【2020年度版】退職金の平均金額は○○万円!

著者名ハシ ビロコ
【2020年度版】退職金の平均金額は○○万円!

将来、退職金がどのくらいもらえるのか気になったことはありませんか。また、転職を検討している人の中には、退職金の支給額を判断材料のひとつにしているという人もいるでしょう。

 しかし、会社によっては退職金制度を設けていない場合も。さらに、退職金が支給される場合でも、金額は職業や企業規模によって大きな差が見られます。

 そこで、この記事では退職金の平均金額を調査。知っておきたい退職金に関する知識もご紹介します。

退職金制度について

退職金とは、勤務年数に応じて退職時に企業から支給される賃金のことです。社内での階級が高いという以外にも、ひとつの職場で長く働くほど受け取ることができる給付金額が増える傾向にあるため、労働者にとっては仕事を続けるモチベーションになることもあります。

退職金は大きく分けると2種類あり、ひとつは退職一時金、もうひとつは退職年金と呼ばれています。それぞれの制度を詳しく見てみましょう。

退職一時金制度

退職一時金制度とは、社内での役職や勤務年数などに応じて退職金が支給される制度です。

このほか、企業によっては定年退職に限らず、一定期間以上働いた人に適用される場合もあります。たとえば、3年間働いた会社を辞めて別の会社に転職するとき、社内規定で退職金一時制度が定められていれば、一時金として退職金を受け取ることができます。

ただし、企業ごとに規定が異なるため、転職の際に勤務年数が引き継がれることはありません。

退職金の財源は会社が準備し、退職時に一気に支給される点がこの制度の特徴です。しかし退職一時金のみでは老後の費用が十分にまかなえない場合があるため、次に紹介する退職年金制度に移行する企業も増えてきました。

退職年金制度

退職後、年金と同じように退職金を分割で受け取ることができる制度です。支給される期間は企業によって異なりますが、一定期間もしくは生涯にわたって退職金を受け取ることができます。

代表的な退職年金には「確定給付企業年金」と「確定拠出型年金」の二つの種類があります。

確定給付企業年金は、企業ごとに定められた金額を受け取るもので、退職一時金のように一括でもらえる場合もあります。

一方、確定拠出型年金は外部の管理機関によって運営されている年金制度で、会社か個人、もしくはその両方が掛け金を積み立てていき、退職後に年金として受け取る仕組みです。そのため、受給額は積み立て実績によって大きく異なりますが、財源が個人にあるため、転職した場合でも引き継ぐことが可能です。

(参考:北越銀行|確定給付企業年金と確定拠出年金の違い

 退職金制度がない会社もある

退職金制度を設けている会社は多いものの、法律で義務付けられているわけではありません。そのため、退職金制度を設けていない民間企業も存在しています。

厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査」によると、退職手当制度がある企業の割合は80.5%。そのうち、退職一時金制度のみを採用している企業は73.3%、退職年金制度のみの企業は8.6%でした。どちらの制度も設けている企業は18.1%という結果になっています。

 退職金制度を取り入れている企業の場合、社内で運用されている就業規則や賃金規則に受給条件が記載されています。退職時に「もらえると思っていた退職金がもらえなかった」と困ることのないよう、一度確認してみるといいでしょう。

退職金の平均金額(企業規模別)

退職金の平均金額は企業規模によっても差が生じます。大企業と中小企業の退職金金額や、退職金制度の有無を比較してみましょう。

大企業の退職金平均額

中央労働委員会「令和元年退職金、年金及び定年制事情調査」によると、定年退職した場合のモデル退職金(卒業後すぐに就職し、標準的に昇進をした場合の例)は高校卒で2,3792,000円、大学卒で2,5111,000円となっています。

 大企業では退職金制度を設けている場合が多く、厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」では、1,000人以上の従業員を有する企業の、92.3%が退職金制度を設けているとされています。また、従業員数が300人~999人の場合でも91.8%の企業では退職金制度が設けられているようです。

 中小企業の退職金平均額

東京都労働相談情報センターの調査(※)によると、中小企業の平成30年版モデル退職金は高卒の場合が1,1268,000円、大学卒の場合が1,2034,000円。どちらも大企業の退職金平均額に比べると約47%も低い金額でした。

また、厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」によると、従業員数が100人~299人規模の中小企業では、84.9%が退職金制度を設けており、従業員数が3099人規模の企業では77.6%という結果になっています。

さらに、同調査では、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者は、従業員数が1,000人以上の大企業では74.2%、従業員数が100人~299人規模の中小企業では38.2%に留まるという調査結果も出ており、大企業は中小企業に比べ、勤務年数の長い従業員の割合が高いということがわかりました。

退職金は会社から長年の勤務に感謝を表す意味合いで支給されることもあるため、長期的に働く社員が多い大企業の方がしっかりと制度を整えている傾向にあるようです。

以上の二つの調査の結果から、退職金制度を設けている中小企業は大企業よりも少なく、転職などをするときには必ず確認しておきたいポイントだと言えるでしょう。

(※参考:東京都労働相談情報センター「中小企業の賃金・退職金事情(平成30年版)」

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退職金の平均金額(勤務期間別)

退職金の金額は、勤務期間によっても左右されます。企業ごとに違いはあるものの、基本的に一ヶ所に長年勤めた人ほど退職金金額が高くなる傾向にあるようです。厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」をもとに、金額を確認してみましょう。

3年間勤務したときの退職金平均額

大学卒業後3年間総合職として勤務し、会社都合で退職した場合の退職金は721,000円、一般職では572,000円となっています。

一方、高校卒(総合職)の退職金は553,000円、一般職では473,000円となっており、職種に関係なく大学卒よりも退職金は低くなります。

また、いずれの場合でも、自己都合退職の場合は支給額が約半額に減る傾向にあります。

5年間勤務したときの退職金平均額

大学卒業後5年間総合職として勤務し、会社都合で退職した場合の退職金は1244,000円、一般職の場合は958,000円です。一方、高校卒(総合職)の退職金は994,000円、一般職は869,000円という結果に。

どちらも、3年で退職した場合に比べると、40万円ほど退職金が高くなっています。

10年間勤務したときの退職金平均額

大学卒業後10年間総合職として勤務し、会社都合で退職した場合の退職金は3297,000円、一般職では2344,000円となっています。一方、高校卒(総合職)の退職金は2468,000円、一般職は2139,000円です。

5年で退職した場合に比べ退職金金額は倍以上になり、勤務期間が長くなるほどもらえる退職金額が増えていることがわかります。

退職金の平均金額(職業別)

ここまで、企業の規模や勤続年数によって退職金の金額が変わることを紹介しましたが、職業によって退職金の金額に違いは見られるのでしょうか。公務員、銀行員、医師の平均額を確認してみましょう。

公務員の退職金平均額

公務員の退職金平均額は、地方自治体によって異なります。

総務省の「給与・定員等の調査結果等」によると、平成3041日から平成31331日に退職した全職種の退職手当支給額は、全国平均で11269,000円。トップは秋田県で19729,000円でした。一方、最も支給額の低い沖縄県では302万となっており、地方自治体によって1,600万円以上もの大きな差があるようです。

 銀行員の退職金平均額

銀行員の退職金平均額は約2,000万~3,000万円とされています。ほかの職種に比べると高水準と言えますが、一方で所属する銀行や役職による差が大きいとされています。

医師の退職金平均額

常勤医師として10年勤務した場合の退職金平均額は200万~500万円。支給金額は医療機関によって異なりますが、公立病院は民間の医療機関よりも退職金が高い傾向にあるようです。

一般的に、給料が高いイメージのある医師ですが、退職金はそれほど高くならない場合もあります。これは、医師がいくつもの病院を転々とする場合も珍しくなく、1ヶ所での勤続年数が長くなりにくいためです。

また、厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」によると退職金制度を設けている医療、福祉系企業は87.3%となっており、病院によっては退職金制度そのものがない場合もあります。

(参考:勤務医ドットコム|高収入の医師は退職金も多い? 勤務医の退職金事情

退職金平均額の推移

退職金の平均金額は、時代と共にどう変化してきたのでしょうか。

厚生労働省の「就労条件総合調査」(※)によると、大学卒の定年退職者(管理・事務・技術職)に支給された退職金平均額は以下の通りです。

(※参考:厚生労働省「就労条件総合調査」

平成30年の退職金平均額は、平成15年に比べると500万円以上減額される結果に。しかし平成25年と比較すると約40万円増額しており、わずかに回復傾向にあることがわかります。

 

長年仕事をがんばったご褒美のようにも思える退職金。しかし、退職金の支給は法律で定められた必須の制度ではないため、就業規則や企業規模などによって大きく差が出てしまいます。とくに就職や転職のポイントとして退職金を念頭に置いている場合は、支給条件などを事前に確認しておくといいでしょう。

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