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話し方教室の“間違った教えあるある”を言いたい〜ごのへのごろく〜

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話し方教室の“間違った教えあるある”を言いたい〜ごのへのごろく〜

《 本日のごのへのごろく 「講師業 知識なしでは できません」》


オンラインサロンをはじめて約3ヶ月。サロンメンバーの方には、他のボイストレーニングや話し方教室に色々と行かれた末に、私のところにたどり着かれた方がいらっしゃいます。お声を聞いてみると、間違った教えによって悩みが深くなっている方も…。なぜ話し方の講師は誤りを教えるのでしょうか。トーク編コラム「話し方講師の功罪」。

 ■間違った教えあるある■

とある資格取得のための講座を受講している際、講師の方が「この資格を使って発信をするために、話し方教室に通っちゃう方がいるんですよ〜」と言い、会場が笑いに包まれたことがありました。

話し方教室に通うことは、人に笑われることなのかと思ったらガックリきました。でもそれは、教室側にも講師側にも、原因があるような気もしました。(ちなみに笑っていた会場の方々に、大勢の人の前で堂々と話すほどのトークスキルがその時点であるかというと疑問でしたので、トークのための勉強はされたほうがいいのではないかとも思いましたが)

話し方教室・話し方講師に原因があると私が考えるのは、“間違った教えあるある”を伝えているところがあまりに多いからです。


“間違った教えあるある”を列挙してみます。


・高い声は明るく聞こえるので、今より声を高くしましょう
 …地声より2音上げさせて、挨拶させたり、発声させたりする、鉄板の“間違った教えあるある”。人によって出しやすい音程は異なるので、この教えは誤り。出しやすい音程よりも高い声で話すと、声帯をキュッと縮めることになるので、喉を痛めるとともに、ストレスになる。

・滑舌を良くするために、口を大きく開けましょう
 …正しい母音の発声だとして、「あいうえお」の口の形をチェックさせ、たくさん動かして発声をさせたり、早口言葉を言わせたりする、こちらも鉄板“間違った教えあるある”。口を大きく開けると滑舌は悪くなるので、この教えは誤り。舌や唇を大きく動かせば、当然動きも鈍くなる。神経系は異常に興奮するので、噛む回数も増える。

・口角を上げて、笑顔で話しましょう
 …笑顔を固定させて、なんなら目も大きく見開かせ、頬の上部が膨らんだ状態で話し続けさせる、“間違った教えあるある”。明るい声や優しい声を作るのは口角ではなく、聴覚であり、メンタルと性格も関わるので、口角さえ上げればいいというのは誤り。笑った時に自然と口角が上がるのは問題ないが、口を横に引っ張ると、口腔(口の中)が狭くなるので、うまく子音の発音ができない。

他にも、某話し方のベストセラー本には「電話の時は低い声で話しましょう」と書いてあったり(上述の通り、人によって音程が異なるので誤り)、「『ご飯に行きませんか』よりも『うまいパスタ屋さんがあるから行かない?』のほうが良い」と書いてある(自分の性格や相手との関係性によるので、良いとは言い切れない)ものもあります。


では、なぜ “間違った教えあるある”を教える話し方教室はなくならないのでしょうか?これについても私の考えを列挙したいと思います。


・話し方のベストセラー作家が、トークを教えたことがない問題
…自分がうまくいった方法を並べているもので、あらゆる人に応用できるものではない内容が多いです。「電話の時は低い声で話しましょう」という記述はまさにそうで、電話になると異常に声が高くなってしまう方は、やや低めを意識したほうがいいですが、人によっては、電話になると異常に声が低くなってしまう方もいるのです。たくさんの生徒さんと向き合っていたら、こういった教えは出てこないはず。

また、売れる本には「たった1日で良くなる」や「たった1分で良くなる」とタイトルに入っていることが多くありますが、本当にたった1日で全て解決するのでしょうか?本を売るためにはそういった文言はあったほうがいいのでしょうが、話し方の解説にしては、あまりに軽はずみな文言ではないかと思ってしまいます。

しかし、売れているという理由で、話し方教室の参考図書になっているものも、少なからずあると思います。

・メディア露出のなくなったアナウンサーが転職する問題
…そのこと自体が悪いという意図は一切ないです。自分もそれほど多く出演しているわけではないですし、トークレッスンがなかったら本も書いておりませんので、それに伴うプロモーション出演もしていなかったら、出演はさらに少なくなっていたと思います。

問題は、仕事がないからという理由だけで、学びを深めないまま、話し方教室を開講したり、話し方講師に登録する方が多いことです。どんなに美しく原稿を読むことができても、話し方を教えるためには、原稿を作る技術も、原稿がない時に話すスキルも必要だと私は思います。普通に話す時に原稿なんてありませんので。また、声や呼吸については、脳や聴覚についての知識がなくては、上述のような“間違った教えあるある”を繰り返すことになってしまいます。

・責任感がない講師の人が多い問題
トークの指導は、良くも悪くも人の人生を変えます。「もっと口を大きく開いて」と言われた生徒さんは、口を大きく開いてたくさん動かすことで、神経系を興奮させ、噛む回数が増え、話すことへのコンプレックスが強くなり、何かを話して相手に伝えること自体を諦めてしまう可能性すらあるのです。

自分のビジネスのためだけに、“間違った教えあるある”を押し付けるのは、とても危険なこと。そう思わない講師の人がいると思うと…ゾッとします。

・正しい知識を教えてくれる講師がいなかった問題
私も数多くのボイストレーニングに通いましたが、意味のわからない抽象的な言葉を並べられて、「わからないほうが悪い」なんて言われたこともありました。私が初めて「口を大きく開けないほうがいい」と教わったのは、ラジオ局に入社してからです。現場の声優さんが指摘をしてくれました。それまでは、口を大きく開けてたくさん動かすことが、滑舌を良くする唯一の方法だと思っていたのです。

その後、私のバイブル本となる『8割の人は自分の声が嫌い』(角川新書)の著者で、声と脳の専門家である山﨑広子先生から勉強させていただくことで、知識を深めることができました。

自分だけがその知識を享受するなんてことはあってはならないと思っているので、コラムや動画やオンラインサロンでお伝えしている次第ですが、自分だけが教えるのではなく、講師を養成するような仕組みを作ったほうが良いのではないかという気がしてきております。

これ以上、“間違った教えあるある”が広まらないように。がんばらなくてはいけないですね。

【五戸美樹】(コラム「第82回・元ニッポン放送アナウンサー五戸美樹のごのへのごろく」)(題79回までは日刊スポーツコムに掲載し、オンラインサロンのライブラリに抜粋。第80回以降ライブラリにのみ掲載)

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