個人事業主になるための「開業届」の書き方を解説

著者名SJ

フリーランスとして独立したい、あるいは本業とは別に副業を始めたい。そう考えた時、必ず必要となってくるのが「開業届」です。個人事業主として仕事を始める時に提出する「開業届」ですが、一体どんな書類で、どんなタイミングで誰に提出するのか、よくわからない人も多いでしょう。この記事では、これから開業する皆さんのために、開業届の書き方や提出の決まりを一つ一つ解説していきます。

開業届とは?

開業届は、正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」という名称の書類で、個人事業主として営利目的で事業を始めた時に提出を義務付けられているものです。

基本的には、開業届を提出することで、事業を通して得た利益を「事業所得」として申告できます。ただし、最終的に事業所得として認められるかどうかは、確定申告の内容に従って税務署が判断します。

開業届を提出するメリット

事業を通して継続的に収入が得られる見込みがある場合、開業届の提出は義務とされています。しかし、この義務を怠ったことによる罰則などは定められておらず、実際には開業届を出さずに副業を行っている人も多くいるようです。

開業届を提出した、していないに関わらず、所属している会社で年末調整を行えない収入があった場合には、必ず自分で確定申告を行わなければなりません。そのため、前述したように開業届を提出しないことによるデメリットはありませんが、同時にメリットもないと言えるでしょう。

一方で、開業届を提出すると、次のような色々なメリットがあります。

 

メリット1:青色申告で節税できる

開業届を出して事業を始めると、確定申告の仕方を「白色申告」と「青色申告」の2種類から選ぶことができます。このうち、青色申告では様々な税制上の優遇を受けることができるため、白色申告の場合に比べるとかなりの節税につながります。

まず、青色申告では、最大65万円の所得控除を受けることができます。青色申告にも2種類あり、簡易簿記で記帳する場合には10万円、簿記の基礎知識が必要な複式簿記で記帳する場合には55万円がそれぞれ控除されます。

また、複式簿記の場合は、確定申告の際にe-taxで電子申告をすることで、通常申告の控除額に10万円を加算した総額65万円の控除を受けることができます。

(参考:国税庁|No.2070 青色申告制度

次に、青色申告なら赤字を3年まで繰り越すことができます。つまり、赤字の出た年の損失額を翌年以降3年間の利益から差し引くことができるので、黒字化した後の所得税を抑えることができるのです。

最後に、生計を共にする家族が事業に関わっている場合、特定の条件(その人の業務の対価として相応の額であることなど)を満たせば、その給与を全て必要経費として計上することができます。これを「青色事業専従者給与」と言います。

ただし、制度の適用を受けるには事前の申告が必要です。また、開業届を出していても、青色申告でない場合には、給与として計上できる金額に上限がることに注意してください。

(参考:国税庁|No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除

その他、青色申告の人だけに認められた「少額減価償却資産の特例」を利用すれば、30万円未満の資産を一括で経費として計上することができます。

以上のように、税制面での恩恵を重要視したい場合は、青色申告を選択するべきと言えるでしょう。なお、青色申告を行う場合には、開業届の提出から2か月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。

 

メリット2:給与所得との損益通算ができる

事業所得は給与所得との損益通算ができます。損益通算とは、一定期間内の利益と損失とを相殺することです。例えば、フリーランスとして事業をしている人が、アルバイトをして給与所得を得ている場合、万一事業が赤字となってしまっても、給与所得から事業の赤字額を差し引くことができるため、納める所得税を少なくすることができます。

同様に、会社員が開業届を出して副業を行って事業所得を得ている場合にも、損益通算が可能です。ただし、この制度を利用して脱税を試みるケースが多発したことにより、税務署の監査が厳しくなっているため、サラリーマンの副業所得は事業所得とは認められづらくなっているようです。その場合の副業所得は雑所得として扱われるため、給与所得との損益通算はできません。

 

メリット3:屋号で銀行口座を開設できる

開業届を出し、事業者としての名称である「屋号」を登録しておけば、その屋号で銀行口座を開設することができます。銀行口座を介して取引先とお金のやりとりをするなら、個人の名前よりも屋号が口座の名義になっている方が、事業の収益や経費の管理がしやすくなりますし、ビジネスをしていく上で信用も得やすいでしょう。

(参考:企業法務弁護士ナビ|開業届を出すメリット・デメリットと提出方法について

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開業届の書き方・提出方法

開業届を出すメリットがわかったところで、実際の開業届の書き方や提出の仕方を細かく見ていきましょう。

開業届の記入箇所は、上から順に次のような構成になっています。

 

1.宛先・提出日

納税を行う住所を所轄する税務署を調べ、その名称を記入します。

提出日は、開業日(書類の中ほどで別途記入)から1か月以内である必要があります。

(参考:国税庁|[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続

 

2.納税地

「住所地」、「居所地」、「事業所等」の3つから、納税地を選んで印を付けます。

基本的には、自宅である「住所地」を選びます。事業用の店舗や事務所がある場合には、「事業所等」を選択しても問題ありません。「居所地」は、海外に住んでいるケースなどで日本に住所が無い場合、活動の拠点となる場所のことです。

選んだ納税地の住所を記入し、電話番号を記入します。電話番号は携帯電話でも問題ありません。

(参考:MONEYIZM|管轄する税務署はどこ? 個人事業主と法人の税金に影響する納税地を解説

 

3.上記以外の住所地・事業所等

上で記入した納税地以外に自宅や事業所がある場合のみ記入します。

納税地に「住所地」を選択し、自宅とは別に事業所もある場合は、この欄に事業所の住所を記入します。反対に、納税地に「事業所」を選択した場合は、この欄に自宅の住所を記入します。

在宅ワークなどで自宅の一角で事業を行う場合、この欄は空欄のままで大丈です。

 

4.個人情報

氏名、生年月日、個人番号(マイナンバー)を記入し、印鑑を捺()します。

印鑑は個人名のもの、屋号のもの、どちらでも構いません。

 

5.職業

事業の内容がわかるように記載します。例えば、ライターなら「執筆業」とすれば問題ありません。表記に迷う場合は、総務省が公開している標準職業分類を参考にしましょう。

また、業種によって、都道府県ごとに定められる個人事業税の税率が変わりますので、事前に税率を確認してから決めるのがおすすめです。

 

6.屋号

事業者としての名称を決めて記入します。決めていなければ空欄のままで問題ありません。

 

7.届出の区分

開業の場合は、一番上の「開業」に印を付けます。その他の部分は記入不要です。

ただし、誰かから事業を引き継いだ場合は、その人の名前と住所を記入します。

 

8.所得の種類

一般的な事業の場合は、「事業(農業)所得」に印を付けます。

主な収入源として、不動産所得または山林所得を見込んでいる場合は、そちらに印を付けてください。

 

9.開業・廃業日等

開業日は事業を開始した日です。これといった区切りがなければ、開業届の提出日と同じで問題ありません。

 

10.事業所等を新増設、移転、廃止した場合

開業の場合は該当しないので、空欄のままで問題ありません。

 

11.廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合

こちらも、開業の場合は該当しないので、空欄のままで問題ありません。

 

12.開業・廃業に伴う届出書の提出の有無

青色申告を行う場合は、「青色申告承認申請書」を作成た上で添付し、「有」に印をします。

開業1年目の個人事業主は全て免税事業者となりますが、事業形態によって課税事業者となった方が得をする場合には、「課税事業者選択届出書」を提出することで課税事業者となることができます。この場合のみ、「課税事業者選択届出書」を作成した上で添付し、「有」に印を付けます。

届出を行わない場合はそれぞれ「無」に印を付けます。

 

13.事業の概要

職業欄に記入した内容に基づき、具体的な事業内容を記入します。

例えば、ライターの場合、「ウェブ媒体ないし印刷媒体用の記事の執筆」といった内容が考えられます。

14.給与等の支払の状況

家族に事業を手伝ってもらう場合や、従業員を雇う場合は、人数と給与を記入します。

「専従者」が家族、「使用人」はそれ以外の従業員です。給与は「月給○○円」や「時給○○円」のように記載します。「税額の有無」欄は、源泉徴収を行う場合は「有」に、行わない場合は「無」に印を付けます。

給与であれば源泉徴収を行う義務がありますので、専従者や従業員がいる場合は基本的にどちらも「有」になります。

 

15.源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無

源泉徴収を行う場合、徴収した源泉所得税を毎月納付するのが原則です。ただし、給与支給対象者が常に10人未満の事業者であれば、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出することで、源泉所得税の納付を年2回にまとめて行うことができます。

この適用を受ける場合、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を作成して添付し、「有」に印を付けます。適用を受けず毎月納付する場合や源泉徴収を行わない場合は、「無」に印を付けます。

(参考:国税庁|[手続名]源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請

 

16.給与支払を開始する年月日

既に支払を開始している場合はその日付、これから支払が始まる場合はその予定日を記入します。ただし、上記の「源泉所得税の納期の特例」の適用を受けることができるのは、開業届と該当の申請書が提出された月の翌月以降に支払われる給与のみです。

開業届の記入項目は以上です。書き方がわからない場合は、税務署窓口で質問すれば教えてくれますので、迷ったら気軽に相談するといいでしょう。

開業届の提出先

開業届は、納税を行う住所を所轄する税務署に提出します。所轄の税務署は、国税庁のホームページで検索できます。

(参考:国税庁|税務署の所在地などを知りたい方

提出に必要なもの

税務署へ持参して提出する場合、マイナンバーを確認できるもの(マイナンバーカードまたは通知カード)、身分証明書(免許証など)、印鑑を持っていきましょう。また、提出の際には控えに受領印を捺してもらえますので、各書類は提出用と控え用の2部ずつ用意するようにしてください。

郵送または税務署の時間外収受箱への投函で提出する場合は、各書類2部ずつ(提出用と控え用)に、マイナンバーのわかるものと身分証明書の写しを添付し、控えの返送用に切手を貼った返信用封筒を同封します。

開業届の提出にかかる費用

開業に際して、手数料は不要です。ただし、開業届の控えの再発行には手数料が300円かかります。開業届の控えは口座開設など色々な手続きの際に求められますので、無くさないように保管しておきましょう。

開業届の提出期限

事業を始めた日から1か月以内に提出することが求められています。

これを過ぎてしまっても罰則はありませんが、提出が315日以降になってしまうと、その年度の青色申告は間に合わなくなってしまうため、その年度は最大65万円の所得控除を受けられない点に注意が必要です。

開業届を出さないとどうなるか

開業届を出さずに事業を行っても、特に罰則はありません。

ただし、メリットの箇所で説明したような、大きな節税効果のある青色申告を行うことや、屋号で銀行口座を開設することはできません。ある程度の収入を見込んでいる場合や、社会的な信用を得たい場合には、開業届を出した方が良いでしょう。

(参考:企業法務弁護士ナビ|開業届を出すメリット・デメリットと提出方法について

開業届に関するQ&A

最後に、開業届についてよくある疑問を解消しておきましょう。

開業届は代理人が提出してもいい?

開業届は代理人が提出することもできます。この場合、委任状、代理人の写真付き身分証明書、開業する本人のマイナンバーを確認できるもの(マイナンバーカードまたは通知カード)が必要です。

(参考:国税庁|[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続

開業届を取り下げたい場合はどうする?

一般に、税務署に提出した書類を取り下げたい場合、提出期限内であれば「取下書」という書類を作成して提出することで取り下げることができます。

ただし、開業届の場合には、開業日と同じ日付で廃業届を提出することで、開業を取り下げたものとして扱う例もあります。また、個人事業主として開業したものの、経済的に厳しくなり、廃業したという場合は「個人事業の開業・廃業等届出書」の書類を提出します。

担当の税務署によって対応が異なる部分ですので、取り下げをしたい場合は、まずは税務署に連絡して相談してみるのがよいでしょう。

引っ越したときは再提出したほうがいい?

引っ越しによって納税地が変わる場合は、引っ越し前の納税地を所轄する税務署に「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」を提出します。

納税地として申請していたかどうかにかかわらず、事務所を移転した場合には、税務署に事務所の移転を報告する必要があります。これには、開業の時に提出したのと同じ「個人事業の開廃業等届出書」を使います。「届出の区分」の欄で「事務所・事業所の移転」に印を付け、「事業所等を新増設、移転、廃止した場合」の欄に移転後の住所を記入します。その他の欄は開業届と同じ内容を記入すればOKです。

(参考:アントレ|個人事業主が引っ越しをする際に必要な手続きと届け出

 

開業届の書き方や提出方法について、疑問は解消されたでしょうか。開業届は出さなくても罰せられることはありませんが、出すことで得られるメリットはたくさんあります。そのため、失業保険を受給したい場合など、特定の事情がある場合を除けば、出して損はないものと言えるでしょう。

すでに個人事業主になる決意を固めている人や副業を始める予定がある人は、この記事を参考に、さっそく開業届を準備してみてくださいね。

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