国民年金の学生納付特例制度とは?猶予・追納の手続き方法も解説

著者名SJ

日本では、20歳になると年金への加入が義務付けられています。一方、20歳の段階で、まだ収入がそれほど多くない学生である場合、年金を払わなくてはいけないことを不安に感じてしまう人もいるのではないでしょうか。

しかし、焦る必要はありません。学生の間は、年金の支払いを猶予してもらえる「学生納付特例制度」を利用することができます。そこで、この記事では、この制度の概要や手続き方法、そして後から年金を納める「追納」の方法などを詳しく解説します。この機会に日本の年金制度をきちんと理解して、自分の状況に合わせて賢く活用しましょう。

年金制度について

学生納付特例制度の説明に入る前に、まずは国内における年金制度の基本を確認しておきましょう。

日本では、国内に居住する20歳以上60歳未満の人の全員が国民年金の被保険者となり、保険料の納付が義務付けられます。ただし、勤務先で厚生年金あるいは共済年金に加入している人は、この限りではありません。

保険料を納付した期間と保険料の支払いを免除された期間の合計が10年以上ある被保険者は、基本的に65歳になると「老齢基礎年金」が受給できるようになります。このほか、病気や怪我で障害が残った時に受け取ることのできる「障害年金」、一家の働き手が亡くなった時に配偶者や子どもが受け取ることのできる「遺族年金」も、この年金制度の一部です。

(参考:野村の確定拠出年金ねっと|日本の年金制度

学生の年金猶予制度について

前述したように、年金制度のもとでは、20歳になると国内に住む全ての人に年金保険料の納付が義務付けられますが、被保険者が20歳の段階でまだ学生である場合、申請をすることで在学中の保険料の納付が猶予される制度があります。これが「学生納付特例制度」と呼ばれるものです。

年金納付の猶予対象者

学生納付特例制度を利用して保険料納付の猶予を受けるためには、次の2つの条件を満たしている必要があります。

 

1.申請者本人の当該年度の所得が一定以下であること。

基準となる所得額は、「118万円+(扶養親族等の数×38万円)+社会保険料控除等」です。

 

2.大学、大学院、短大、高校、高専、特別支援学校、専修学校、その他修業年限が1年以上の各種学校、一部の海外大学の日本分校に在学する学生であること。

夜間や定時制、通信課程の学生も対象に含まれます。また、私立の学校においては都道府県知事の認可を受けている学校に限られます。

(参考:日本年金機構|国民年金保険料の学生納付特例制度

猶予者の割合

厚生労働省が2015年に発表した実態調査の結果によると、学生のうち、学生納付特例制度を利用して国民年金保険料の納付を猶予されている人の割合は66%でした。

また、学生納付特例制度で猶予を受けているこれらの学生、そして滞納している学生などを除いた22.2%の学生が、年金保険料の納付を行っていました。

(参考:厚生労働省年金局 平成26年国民年金被保険者実態調査

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猶予手続きについて

学生納付特例制度を利用するためには、各々で申請を行う必要があります。気になるポイントに沿って、必要な書類や主な手続き方法を一つ一つ確認していきましょう。

申請先は?

学生納付特例制度の提出手続きは、申請者の住所地の市役所や区役所、町村役場の国民年金担当窓口、年金事務所で行います。これに加えて、一部の学校には「学生納付特例事務法人」が設置されているため、該当の学校に在籍している場合は、学校でも手続きを行うことができます。

そのほか、手続きは郵送でも申請可能です。郵送の場合、申請書と必要な添付書類を揃えて、住所地の役所または役場に送付しましょう。

申請に必要なものは?

制度を利用するためには、「国民年金保険料 学生納付特例申請書」という申請書のほか、下記の書類が必要になります。申請書の様式は、日本年金機構のホームページからダウンロードすることができます。

 

【窓口で直接手続きする場合】

1.在学期間がわかる在学証明書、または学生証

2.年金手帳、基礎年金番号通知書、またはマイナンバーがわかる書類

申請書類に基礎年金番号を記入して申請を行う場合は、年金手帳または基礎年金番号通知書を提示してください。申請書類にマイナンバーを記入して申請する場合は、マイナンバーカードを提示します。

マイナンバーカードを持っていない場合、個人番号の表示がある住民票の写し、またはマイナンバー通知カード(氏名、住所等が住民票の記載と一致する場合に限る)に加え、「運転免許証」、「パスポート」、「学生証と健康保険被保険者証の2点」などの身元(実存)確認書類の提示が必要です。

 

【郵送で手続きする場合】

1.在学期間がわかる在学証明書の原本、または学生証(裏面に有効期限、学年、入学年月日の記載がある場合は裏面も含む)の写し

2.年金手帳、基礎年金番号通知書、またはマイナンバーがわかる書類の写し

申請書類に基礎年金番号を記入して申請を行う場合は、年金手帳の氏名記載ページの写し、または基礎年金番号通知書の写しを添付してください。申請書類にマイナンバーを記入して申請する場合は、マイナンバーカードの裏面と表面の写しを添付します。

マイナンバーカードを持っていない場合、個人番号の表示がある住民票またはマイナンバー通知カード(氏名、住所等が住民票の記載と一致する場合に限る)の写しに加え、「運転免許証」、「パスポート」、「学生証と健康保険被保険者証の2点」などの身元(実存)確認書類の写しを添付する必要があります。

(参考:日本年金機構|学生のみなさまへ

本人以外でも申請できる?

学生納付特例制度を利用するための申請は、本人以外が行うこともできます。

本人以外が申請を行う場合は委任状を作成し、代理で手続きを行う人の本人確認書類(運転免許証やパスポートなど写真付きのもの)と一緒に所定の窓口に持参します。委任状には決まった様式はありませんが、次の4項目の記載が必要です。

1.委任状の作成年月日

2.代理人の住所、氏名、生年月日

3.委任する手続きの内容

4.委任する人(学生本人)の住所、氏名、生年月日、連絡先。氏名は自署し、押印。

申請期限はいつまで?

学生納付特例制度の申請は、猶予対象となる期間が申請日の属する年度(4月~翌年3月)であれば、年度中のいつでも申請することができます。

さらに、もし手続きを忘れていた場合でも、納付期限から2年を経過していない期間のものであれば、後から遡って申請することも可能です。納付期限は対象月の翌月末に設定されているので、例えば、ある年の6月分の年金保険料は、その2年後の7月末までであれば、学生納付特例制度の適用を申請できることになります。

ただし、申請が遅くなると、申請日より前に生じた事故や病気等による障害が残ってしまった場合などに、障害年金を受け取ることができなくなる場合がありますので、早めの申請を心がけましょう。

申請は毎年必要?

学生納付特例は、4月から翌年3月までの1年間を対象として審査されるため、基本的には毎年の申請が必要です。過ぎた期間の分を遡って申請する場合でも、1年分ずつ、複数枚の申請書を提出することが求められます。

留学中でも適用される?

国民年金に加入する義務があるのは、原則として日本に居住する人です。長期(おおよそ1年以上)で海外に留学する場合には、役所に「海外転出届」を提出して国内の住民票を抜きますので、その期間は国民年金への加入義務がなく、保険料を納める必要もありません。

一方、国民年金に未加入の状態となりますので、留学中の病気や怪我により障害が残ったとしても、障害年金を受け取ることはできません。また、将来受け取ることが出来る老齢基礎年金の額も減額されることになるため、注意が必要です。これを避けるために、日本に居住していない間も国民年金に任意加入することもできますが、海外の学校は学生納付特例の対象外になるため、任意加入する場合は保険料の支払いが必須となります。

短期留学(おおよそ1年未満)の場合は、原則として海外への転出届は出しませんので、国民年金に加入する義務があります。しかし、学生納付特例の対象となる日本の学校に在籍したまま留学する場合は、学生納付特例を申請できることもあるため、詳しくは、お近くの年金事務所に相談してみましょう。

年金の追納について

追納は、年金保険料を10年以内の期間まで遡って支払うことができる制度のことです。学生納付特例などを利用して納付を猶予された年金保険料は、この「追納」というかたちで後から納付することができます。

年金を追納するメリット

年金は、払った額に応じて受給できる額が変わるため、学生納付特例を申請して年金保険料の支払い猶予を受けた場合、将来受け取ることのできる老齢基礎年金の額がその分だけ少なくなってしまいます。

そこで、社会人になって経済的に余裕ができてから、追納制度を利用して学生時代に支払いを猶予されていた年金保険料を納付することで、将来受け取ることのできる老齢基礎年金の減額を防ぐことができるのです。

さらに、年金保険料の追納は社会保険料控除の対象となりますので、追納を行うことで、所得税や住民税の負担が軽くなるというメリットもあります。

(参考:日本年金機構|国民年金保険料の追納制度

追納したとき・しないときの年金受給額比較

将来受け取ることができる老齢基礎年金の額は、次の式で計算されます。

(参考:厚生労働省・日本年金機構 知っておきたい年金のはなし


781,700円×(保険料納付月数+保険料免除月数の一定割合)÷(40年×12ヶ月)


学生納付特例は、年金保険料の納付の「猶予」を受けるものであり、「免除」とは異なるものです。そのため、例えば、20歳~22歳の3年間を大学生として過ごした場合、この3年間について学生納付特例の適用を受け、23歳以降は60歳まで満額の保険料を納付すると仮定すると、受給できる年金の額は次のようになります。


781,700円×(保険料納付月数:37年×12ヶ月)÷(40年×12ヶ月)=723,072


猶予されていた3年分を追納すれば、受給額を満額(781,700円)にすることができますので、追納する場合としない場合とでは、受け取る年金額に年間58,628円の差が出ることになります。

年金の追納期限

前述したとおり、追納ができるのは、追納が承認された月から遡って10年以内の期間分の年金保険料です。これを過ぎると追納ができなくなりますので、その場合は満額の老齢基礎年金を受給することはできません。

また、納付猶予を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納を行う場合、経過期間に応じた加算額が上乗せされます。追納が後になるほど加算金が増え、負担が増しますので、可能な限り2年以内に追納するのが理想と言えるでしょう。

(参考:日本年金機構|追納等可能月数と金額の確認

追納手続きについて

最後に、年金保険料の追納を行うための手続きを確認しておきましょう。

申請先は?

追納の申請は年金事務所で行います。窓口か郵送で申請書を提出すると、納付書が発行されますので、その納付書を使って追納を行います。

申請に必要なものは?

「国民年金保険料追納申込書」に必要事項を記入して提出するとともに、マイナンバーの確認ができるものを提示する必要があります。マイナンバーカードを持っていない場合には、通知カードかマイナンバーの表示がある住民票の写しに加え、運転免許証やパスポートなどの身元確認書類を提示すれば、手続きが行えます。

郵送で申請する場合は、申請書に上記の書類のコピーを添付してください。

学生にとっては負担になることも多い国民年金保険料。学生納付特例制度を活用すれば、未納扱いにならずに支払いを猶予することができます。ただし、学生納付特例制度はあくまでも支払いを「猶予」するものであって、「免除」とは違いますので、経済的に余裕ができてから遡って納付することが期待されています。

 

老後の生活のことを考えれば、将来受け取る年金の額が少なくなってしまうのは避けたいところ。学生納付特例制度を申請する場合は、この記事で解説した申請方法とあわせて、最後に紹介した「追納」の期限や手順もセットで頭に入れておくといいでしょう。

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