかを調査する場としても捉えています。

「簡単なものですけど、伸びたものは(データを)書きとめてます。RT数を、初日、2日目、3日目と書き留めて、どれくらい伸びたかを見ます。それによってフォロワーがどれくらい伸びたかもチェックします。」

こういった地道なデータ検証が次のヒットマンガにつながっていくのですね。

Twitterは発表の場であると同時に、読者のリアルなリアクションを得られる調査の場にもなっているようです。

「SNSでは自分が嫌いなものを描いてても伸びない。下手でもおもしろい・楽しいっていうポジティブなマンガが拡散されていく」

はじめのうちは変に考えすぎず、自分が好きなものを好きなように描きまくることも大切なのかもしれません。

商業誌一本では難しい時代 マンガ家も収入を分散させよう

横山先生はTwitterをチャレンジや調査の場として利用しながら、Pixivやブログにもマンガを投稿しています。ブログのアフィリエイトでは家賃をまかなえるほどの収入があるそう。

「ライブドアブログとかアメブロは、エッセイブログだと公式化されやすい。僕は1年くらい頑張ったらライブドアの方で公式にさせてもらって。そうすると取り分が増えるんですよ。それまでは月1〜2万だったんですけど、公式になってからは家賃くらいにはなりましたね。」

《オタク×戦国時代》という斬新な設定がウケTwitter上で話題となった『戦国コミケ』は、出版後「Twitterに上がっていたラフなバージョンの方が良い」というファンの声に後押しされて、同人誌『戦国コミケ 原書』として夏コミで頒布されました。

ちなみに『戦国コミケ』の出版元である角川の場合、「権利関係とかその辺はけっこうオッケーなんで、一言言っておけば大丈夫です」とのこと。

Twitterのやつを52ページでまとめて、千部刷ったら全部売れました。増刷もしたんですけど。単価500円で、売り上げは50万くらいです。あの場で500円だと意外と払ってくれるんですよね。また作ります。」

これからのマンガ家は商業誌一本だと稼ぎづらい。

「商業一本って難しくなってる。稼ぎづらくなって来てると思うので、(収入源は)分散して、同人が売れる人は同人がっつりやりながら商業やればいいし、エッセイ得意だったらブログ立ち上げて広告収入を得る。僕はやってないですけど、noteも軌道に乗ると良い収入になるって聞きますね」

フリーランスであるマンガ家が収入源を分散させるのは、リスク管理としても理にかなっています。また、自分がどこでウケるのか試す上でも、SNS、ブログ、noteなど、さまざまなネットサービスに自分のマンガを投稿することは重要なようです。

『マンガ新連載研究会』でマンガ家への一歩を踏み出そう!

今回のイベントはSNSを活用してマンガ家として活躍している横山了一先生をお招きしてがっつり2時間半、さまざまなエピソードを交えてもらいながら、マンガ家がこれからの時代を生き抜く方法を教えていただきました。

横山先生には、サロン会員の質問にも熱心に答えてくださり、イベントは盛況のうちに終わりました。

今後も多彩なゲストをお招きしたイベントが開催される予定の『マンガ新連載研究会』。

今回紹介した特別講座を含む過去の特別講座も、入会することで全編を動画試聴することができます。

SNS時代の人気マンガ家になりたい人はもちろん、商業誌でバリバリ活躍したい方々も、ぜひ『マンガ新連載研究会』に参加してみてください。

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