本を作るのは、作家だけではありません。編集者、イラストレーター、校閲者、様々な人の力が集まってこそ、一冊の本になります。
テーマに沿った様々な本を、DMMオンラインサロン「まきむぅの手乗り文芸部」部員がセレクトする「文芸部員が選ぶ！」シリーズ。今回のテーマは「飾りたくなる綺麗な本」ということで、本のデザインを手がける装丁家のお仕事に注目したいと思います。
フランスには「ボウ・リーブル（Beau-livre／美本）」というジャンルがあり、デザインと印刷クオリティにこだわった美しい本はプレゼントの定番です。大切な人に、自分自身に、あなたも「飾りたくなる綺麗な本」選んでみませんか？ 早速ご紹介しましょう。
まるでステンドグラス！「カムパネルラ版 銀河鉄道の夜」
「銀河鉄道の夜」この単語だけで想像力が膨らみませんか？この本は、長野まゆみデビュー30年記念小説として執筆され、宮沢賢治の名作「銀河鉄道の夜」を、登場人物のカムパネルラ視点で語りなおすというもの。とはいえ、内容よりもまず目がいくのはその表紙です。
「銀河鉄道の夜」のタイトルを右に置き、カムパネルラと銀河鉄道を抽象的に描いた絵は 美しいの一言。箔がキラキラ光る仕様となっていて、さらに幻想的な雰囲気を際立たせています。まさに「銀河鉄道の夜」というタイトルのステンドグラスを絵にしたような一品です。
「銀河鉄道の夜」といえば宮沢賢治の代表作で、少なくとも題名だけは聞いたことがあると思います。そんな「銀河鉄道の夜」を絵でも楽しんでみてはいかがでしょうか？
（ナカリーさん）
ご利益ありそう？「日本全国 獅子・狛犬ものがたり」
出典: Google ブックス
神社に参拝に行ったとき、獅子・狛犬に注目することはありますか？
私はとある神社で子沢山の獅子・狛犬を見てすっかりその魅力にハマってしまいました。こんなに私の趣味全開のお勧めでいいのかしら？ と思ったのですが、少しでも獅子・狛犬の魅力を知っていただきたい！ と思い切って書いてみることにしました。
表紙には個性豊かな獅子・狛犬が贅沢に8対も配置されています。獅子・狛犬好きの方だけでなく、これまで獅子・狛犬をじっくり見たことがないという方も、多彩な獅子・狛犬を楽しんでいただけるのではないかと思います。それに、飾っておけばそこはかとなくありがたみも感じられるのではないでしょうか。
（ゆうさん）
放たれる存在感「広辞苑」
本屋さんをブラブラ回っていると、とても魅力的な装丁に惹かれて本を買ってしまうことがあります。ですが『飾りたくなる綺麗な本』というテーマを見た瞬間に思い出したのは『広辞苑』でした。
新卒社員として働きはじめた最初の夏はボーナスではなく寸志という名のお小遣いをもらいました。それを握りしめて本屋さんに行って広辞苑を買ったのは良い思い出です。
説明するまでもないと思いますが広辞苑はとにかく大きい！本棚にそっと置いておくだけでも放たれる存在感！そこにあるだけでなんだか頭が良くなるような気がします。
さらにあの厚みと重みでブックエンド代わりにも大活躍。万能インテリ系インテリアとして、広辞苑をあなたの本棚に加えてみませんか？
（ゆうさん）
装丁家の想い、「蜜蜂と遠雷」
部屋に緑が欲しいと思っている方は、観葉植物の代わりに「蜜蜂と遠雷」の野原の表紙を飾ってみませんか？
「蜜蜂と遠雷」は、直木賞と本屋大賞を同時受賞したことで話題となった作品です。今なら文庫版が手に入りますが、ぜひ単行本を手に取って頂きたい。なぜなら、この本が内容だけでなく、装丁にも力を入れている作品だからです。
装丁家の鈴木成一さんは、装画の杉山巧さんに、「この作品は直木賞を取る作品だからそのつもりで」と依頼したのだとか。（出典：NAXOS JAPAN【インタビュー】「蜜蜂と遠雷 音楽集」に携わるプロフェッショナルたち ～ Vol.2 装丁家・鈴木成一さん）
それだけの事はあって、表紙自体も1つの作品として十分に楽しむことができる絵となっています。この本自体は分厚く読み応えがありますが、部屋のインテリアとしても見ごたえのある1冊です。
（ナカリーさん）
12星座のイメージで「石井ゆかり 12星座シリーズ」
書店の占い本コーナーでよく見かける、カラフルな表紙の文庫本。おそらくそれは、今回紹介する「12星座シリーズ」です。
一星座一冊の占い本ですが、飾りたくなる理由は表紙にあります。それぞれの星座のイメージをイラスト化しているのですが、見た目はまるで可愛らしい雑貨のよう。例えば、おひつじ座は「元気さ」をイメージして、クリーム色の背景に赤いりんごをたくさんあしらったり、石井ゆかりさんの星座である「かに座」は、水をイメージして、グレー(石井氏はシルバーと主張)の背景に貝殻や真珠をあしらったり、私の星座である「おうし座」は茶色の背景にお花型のクッキーをあしらったり…。
全巻揃えて、表紙が見えるように本棚に置くと目の保養になりそうです。
コレクションとして一冊いかがですか？
（遥花さん）
冷蔵庫に入れちゃいそう、「本型バター」
豆本の舞茸社さんが作った、「本型バター」…という名前のバター型の本です。バター箱を開け、銀紙を開き、バターのかけらに見えるそれをそっと開くと…、中身はバターを使った料理のレシピ。舞茸社さんの本はこの他にも、タバコの巻き紙に包まれた短歌や、開くと表紙が海辺のパノラマになる短歌集など、思わず「わぁ〜」っと言ってしまうものばかり。わたしはベッドサイドに、歌集「今夜見る夢」を飾っています。
（まきむぅ）
あなたの好きな、「飾りたくなる綺麗な本」はなんですか？ ぜひSNSで、この記事と一緒に紹介してくださいね！
また、DMMオンラインサロン「まきむぅの手乗り文芸部」では、こちらの「文芸部員が選ぶ！」シリーズのオンライン選書会議のほか、文芸ゲーム、800字のテーマ創作、基礎練習、本についてのおしゃべりなどをのんびり行っています。スマホ一つで、おふとんからでも、読める、書ける、つながれる。ぜひ、文芸部にも遊びに来てください！
