ふじいあきら&ゆうきとも 現役マジシャン二人が今、本当に伝えたいこと

著者名CANARY 編集部
ふじいあきら&ゆうきとも 現役マジシャン二人が今、本当に伝えたいこと

自称「口からトランプを出すタイプのマジシャン」としてお馴染みのふじいあきら氏と、マジックに関する著作や教材監修も多数、頭脳派マジシャン・ゆうきとも氏が、マジックの疑問や質問にその場で答えてくれるマジックレクチャーサロン「monthly Magic Lesson Online」。今回は、このオンラインサロンについてお二人に突撃取材。クスッと笑える話術はそのままに、しかしお二人のマジックにかける想いは、(マジックだけに)マジでした。

monthly Magic Lesson Onlineにかける二人の熱い想い

―― monthly Magic Lesson Onlineを語る上でまず、ゆうきさんが実演・解説されてる冊子+DVD「monthly Magic Lesson」(http://www.magiclesson.biz/)の存在があると思います。マジックの教材として160号近く継続しつつ、映像込みでここまで長く・詳しくやるメディアは珍しいのでは?

ゆうき 多分、ギネス級だと思います。こんな馬鹿なことをしてる人は他にいない(笑)。月刊誌で14年目なんですが、こんなに続くとは思ってなかったですね。長くやっていると、どうしてもマニアックな内容になってしまいますが、雑誌的に常に新規の方にも楽しんでもらえる内容も散りばめつつ展開してきました。それは「monthly Magic Lesson Online」にも言えることですが。

 

――オンラインの生放送では、ふじいさんとの掛け合いがまた面白くて。

ふじい 企画にお誘いいただいたとき、このインタラクティブな試みは個人的にも面白いと思いましたね。それに、業界への恩返しといったらおこがましいんですけど、僕たちは、まだネットもそこまで普及してなかった頃、ゴールデンタイムに半年~1年出れば全国区で名前を覚えてもらえた最後の世代です。今は若年層を狙ってYouTuberになるとか、地上波を狙って高齢者を狙うとか…部分的にしか狙えない状態。そんな後進やマジック業界全体のためにも何か役に立てたらという気持ちもあります。

 

――現在、オンラインサロンでの配信をVol4までやられて、手応えはいかがですか?

ゆうき やっぱり直に反応があるのは、やりがいや可能性を感じますね。僕も元々そうなんですけど、皆さん基本シャイじゃないですか。そういう意味で、コメントで質問を募るこのラフな感じは丁度いいのかなと。

ふじい 僕たちも皆さんと同じように試行錯誤していて、何回も同じところを回るんですよ。ただ、それは自分の感覚だけでやっているので、最初から自分で出来ている部分は、教えようが無い。質問がありがたいのは、皆さんから質問を貰ってようやく「ここがわからない」というのがわかるというか。

ゆうき 確かに。例えば、高度な質問が来たとして、我々はその前提をすべて知っているものと考えがちなんですけど、意外とここが抜けているのかと驚くことも多いです。

ふじい それは情報が多すぎる弊害だとも思っていて。僕らがマジック始めた頃は情報が少なかったんで、書籍で調べたり想像したりした後、色々なマジックの名人を捕まえては見せてもらって、ようやくわかった!という学び方が多かったんです。だから、前提が抜け落ちるのは考えられないんですよね。ただ、今はやり方だけなら動画で誰でも直ぐ見れてしまう。例えば、いきなり皆、真剣を持ち始めるけど、木刀って何?竹刀って何?という感じの人も多く、どこか危うさも感じています。

――前提といえば放送中、お二人はそのマジックを誰が発明したか? いわゆる”原典”をしっかり出されるのが印象的でした。

ゆうき そこを感じてくださるのはありがたいです。マジックが文化として未成熟なのは原典や歴史が不明瞭だからだと思っていて、意識的に発信するようにしています。今は情報が溢れていますし、やり方だけならいくらでも知ることができる。ただ、趣味レベルだとしても、せっかくマジックを学ばれるなら、ある程度の基礎や歴史を知って欲しくて。だって音楽やるのに、ビートルズを知らないっていうのは無いじゃないですか?

ふじい 原典を率先して伝えたい気持ちは同じです。音楽とか、写真とかって著作権というのがあるじゃないですか?マジックのアイデアにはそれが無いんですよ。

ゆうき 守られていないんですよね。先人が培った秘密が漏れるのは仕方ないとして、誰が最初に作ったか?いわゆるクレジットですよね。そこは明確にしておきたい。実際、僕らもマジックを作りますし、勝手にそれを我がものとして発表されては困るんです。最低限の道徳的な部分というか…、そこは見本にならないと、という想いがあります。

 

――ルーツを大切にされるのは共感が持てますし、よりマジックへの興味も深まりました。

ふじい 嬉しいですね。CDやDVDをコピーしたら捕まるんですけど、マジックの場合それが無いんです。だから無法地帯になりかけていて。

ゆうき そもそもマジックは、アイディアのコピーに関する取締り自体が難しいんです。音楽は比較的守られていて、文章なんかも、有名な人が誰かのをパクったりすると話題になるけど、それ以外の分野でも話題にならないだけでパクりは多々存在する。そこを徹底するのは不可能に近いくらい難しいことです。

マジックを始める前に気をつけたいこと

――これからマジックを始める方に対して、これは気を付けた方がいいということはありますか?

ふじい マジックを覚えると、皆さんまずやりまくっちゃうんですよ。やりすぎて「あの人、手品さえやらなければ良い人なのに…」っていう状態になりがちで。僕は暗黒面(ダークサイド)に堕ちるって言っているですけど(笑)。

ゆうき 初回は誰も期待してないから、ビギナーズラックが起こる。しかし、2回目以降は決してそれを超えられないんですよ。超えられる人はそこから真面目にマジックを学ぶ人で、たいていは初回1分でウケていたのが、ウケないから5分になり10分になり、やがて…。

ふじい マジックって劇薬なんですよ。力がありすぎて、取扱いを注意しないと負の方向にも振れてしまう。その点で、気をつけるべきはどこか?というのをこのサロンでは徹底的にやりたくて。

ゆうき そこをしっかり押さえたいというのは2人の共通認識です。そもそもマジックって見る側はタネも仕掛けもわからない。下手すると、見ている人を馬鹿にしていると思われかねない危険もはらんでいます。だからこそ、”見せてやる”という考えは駄目だと教えるのですが、これまたマジックが少しできるようになると、自分が特別な力を得たと勘違いしてしまい、やはり暗黒面に堕ちがちで…。

ふじい ネタについても、より難しい、不可能な設定であるほどウケると思いがちですけど、それは間違いで。我々はToo Perfect(トゥー・パーフェクト)と呼ぶんですけど、例えば、急に昨日食べた夕食を当てられても、気持ち悪いだけじゃないですか? 完璧すぎて「この人、世界征服できるよ…」みたいな恐怖を与えては逆に駄目で、「この人、もし本物でも害はないかな?」くらいで抑えておかないと、見ている方の感情がエンジョイの方向にいかないんです。

ゆうき そのために現象(驚きの具合)をあえて落とす調整をしたりね。マジック自体の構成力もまた重要です。例えば、現象の不思議さが突出していて10点稼げるとしても、それをやるためにリスクを犯して20点マイナスになったら意味がない。そんな身の丈にあわないことはやるべきではないです。

ふじい 構成は大事ですね。例えば”モテる方法”みたいな、マニュアルものってあるじゃないですか? あれに書かれていることって「モテる=嫌われる要素を徹底的に排除する」ということが多分、本質ですよね。マジックもこれさえあれば絶対OKというものは無く、いかに細かい駄目なところを徹底的に排除していくか。それが唯一、完成に近づく方法だと思っています。

ゆうき ほかに気をつけることと言えば、マジック自体は成功しても、前段階の説明が足りなくて「で? これは何がやりたかったの?」と観客が置いていかれている例も多く目にします。あまりネガティブなことばかり言い過ぎ出ても良くないですが(笑)。逆に、この「どこを驚いてほしいか?」さえ上手に誘導出来れば、あとはご自身に似合ったマジックをすれば良いだけで。そこは質問などいただければ、一緒に親身になって考えたいところです。

正しく学べば、マジックほど強力な武器はない!

――実際、お二人は生放送での質問にも、ものすごいディティールで答えられるじゃないですか? マジックを披露する場所、人数、持ち時間などで、ガラリとアドバイスも変わるし、つまりそれだけ正解という正解が無い。そこがマジックの奥深さでもあるのかなと思うのですが。

ふじい 逆にこれだけの奥深さがあるからこそ、大人が真剣に学べる趣味にもなれるんです。上手く自身を抑制して、正しくマジックを学ぶと、本当に人生が変わると思うんです。ぶっちゃけ僕、どんな場所でも口からトランプを出すと馬鹿ウケなんですよ。ほぼ滑らない。ここに来るまで苦労もしましたけど、マジックを正しく学ぶと、これに近いところまで皆さんも来られますよ。

ゆうき 一方で目の前に地雷を埋めて、自分で踏むようなこともあるのがマジックで(笑)。なるべく使いやすい、間違いのない武器を得てもらいたいですが、その辺の本質は意外と誰も教えてくれない。

ふじい 教える側も、基本的にその辺の真髄は隠しておきたいんですよ。でも有料のコンテンツだからこそ、サロンでは色々とオープンに話せていて。現役でマジックやっている2人のナマの部分が覗けると思います。

ゆうき 最初に言った通り、新規の方が観ても楽しめるように作ってますし、20年30年選手にも何かしらの発見がある内容も散りばめています。きっと今持ってらっしゃるイメージとは、ちょっと違うマジックの世界をお伝えできていると思いますので、ぜひ覗いてみて下さい。それに良い悪いは置いておいて、どんな質問をいただいても、答える自信はあるし、それに伴うテクニックと経験はあると自負してますので。

ふじい まだテーブルマジック自体が知られてない時代から、レストラン、バーなど、ここに書ききれないほどの現場を二人とも経験していますからね…(遠い目)。

ゆうき 普通はタネや仕掛けを教えておしまいですが、僕らはそうじゃないところもフォローしていきたいです。本当こんなこと聞いていいの? という細かいものでも、なんでも答えられると思いますから、遠慮せずご質問下さい。

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