“つながり”でスポーツを盛り上げる!岩本義弘の蹴球ゴールデン街とは

著者名SJ
“つながり”でスポーツを盛り上げる!岩本義弘の蹴球ゴールデン街とは

新型コロナの影響で長らく自粛を余儀なくされていたスポーツ界。Jリーグやプロ野球は、入場者数の制限を設けた中での開催ながらも、このほどようやく再開しはじめました。「ウィズコロナ」のこれからの時代、スポーツのあり方や楽しみ方がどう変わっていくのか、気になっている人も多いでしょう。

そんな中、サッカーメディアの編集長や経営者、はたまたサッカー解説者としてサッカー界で多彩に活躍してきた岩本義弘さんが、2020年5月にオンラインサロン「蹴球ゴールデン街」をオープン。日本のサッカーやスポーツを盛り上げることを夢の1つに掲げ、スポーツ界に大きな動きを起こそうとしています。

スポーツ選手へのインタビューが今のキャリアの原点 

―岩本さんの人生はサッカーと共にあったと言って差し支えないかと思いますが、サッカーとの絆はどのようにして始まったのでしょうか?

自分自身も子どもの頃からサッカーをしていて、小学校の頃は東京都町田市の選抜チームだったFC町田に入るくらいではありました。でも、その頃がピークでしたね。その後、転校したこともあって、サッカー部に所属しない時期もあったので、プロ選手になるようなレベルでは全然なかったです。

だから、小さい頃も高校生くらいになった頃も、自分がサッカー関連の仕事に就くとは思っていなかったですよ。

 

―それは意外ですね。現在もサッカー関係で実に幅広い取り組みをされていますが、サッカー界でのキャリアはどのように始まったのでしょうか。

もともと本や雑誌が好きだったので、大学を卒業した後は新卒でエンタメ関連の雑誌を作っている会社に就職したんです。色々なコンテンツに携わりましたが、メインではスポーツのコーナーを担当していました。そこで、プロのスポーツ選手にインタビューするようになったのが、現在のキャリアにつながるきっかけになったと感じています。

1997年に、翌年のサッカーワールドカップに日本が初出場することが決まり、『Number』(文芸春秋)のワールドカップ特集号の売り上げが過去最高を記録するなど、大いに盛り上がりを見せていました。そこで、自分もサッカーとサッカーゲームを特集した雑誌を企画したところ、その企画が通って、しかもすごく売れたんですよ。そのおかげで、98年のフランスワールドカップに取材に行かせてもらえることになったんですが、現地で生の試合を見たことで、あらためてサッカーの魅力に取りつかれてしまって。帰国後すぐ、現地で知り合ったジャーナリストに誘われて、サッカー専門メディアに移ることになったんです。

サッカーにどっぷり浸かるようになったのはここからですね。

―20年近く在籍された株式会社フロムワンですね。

はい。最初は、セリエAの専門誌として5人くらいでスタートしました。下っ端から初めて約3年で編集長になり、その後役員になり、オーナー社長になりましたので、15年くらいは経営者として関わっていました。

メインの媒体であるサッカーキングが、ウェブメディアとしてはサッカー関連で一番手になりましたが、一番いいタイミングでデジタルに切り替えられたのが良かったのかな。2006年くらいからはサッカーの人気が落ちたことでサッカー雑誌が半分ほど潰れましたし、一番手以外生き残れないという思いはありました。紙の雑誌をずっとやってきた大手に勝つために、デジタルを強化するという方針を掲げ、サッカー関係で人気のあるウェブサイトを買収したこともあります。

 

―充実したキャリアのように思いますが、フロムワンを離れたのはどういった経緯だったのでしょうか。

会社が大きくなりすぎてしまったんです。僕は社長だったので、人事や会社方針や財務の仕事ばかりに時間を取られ、自分自身が新規事業を企画したり現場に行ったりというクリエイティブな部分に関われなくなってしまった。また、オーナーでもあったのですが、借り入れをしている銀行や役員の意見を尊重しなければいけないので、何でも自分のやり方でできるわけでもない。

それで、サポートはするけれども、社長とオーナーという役割からは退くことにしました。

新型コロナの影響でスポーツの楽しみ方の多様化が起きている 

―それからキャリアの幅を一層広げて来られ、新型コロナで緊急事態宣言の出ていた5月にオンラインサロン「蹴球ゴールデン街」をオープンされました。新型コロナのスポーツ界への影響はどのようにご覧になっていますか。

 スポーツは大勢の人が集まるものである以上、制限がかかりますから、すぐに元の状態に戻るとは思いません。でも、今の状況の中だからこそ、楽しみ方の多様化が起きていると思います。

 今までは選手とファンが交流する機会というと、ファン感謝祭のようなイベントくらいしかなかったのですが、現在はSNSなどを介して、選手とファンの新しいコミュニケーションの形が出てきています。例えば、「投げ銭」の文化は、スポーツ界でも可能性があると思いますよ。公式試合ではまだ例がありませんが、練習試合やトークイベントでは既に使われ始めています。

 

―新しい可能性が出てきているということですね。「蹴球ゴールデン街」でもそういった取り組みを検討されているのでしょうか。

「蹴球ゴールデン街」にはJリーグのクラブ関係者もいますし、現役の選手も10人近く入ってくれています。彼らも時代の変化を敏感に感じていて、「自分たちが動かないと」という危機感があるのではないでしょうか。知り合いの選手からは、僕のところにいきなり電話がかかって来て相談されることもありますし、今までのように普通に選手生活を送るだけでは人生が保証されないという意識を持つ選手が増えてきたのかなと思います。

その点、オンラインサロンで色々と情報共有できるのはいいですよね。例えば先日、アパレルブランド「FIDES」を立ち上げて3年で黒字化を達成した元Jリーガーの小林久晃さんにインタビューしたのですが、こういう話もサロンで共有すれば他の選手の参考になると思います。

選手は現役時代の方が引退後よりも圧倒的に発信力がありますから、「蹴球ゴールデン街」が知見やノウハウを共有したり相談したりできる場になって、色々な活動が広がっていくといいと思います。

 

―オンラインサロン開設からまだ約2か月ですが、これまでにどんな活動が実現してきたのでしょうか。

クラブ間で情報共有がされている他、サロンに入っているメディア関係者と選手が直接つながって、取材が実現した例もあります。同じサロンメンバーということで仲間意識があるので、スムーズに話が進むのでしょうね。

他にも、サロンにはファンやサポーターなど、直接スポーツビジネスに関わっていない人も多いですし、中には弁護士や会計士、建築士といった専門的な仕事をしている人もいます。一度、著作権に詳しい弁護士の方がSNSでの発信についてサロンメンバー向けのオンラインセミナーをしてくれたのですが、セミナー後に一部のメンバーがその弁護士の方の個人セミナーにも参加したようです。こんな風に、メンバー同士の交流はかなり活発ですね。 

サロンが優しい空間になっていく期待を感じている

―蹴球ゴールデン街は退会率が際立って低いと伺いました。2か月目の退会率は通常10%くらいのところ、2%ほどだとか。 

スポーツ関係の人が横断的に入っているサロンが他に無いので、メンバー同士でつながることに期待されているのかなと思います。あとは、この20年間で僕がリアルでご飯を奢った人たちが入ってくれているんじゃないでしょうか(笑)。

 それと、サロンの売り上げを自分のものにしないと明言しているのも大きいかもしれませんね。立ち上げ当初から、サロンの売り上げは、全てサロン内の活動やサッカー界のために使うと決めています。

 

―そういったサロンは珍しいですよね。 

実は先日、サロンの売り上げの最初の使い道が決まったところです。

サッカー界では有名なカエルの一平くんというマスコットキャラクターが、チャリティーTシャツを販売して、その利益を全額ロアッソ熊本に寄付し豪雨被災者支援に役立ててもらうプロジェクトを立ち上げたのですが、決済手数料で大赤字になってしまうことがわかってTwitterで悲鳴を上げていたんです。そこで、僕から一平くんに連絡し、細かなことを確認した上で、手数料分をサロンの売り上げから負担することにしました。最初からいい使い方ができたなと思っています。

 

―素晴らしい取り組みですね。

僕がGMを務めている南葛SCというクラブでは、個人が各選手を支援できる「個人スポンサー」という制度を導入しているのですが、この制度についてサロンでアイデアを募ったところ、アイデアだけでなくスポンサーの申し出が殺到して、1日で支援額が100万円を超えました。 

サッカーはデジタルと相性がいいんだと思います。今も鹿島アントラーズがコロナ関係でクラウドファンディングをしていますが、リターンはあまりお得感はないのに1億円以上も集めることに成功しました。サッカーのサポーターはクラブに人生を捧げているような人も多いので、そういうのも関係しているんでしょうね。

この流れで、「蹴球ゴールデン街」も優しい空間になっていくのではないかと期待しています。

プロジェクトの裏側を知って物語を楽しむサロンに

―早くも支援が広がっているのですね。サロン内部ではどんな活動をしていますか。

 僕自身が毎日欠かさず投稿しているのと、定期的にオンライン飲み会もしています。

また、今月からはオンライントークイベントも始める予定です。既に何人かにコンタクトを取り、武井壮さんと本田圭佑選手、清武弘嗣選手からはOKをもらっています。時期はまだ先になると思いますが、ダルビッシュ有選手からも前向きな返事をもらっていますよ。選手たちもこういう活動に興味を持ってくれているんでしょうね。

サロンのメンバーに喜んでもらえればいいと思っているので、メンバーには無料で公開して、メンバーでない人には有料で公開しようかと思っています。

 

―すごい顔ぶれです。サロンメンバーは間違いなく喜びますね。

 他にも、僕が誰かにインタビューをする時にメンバーがそれを聞いたり質問を追加したりできるようなイベントもやってみたいですね。オンラインサロンというクローズドな環境だからこそできることです。

今までも外に出せない情報をたくさん投稿していますが、そういう「裏側」の話も楽しんでもらえているのかなと思います。

 

―「裏側」、言い換えると「物語」を見せるということをサロンの運営方針に掲げていらっしゃいますね。

そうですね。僕は、自分でも10個くらいオンラインサロンに入っているんですが、そうやって色々なサロンを見る中で、ノウハウを伝えるタイプのサロンより、メンバー同士が仲間になれる感じのサロンをやりたいと思いました。それと、プロジェクトの裏側を知って、その先に何があるんだろうという思いを抱く。そういうのって物語として楽しいですよね。だから、何か得をするサロンじゃなくて、思いを伝えるサロンの方が、メンバーのためにもいいと思ったんです。

そもそも、サッカー界は横のつながりが少ないので、そこをつなげてみんなで一緒に何かできる場を作ろうと思ったというのが、サロンを開設した一番の理由です。

僕としても、『キャプテン翼』やスポーツメディア、南葛SCの仕事をサロンメンバーにお願いしていきたいなと。サロン活動を通して考え方を共有しておけば、都度説明しなくていいし、よりモチベーションの高い人が集まると期待しています。

 

―これからの活動の広がりに期待が膨らみますね。最後に、「蹴球ゴールデン街」にこれから入会する人に向けてメッセージをお願いします。

僕自身、オンラインサロンに入るとがんばらないといけないというイメージを持っていましたが、入会したからといって何かを求められるものではありません。「蹴球ゴールデン街」には500人以上のメンバーがいますが、9割くらいは投稿を読んでいるだけの、いわゆる「ROM専」だと思います。

これからやることはメンバーみんなと相談しながら決めていくつもりですが、スポーツ界、あるいはサッカー界で大きな存在になれたらいいと思います。実際、今の時点で人数は多いですから、みんなでチームとして機能して動いていけば、すごいことができるんじゃないかなと。

「自分の人生の横には常にサッカーやスポーツがある」という人であれば、入って損はしないはずです。

 

始まったばかりの蹴球ゴールデン街ですが、サッカーという繋がりから熊本の豪雨被災者支援に一役買うなど、早くもスポーツ界にとどまらない価値を生み出しています。

インタビュー中に紹介のあったオンライントークイベントのように、これからもサッカーファンやスポーツ好きなら見逃せない貴重な機会が続々と開催予定です。これを可能にしているのは、岩本さんが長年のキャリアで培った幅広い人脈と、日本のサッカーやスポーツを盛り上げたいという岩本さんの強い思いだと感じました。「物語」を通して岩本さんの思いに触れ、他のメンバーたちと一緒に大きなことに取り組める場所。スポーツと何らかの関わりを持ちたいと思っている人にとって、これ以上の場所はないのでは?

岩本義弘(いわもと・よしひろ) - 蹴球ゴールデン街 - DMM オンラインサロン
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