ピアノ指導者のための実践ノート|第1回

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ピアノ指導者のための実践ノート|第1回

練習してこない子の30分レッスン、どう組み立てる?


「先生、今週は練習していません」

そんな言葉を聞いたとき、今日のレッスンをどう進めようか、迷うことはありませんか。

先週の続きを進めたい。
でも、その前に確認しなければならないことがある。
練習の大切さも伝えたいけれど、その話だけで30分が終わってしまうのは避けたい。


私がまず行うのは、練習してきたかを聞き、前回の内容をどこまで覚えているか確かめることです。

練習してこなかった子とは、その場で一緒に復習します。
片手ずつ弾く。歌いながら弾く。そして、両手を合わせる。
そのとき大切にしているのが、細かく区切ってレッスン中に確実に弾ける部分を作ることです。

今回は、この実践をもとに、練習してこなかった日のレッスンの組み立て方をお話しします。
※本文の指導の流れは、江尻明日香が共有した実践に基づいています。
声かけ例・30分の時間配分・配布シートは、その実践を読者が試しやすい形に整理した提案です。
特定の生徒との会話を再現したものではありません。


1.困りごと――前回の続きに、そのまま進めない日


練習してこなかったと聞くと、前回教えたことを、もう一度最初から説明しなければならないように感じるかもしれません。
けれど、まず確かめたいのは、前回の内容が、今どこまで残っているかです。

「練習していない」という言葉だけでは、どの部分を覚えているかまではわかりません。
右手の始め方は覚えているのか。歌なら思い出せるのか。両手にしたところで止まるのか。

今日のレッスンは、その確認から始めます。
「今週は練習できたかな?」
「前回やったところ、どこまで覚えている? 一緒に確かめてみよう」

質問だけで答えが出ないときは、短い部分を実際に弾いたり、歌ったりしてみます。
言葉で説明できることと、弾いて示せることの両方を見ていきましょう。

2.観察ポイント――片手でできること、両手で止まるところ


私の実践では、復習の中で、片手ずつの練習や歌いながら弾く方法を使い、そのあと両手を合わせます。
ここでは、その流れを確認表に整理しました。
すべてを毎回行うチェックテストではなく、必要なところを選ぶための表です。


1.前回の内容をどこまで覚えているか
- 試し方:本人に聞き、短い範囲を弾いてもらう
- 次に取り組む候補:覚えている部分から復習を始める

2.右手だけなら弾けるか
- 試し方:短いまとまりを右手で弾く
- 次に取り組む候補:迷う音や指の前後を区切る

3.左手だけなら弾けるか
- 試し方:同じ範囲を左手で弾く
- 次に取り組む候補:伴奏の動きや次の位置を確認する

4.歌と演奏を合わせられるか
- 試し方:必要な部分を歌いながら弾く
- 次に取り組む候補:歌だけ、片手だけに分けて確認する

5.両手のどこで動きが止まるか
- 試し方:ごく短い範囲を両手で試す
- 次に取り組む候補:同時に動くところ、交互に動くところを取り出す

6.同じ部分をもう一度始められるか
- 試し方:手を準備し直して再度弾く
- 次に取り組む候補:教師の助けを減らして確かめる

「片手では弾けるのに、両手だと止まる」という場面では
片手練習をもう一度繰り返すだけでなく、両手を合わせるときの動きそのものを見ます。

右手と左手が一緒に動くのか。
片方が音を保っている間に、もう片方が動くのか。次の音へ移るとき、どちらから準備するのか。
どの動きをつなげればよいかを、小さな範囲で探していきます。

3.指導手順・声かけ――確実に弾ける部分を作る


① 練習してきたかを聞き、前回の内容を復習する
練習してこなかった子とは、一緒に復習します。
本人が覚えているところを確かめながら、片手ずつ弾く、歌いながら弾くなどの方法を選びます。
「右手だけで、ここまで弾いてみよう」
「今度は歌いながら、同じところを弾いてみよう」

歌うことと弾くことを同時に行うのが難しければ、まず歌だけ、次に片手だけと分ける案もあります。
方法をこなすことより、今の課題がどこにあるかを確かめることを優先します。

② 両手を合わせる範囲を、細かくブロッキングする
ここでいう「ブロッキング」は、確実に弾ける部分を作るために、練習範囲を小さなまとまりに区切ることです。
和音をまとめて押さえる練習だけを指しているわけではありません。

区切りは、必ずしも1小節単位とは限りません。課題に合わせて、1拍や二つの音のつながりまで小さくします。
たとえば、両手を合わせると途中で止まるなら、止まる箇所へ入る直前と、その次の動きを取り出します。
「今日は、まずこの二つの動きをつなげてみよう」

楽譜の長さだけで決めず、本人が扱える動きのまとまりを探すのが、この段階のポイントです。

③ 両手の動きをコネクトできる部分を見つける
細かく区切ったら、その中で右手と左手の動きをつなげられる部分を見つけます。
以下は、指導の考え方を具体化するための例です。

1.右手と左手が同時に音を出す
- 取り出して確認すること:その瞬間の両手の準備と動き
- 声かけ例:「ここは両手が一緒だね。次はどう動く?」

2.左手が音を保ち、右手が動く
- 取り出して確認すること:左手を保ちながら右手を動かす手順
- 声かけ例:「左手はそのまま。右手だけ次へ行ってみよう」

3.右手と左手が交互に音を出す
- 取り出して確認すること:動く順番と、次の手の準備
- 声かけ例:「右、左。その順番を、ゆっくりつなげよう」
実際の音価やリズムは、取り組む楽譜に合わせて確認します。説明のために動きを取り出したあとは、元のリズムでも試します。

④ 同じ動きを繰り返し、もう一度できるか確かめる
つながる部分が見つかったら、何度も繰り返し、動きとして覚えていきます。
私が大切にしているのは、レッスン中に「確実にできる場所」を作ることです。
その確認方法として、次のような手順を提案します。

1. 短いまとまりを、教師と確認しながら弾く。
2. 迷った動きがあれば、さらに小さく区切る。
3. 同じまとまりを、動く順番を確かめながら繰り返す。
4. 手を準備し直し、教師の声かけを減らしてもう一度弾く。

偶然一度通っただけなのか、自分で始めて同じ動きをつなげられるのかを分けて見ます。
ただし、その日にできたことが翌週も必ずできると決めつけず、次回も復習で確かめます。
「今のところ、もう一度自分で始めてみよう」
「ここは、自分で両手の動きをつなげられたね」

⑤ できた部分を、隣のまとまりにつなぐ
一つのまとまりが安定したら、隣のまとまりを加えてみます。
Aの部分とBの部分をそれぞれ弾けても、AからBへ移るところで止まるなら、その境目を新しい小さなまとまりとして取り出します。
「それぞれは弾けたね。今度は、ここの最後から次の最初へつなげてみよう」

長くした途端に難しくなれば、確実にできた範囲へ戻ります。
今日どこまで広げるかは、生徒の様子に合わせて決めましょう。

●30分に整理すると――時間配分の一例
以下は、ここまでの実践を30分に配置した提案です。
毎回この時間で進めているという記録ではありません。

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