AIとベーシックインカムが日本を変える!現状を打破するために必要なこと

著者名山岡ソースケ・リホ

インターネットやスマートフォンに代表されるIT革命は、世の中の仕組みや私たちのライフスタイルを大きく変化させました。そのスピードはAIやロボット、AR/VRなどによってさらに加速し、もはや「シンギュラリティの時代」に突入していると言えます。

しかし一方で、これらの技術を日本の企業が活用できているとは言い難く、1人あたりのGDPも伸び悩み停滞感が漂っています。そのような現状を打破し、イノベーターとしてより良い社会を作りたいと考える人が集うのが、オンラインサロン「Singularity Society」です。今回は、起業家でエンジニアのサロンオーナー・中島聡さんが主宰するサロンイベントを取材してきました。

AIによる「第四次産業革命」が起きる世界で

今回のイベントでは、駒澤大学の井上智洋教授を迎えて「AIと日本経済」について対談。井上教授は、大学時代にコンピュータサイエンスやAIを研究していた経済学者です。中島聡氏がたまたま井上教授の書籍『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』を購入したことがきっかけで、今回の対談が実現しました。

現在は第四次産業革命の真っただ中だと井上教授。第一次産業革命は蒸気機関、第二次は内燃機関と電気モーター、第三次はコンピューターとインターネット、そして第四次はAIとビッグデータがカギを握ると語ります。これらの革新的技術を発展させた国がその時代の覇権を握ってきているという歴史から、第四次産業革命では中国がその地位に立つのではと予測します。

 

中島:バブル崩壊後に日本は失われた20年を迎えました。それ以降、アメリカは1人あたりのGDPが伸び続けているにも関わらず、日本はほとんど伸びていないですよね。井上先生のおっしゃる、AIを導入して経済成長する国としない国が出てくる「第二の大分岐」という考えは非常に納得できるのです。

井上:かつて日本はアメリカのGDPを抜いたことがあります。しかし今はアメリカの成長率が2%、日本はたったの0.9%です。

デフレマインドが日本を停滞させる

中島:日本が停滞している理由は、経営層がIT技術を全く理解していないからだと思うんですね。たしかにアメリカの企業にもそういった経営者はおり、ダメになっている企業はたくさんあります。その代わり、GoogleやApple、Facebookのようにテクノロジーを有効活用して急速に台頭する企業が出てきています。その新陳代謝が重要なんだと思います。

一方日本は、正社員を解雇しづらく大企業も国に守られているため、企業の新陳代謝が起きていないと感じます。井上教授はどう思われますか?

井上:おっしゃる通りです。その状況に加えて、日本ではデフレが続いているのも停滞の原因となっていると考えます。不況が続くと、人々が守りに入って冒険しない「デフレマインド」が染みついてしまうんですね。子どものなりたい職業も、安定しているからという理由で「公務員」が上位にランクインしているじゃないですか。

しかし、大学で学生を見ていると最近少しずつ変わってきたとも感じているんです。私のゼミ生にも起業したいという子が出てきて、知的好奇心が高くて新しい技術や知識を吸収したいという意欲の強い学生が増えてきました。

中島:そうなのですね。すでに「第二の分岐」は始まっているので、私たち一人ひとりが危機感を持たなければならないと思います。2030年に向けてジワジワと差が広がってきているため、今何をすべきか、このオンラインサロンでも考えてきたいのです。

インターネット黎明期の時代、大企業の人たちに「ネットを活用すべきだ」とさんざん申していましたが、結局何も変わりませんでした。だから、彼らの世代は見捨ててしまっていいでしょう(笑)。若い世代は少しずつ気づき始めているので、彼らを伸ばしてあげなければいけないと考えています。

井上:企業はもっと変人を囲うべきです。スティーブ・ジョブズも、アメリカのゲームメーカー・アタリでは変人すぎて協調性がなかったので、夜勤にシフトを変えてまで囲い続けました。変な経歴や性質を持った人も許容できる企業や社会にならなければ、圧倒的な成長は遂げられないですよ。

ベーシックインカムが社会を変える

中島:井上教授は収入の水準に関わらず一定のお金を支給する「ベーシックインカム」を導入すべきと主張されていますよね。私もそれに賛成なのですが、その財源はどのように考えていますか?

井上:そもそもベーシックインカムを導入すべきと考えている理由が、歴史的にお金の流れが悪くなると思い切ったことができなくなるという課題があるためです。日銀がお金を発行し、世の中にお金をばらまいてお金の流れを良くすべきなんです。

現在、日銀は金融緩和などに取り組んでいますが、それだと市中銀行がお金を貯めこみ、企業もお金を貯めこんでしまうので、我々一般市民にまでお金が回ってこないんです。なので、政府が家計に直接お金をばらまいて、お金の流れを変えるべきだと考えます。

財源ですが、「紙幣発行益」を元にすることが考えられます。紙幣発行益とはお金を発行する際に出る利益のことで、例えば1万円を印刷するには20円しかかからないので、残りの9,980円は誰のものなのか、ということなんですよ。

日銀が追加で発行したお金で企業の株を買うと、紙幣発行益は企業のものになります。それをベーシックインカムとして国民全員に与える方が、筋が通っているのではないかと考えています。

少子化対策や利権の排除にもベーシックインカムは有効

中島:ベーシックインカムを導入するとハイパーインフレが起こると言われていますが、それについてはどうお考えですか?

井上:経済学者の中にはその理論に懐疑的な人もいますね。ゆるやかに毎年2%ずつお金を増やし、ベーシックインカムとしてばらまけば、インフレも緩やかに発生すると考えられます。そもそも歴史上のハイパーインフレは、需要と供給のバランスが崩壊することで生じていました。戦争で生産設備を破壊されて供給が追い付いていないのに、とてつもないお金を発行してしまった、というイメージですね。しかし、今は供給が十分に耐えられる環境だと思います。また、経済学も進歩して対策も検討されているので、ハイパーインフレは起きないと思っています。

中島:子どもが多い家庭ほどお金がたくさんもらえることになるので、ベーシックインカムは少子化対策にもつながりそうですね。

井上:そうですね。現在、お金がないから子どもを作れないと悩んでいる人は非常に多いです。作ったとしても1人だけとか。なので、まずは子ども限定のベーシックインカムを機能させていくのも有効かもしれません。

中島:ベーシックインカムは所得や年齢に関係なく個人に配布するので、役所の手間もかからずコストの安い経済政策ですよね。でも、様々な利権で霞が関が反対しそうです。

井上:その可能性は大いにありますね。裁量権があると利権が発生し、パワハラなど不条理なことが横行してしまいます。そういった事態をなくすためにも、シンプルなベーシックインカムを導入すべきなのですがね。

中島:我々にまずできることとしては、ベーシックインカムなどこういったことを理解してくれる政治家を立てて応援することでしょうね。私たちもそういった理解のありそうな政治家にコンタクトをとり、地道に説得していかなければなりません。

オンラインサロンからベンチャー企業を興して

「ITを理解していない経営者のもとで、若い才能が埋もれてしまっている」と語る中島さん。しかし、経済や家庭的な事情から、すぐに会社を辞めて起業するという訳にもいかない人は多くいるはずです。オンラインサロン「Singularity Society」は、そういった才能を持った若い世代が起業までのお試し期間として、思う存分暴れられる場所として提供されています。

中島さんは、将来的にはインキュベーターとしてサロンで生まれたアイディアに投資をしていき、たくさんのベンチャー企業が興り旅立ってほしいと言います。

日本の閉塞感を打破したい。世界に通用するサービスを興したい。次世代の日本を背負っていきたい。そういった熱意のある方は、「Singularity Society」に参加してみてはいかがでしょうか。

【告知】Invent or Die – 未来の設計者たちへ 3: 中島聡×松本徹三

https://singularitysocity-iod3.peatix.com/

【11月9日(金)15:00 優先受付開始】

90年代の初めのバブルの崩壊から始まった日本の「失われた10年」は今世紀に入っても続き、今や「失われた30年」になろうとしています。その時期と、パソコン・インターネット・スマートフォンによる社会の大変化の時期とが重なっているのは偶然ではありません。

バブルのピークだった1989年には、世界の時価総額ランキングのトップ10に、NTT、興銀、住友銀行、トヨタ自動車、東京電力など日本企業7社が並んでいました。しかし、2018年のトップ10からは日本企業は消え、Apple、Amazon, Microsoft, Alphabet/Google、Facebook、Alibaba、Tencent など、テクノロジーを活用してビジネスをしているグローバル企業ばかりが並んでいます。

 

つまり、パソコンやインターネットが普及し始めた1990年代を境に、世界経済の仕組みは大きく代わり、その変化を自ら作り出した米国や中国のテクノロジー企業は大躍進し、戦後の高度成長期に作られた、終身雇用、年功序列、新卒の一括採用、経営陣から構成される取締役会、護送船団方式、経団連、天下り、などの仕組みが大きな足枷となった日本企業は、国際競争力が大きく低下してしまったのです。

技術のさらなる進化によりもたらされる社会が、「暗いもの」になるのか、「明るいもの」になるのか」は、結局は人間次第なのです。それを「明るいもの」にするための努力は今のうちからスタートすべきだし、そこにビジネスチャンスも生まれるのです。

今こそ、デジタル・ネイティブな世代の若者が立ち上がり、テクノロジーを操り、シンギュラリティの時代にふさわしい起業家として次の時代の日本、そして世界を背負っていかなければなりません。

シンギュラリティ・ソサエティは、そんな「未来の設計者」たちを支援するために、「Windows 95を設計した日本人」として知られる中島聡と、「世界初のモバイルインターネット i-mode を世の中に送り出した男」として知られる夏野剛が発起人として設立した NPO です。

今回は、「Invent or Die – 未来の設計者たちへ:3」と題し、ソフトウェアエンジニアである中島聡と、半世紀以上にわたり、世界のITビジネスの最先端で巨大企業の経営に携わってきた松本徹三氏が、「AIの真髄」に対する正しい理解にとどまらず、シンギュラリティに達した「究極のAI」に対し、私たち人間に突きつけられる向き合い方の選択についてまで、グローバルな観点から議論します。

<キーワード>

AIが神になる、BS(Before Singularity)、AS(After Singularity)、AI政府、科学と宗教、理想的な共産主義、哲人政治、ベーシックインカム

イベント概要

・日程:2018年11月20日(火)

・時間:19時00分~22時00分(受付開始:18時30分)

・場所:サイボウズ東京オフィス カンファレンスルーム(東京日本橋タワー 27階)

・住所:東京都中央区日本橋2-7-1

・URL:https://office.sumitomo-rd.co.jp/nihombashi/

 ※入館方法はこちら

・主催:一般社団法人シンギュラリティ・ソサエティ

タイムテーブル(予定)

・18時30分:受付開始

・19時00分:開会

・19時05分:第1部:対談 中島聡×松本徹三(テーマ:AIは神になるのか(仮))

・20時30分:第2部:メディアレポート

・人工知能メディア/Redge.ai :飯野希氏(株式会社レッジ執行役員)

・自動運転メディア/自動運転ラボ:下山哲平氏(株式会社ストロボ代表取締役社長)

・21時30分:第3部:パネルディスカッション(テーマ:ASに向けてBSでなすべきこととは(仮))

・22時00分:閉会

・23時00分:完全撤収

中島聡 - Singularity Society - DMM オンラインサロン
中島聡 - Singularity Society - DMM オンラインサロンこのオンラインサロンは「新しい技術を利用してより良い世の中を作りたい」と考えている人々のためのコミュニティです。
lounge.dmm.com
  • CANARY オンラインサロンから、アイデアとヒントを。
  • DMMオンラインサロン

RANKINGランキングもっと見る

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5

KEYWORDキーワードもっと見る