直前予習!秋田豊が日本代表を大解剖! 勝つ確率を上げる為に必要なこととは

著者名横山由希路
直前予習!秋田豊が日本代表を大解剖! 勝つ確率を上げる為に必要なこととは

Jリーグが発足した1993年にプロサッカー選手になって以来、”常勝”鹿島アントラーズのセンターバックとして不動の地位を築いた秋田豊さん。

日本代表にも選出され、1998年のワールドカップフランス大会ではDFとして全試合出場。2002年の日韓共催大会でも、当時のトルシエ監督に「チームをまとめるために必要なベテラン選手」とラブコールを受け、サプライズ選出されました。

秋田さんは、現在、テレビ東京『追跡LIVE! Sports ウォッチャー』や日刊スポーツのサッカー解説者として、記者に混じって取材を続けています。国内外のサッカーの試合を日々ウォッチングする中で、ワールドカップ2ヵ月前に突然の監督交代劇を演じた日本代表は、秋田さんの目にどう映っているのでしょうか。

折しも取材日は、西野朗監督が本大会に進む23人の代表メンバーを発表した翌日。ガーナ戦の惨敗もあった中、秋田さんにワールドカップの展望について伺いました。

試合の苦しい時に、メンバー交代で大きな変化を与えることができない人選

-5月31日に西野朗監督からロシア大会に進む23人の日本代表選手の発表がありました。率直にご覧になって、良かった点と課題を教えてください。

良かった点は、海外でプレーをする経験豊富な選手が多いことです。常日頃から世界のトップクラスの選手とプレーをしているので、相手のスピード感やプレスの圧力、技術を目の当たりにしても、プレー中の驚きや緊張感はそれほどないと思います。物怖じすることなく戦えるはずです。

課題はいくつかあって、1つは世代の問題があります。今回のロシア大会は27〜29歳の選手が多く選ばれていますが、次のワールドカップで彼らはほとんど選ばれません。今大会を経験した若い選手は少ないため、「実際に肌で感じたワールドカップ」について選手間でなかなか共有できない。すると、次のカタール大会で勝つことが難しくなってきてしまう。若い選手たちがもっともっと代表に入らないといけないと思います。次世代に向けた発信の少ないメンバー発表ではありましたね。

-もう1つの課題についてはいかがでしょうか。

チームが苦しい時に、選手交代で大きな変化をもたらすことがしづらいメンバー選考になっていると思います。変化を起こせる選手とは、何か1つ飛び抜けた武器を持っている選手です。たとえばFC東京の永井謙佑選手や浅野拓磨選手は、「足が速い」という武器を持っていますが、2人とも選ばれませんでした。

個人的には、FWは武藤嘉紀選手と浅野選手が落選して、ゴールやアシストといった得点に絡むプレイを増やすために久保裕也選手が入るのではと予想を立てていましたが、代表入りしませんでした。

 

-現在、代表入りしているメンバーの中で、期待できる選手を挙げるとするならば、どの選手ですか?

5月30日のガーナ戦にフル出場した川崎フロンターレの大島僚太選手(MF)です。彼はとにかくボールを取られない。1試合でのボールロストが1回あるかないかぐらいです。これくらいの確率でプレーできる選手は、なかなかいません。

彼のところにボールが行くと、奪われる心配がないので、見ていてもプレーの安心感があります。すると周りの選手は、自ずと動きやすくなる。必ず日本チームは大島選手を経由してボールが動いていくので、逆に相手に狙われやすくはなりますが、彼は相手をかわすだけの技術や判断力も兼ね備えています。

大島選手はあまり代表でプレーをしていなかった上に活躍の場がJリーグだったので、相手チームも他の日本代表選手に比べて研究が多少手薄になる可能性があります。これからの日本代表は、大島選手が中心になっていくと思いますし、期待したいところです。

日本代表がグループリーグを突破するには、まず頭の2戦

-前回大会も対戦をしている6月19日のコロンビア戦について伺います。MFのハメス・ロドリゲス、FWのファルカオと非常に個の強い選手がいて、カウンターが非常に速いのが特徴です。どうやったら相手の個性を消すことが出来ますか?

代表メンバー発表の会見で、西野監督はコロンビア戦で「自分たちでボールを持って攻撃的に行きたい」と話していましたが、これはおそらく外向きの発言であって、コロンビアを相手にしたら守備的な戦いながらカウンターを狙う戦い方にならざるを得ないと思います。

相手の技術やスピード感を消しながら、試合で何回かあるチャンスを狙う。これは南アフリカ大会で、岡田監督が采った戦い方です。

 

-相手の技術やスピード感の消し方について、もう少し詳しく教えてください。

ハメス・ロドリゲスとファルカオのホットラインは、互いを見ていなくても阿吽の呼吸でピンポイントにボールを出して、ゴールまで持っていくことができます。この2人は常に縦の関係で動くので、日本のDFがラインコントロールをして、2人を横の関係にしてDFラインで吸収してしまうことです。日本のDFラインを上げると、ファルカオはオフサイドポジションだから下がらざるを得ない。相手を下げさせながら、同じような高さで吸収する必要があります。日本が3バックで戦うにしても、DF3人で2人を見る形になり、ギャップが作りにくくなるわけです。

 

-6月24日のセネガル戦について伺います。セネガルはプレミアリーグで活躍する選手がごっそりと代表入りしています。特にFWのサディオ・マネ選手を、秋田さんはDMMオンラインサロン『秋田豊が日本代表を大解剖!』でも非常に褒めていらっしゃいました。

マネ選手はスピードだけでなく、ドリブル、背後に走るタイミング、ミドルシュートも上手いです。動きが非常に速いので、吉田麻也選手は並んだら多分置いて行かれます。ゴール前のこぼれ球に対する反応も素晴らしいです。彼が持っていないのは、高さだけです。

 

-彼に高い位置でボールを持たれないようにするには、どうしたら良いでしょう?

まずマネ選手の良いところを消すには、私なら彼に前を向かせないように、わざと足元にボールを受けさせるようにします。足元にボールを受けさせて、前を向いた瞬間にDFが狙う。またはマネに向けたボールの出し手のところのプレスを徹底する。

あとマネ選手と対角の左サイドのFWケイタ・バルデ・ディアオ選手も、非常に怖いです。パスも出せますし、得点力もあります。

セネガルはすべての選手の身体能力が高く、かつ組織的なプレーをします。でも試合途中でだんだん組織的に戦えなくなるのがアフリカ選手の特徴なので、相手のポジショニングがアバウトになってきた時に、チャンスが生まれます。そこを柴崎選手や大島選手がいかにして突けるのか。そこがセネガル戦の1つのポイントになると思います。

レヴァンドフスキ選手は世界3本の指に入るストライカー。やっぱり怖い!

-最終戦の6月28日、ポーランド戦について伺います。FWのロベルト・レヴァンドフスキ選手、アルカディウシュ・ミリク選手がいずれも長身で190センチ近くあります。

レヴァンドフスキ選手を中心にしたチーム作りをしています。困った時には必ずレヴァンドフスキ選手にボールを集めるので、とにかく彼に自由を与えてはいけません。彼は得点パターンが多く、普通ならヘディングで落とすところを、胸でトラップしてシュートを撃ってきたり、スルーパスからのシュートもできますし、相手のDFを背中に受けながらボールを受けて、サイドに散らしてから敵の背後に出てゴール前に行くこともできます。世界の3本指の中の、1・2番と言ってもよいストライカーです。

彼のすごさを感じたのは、ポーランドが仮想日本戦として組んだ3月の韓国戦のテストマッチです。韓国の選手が2人がかりで抑えに行っても、彼は点を取ってしまいます。2人のうちの1人が、FC 東京で韓国代表のチャン・ヒョンス選手だったのですが。レヴァンドフスキ選手にボールを出させない、サイドからクロスを上げさせないというのは、まず徹底的にやらないといけないことですね。

逆に彼にボールが入らなければ、ポーランドの攻撃力はぐっと下がります。レヴァンドフスキ選手にボールが渡る前からプレッシングをして、高いポジションでサッカーをする。相手をゴールから遠いところでプレーさせるのも作戦の1つなのかもしれません。

 

-日本代表が高いポジションでサッカーをする作戦をおっしゃったのは、なぜですか? 

日本にとって、レヴァンドフスキ選手が脅威なのは、先日のガーナ戦を例に取ると、彼と競れるのは吉田麻也選手しかないからです。そういう意味では、長谷部選手と槙野選手では難しいと思います。

ですので、私は吉田選手を真ん中にして、昌子源選手と植田直道選手での3バックを提案したいです。吉田選手と植田選手ならば、レヴァンドフスキ選手となんとか競り合えるのではないかと。そうすれば植田選手の速さなどの長所も出て、成長も見込めるでしょうし、日本代表も乗ってくるのではないのなと思います。

崖っぷちの日本代表に今、必要なこと

-現在の日本代表は大会2ヵ月前に、監督解任劇があり、西野新体制になってテストを重ねる場がなかなかない、危機的な状況です。以前、秋田さんのインタビューに「サッカーは上手いから勝つわけではない。試合に勝ったチームが強いんだ」というコメントがありました。勝つために、日本代表は何が必要だと思いますか?

まず全選手が同じ方向を向くことが大事ですね。日本人と相手選手だと体格も大きく差があります。ポーランドに至っては、平均身長が日本と10センチぐらい違います。そんな過酷な状況下では、チームとしてどうやって戦うのかが大切です。

誰か1人でも違う方向を向いていると、勝利は厳しくなります。同じ方向を向いて戦い、同じ戦術で、同じタイミングで守備をして攻撃を仕掛ける。日本人の良いところでもある連動性を発揮することで、勝つ確率は上がってくると思います。

守備的に戦って1-0のロースコアで勝っても、ワールドカップの歴史に日本の名を刻むわけであって、決して恥ずかしいことはありません。それが2試合続けば、予選突破ができると思いますし、それを僕は望んでいますね。

 

インタビュー時の飲み物を頼む際に、「ビール!」とボケて、スタッフを笑わせてくださった秋田さん。

6月30日まで、期間限定のオンラインサロン『秋田豊が日本代表を大解剖!』を開き、一般のサッカーファンとクローズドで密な交流をしています。

オンラインサロンではサロンメンバーの質問に対して、秋田さんが直接コメントをすることもあります。日本代表戦の前にはどこよりも早く見どころや予想を教えてくださるそうですので、ぜひサッカーファンならずともサロンを覗いてみてください。

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