ラノベの書き方で重要なのは「主人公キャラの好感度を下げない」こと
テキスト
- 内容
- ライブラリ
この記事の作者はプロのラノベ作家です。
今回は、中級者以上の向けの内容となります。
小説の人気を出すためには、主人公の好感度ゲージのようなものをイメージしながら物語を書く必要があります。
主人公キャラは基本的には読者が感情移入するための媒体であり、物語開始時点で好感度ゲージはゼロからスタートします。
ここから主人公の好感度ゲージを上げていき、読者に「この主人公いいキャラクターだな」と思ってもらうのが小説、特にラノベを書く作業の基本方針となります。
例えば有名な例で知られるのが、『Save the cat の法則』「主人公が子猫を助ける」です。
作中これをやるだけで主人公の優しさアピールにつながり、好感度は+5点のような形で伸びます。
※5点といった点数の数字は適当です。あくまで自分の中で相対的な点数がイメージできていて、かつその点数増減によって主人公の好感度ゲージが増えたり減ったりしている画をイメージすることが大切です。
ほかにも、「傷ついた仲間を助ける」といったこともほぼ間違いなくプラスポイントにつながります。
またいい人アピールだけではなく、例えば男主人公であれば「ちょっとえっちなことに興味がある」や、女主人公であれば「少女漫画の少し過激なシーンが目に入って顔を真っ赤にしている」といった項目もプラスポイントになることが多いです。
子猫を助けるのとは異なり優しさアピールとはなりませんが、等身大の「人間らしさ」アピールにつながり、読者がそのキャラを身近に感じて共感しやすくなるからです。
ちなみに、まれに「そんなテンプレートばかりやっていたら好感度は稼げるかもしれないが個性的なキャラクターではなくなる」という意見がありますが、そんなことは全くありません。
個性とは既存のテンプレートを型はそのままに中身だけ変えるということです。
例えば最初の「主人公が子猫を助ける」というのを「ある雨の日、主人公がなぜか河川敷でケガをして弱っていたビーバーを助ける」に変えただけでも、弱いものを守る主人公というテンプレ部分は変わっていないためプラスポイントとなります。
個性面でも「ビーバーを助けるって新しすぎだろ」と新規性をアピールすることができます。
何なら子猫やビーバーでなくとも、「海辺に打ち上げられていた、出生不明の一人の少女を助ける」として順当に好感度ゲージを稼ぎ、そのままその少女とのストーリーを展開していくのでも別に構わないということになります。
一方で、上記とは異なりゲージを下げるという要因も当然存在します。
極端な例をあげれば、「友達からもらった大事なプレゼントを平気で意味もなく壊す」といった要因は、簡単に主人公の好感度ゲージを一気にマイナス100点まで追い込むことができます。
なぜここまで一気に点数が落ちるかというと、読者にとって「なぜその行動をとらなければいけないのか、その意味が全く理解できないから」です。
なので例えば「主人公が人を殺す」という要因でも、これが「主人公がなんとなく人を殺している」であるとマイナスポイントになりえますが、「男主人公が、大切な女性を守るために、ある人を殺した」という理由があれば、微弱なマイナスポイントで済む、もしくはプラスポイントとなるパターンもあります。
これも原因は、その理由が読者にとって理解できるか否かという部分です。
前者は何故人を殺しているのかがわからないからマイナスポイント、でも後者は人を殺している理由が分かる(場合によっては共感さえできるかもしれない)からこそ、そのマイナスが大きく減るということになります。
以上をすべて踏まえたうえで、例を出して考えてみましょう。
「女装する男性主人公の好感度ゲージは、作中で一体どれだけプラスに傾いているでしょうか?」
第一に、核となる「女装をしている」という項目は、主人公の好感度ゲージに一体プラス何ポイントもしくはマイナス何ポイントの影響を及ぼしているのかが重要です。
※また、そもそもこのゲージを意識しながら女装という設定を扱えているかどうかが問題です。
ここから先は作中の描き方や文章にもよって大きく左右されますが、なんとなく女装が好きだったから女装をしているというだけではおそらくプラスポイントにはなりません。
なぜなら読者が、主人公がなぜ女装が好きなのか、その意味が分からないからです。
本質的な問題点は「そもそもプラスポイントになりえない設定を"斬新だから"という理由だけで採用してしまうと、失敗するということです」
「斬新な設定を採用しているから、他の作品と差別化されて面白くなるだろう」というのは、勘違いです。
主人公の好感度ゲージの存在を念頭に置いて考えねばなりません。
特にこれは作家共通の注意点として、一番厄介なのが「作者自身がマイナーな趣向を持っていて、それを無条件に面白いと思っている」パターンです。
(例えば、作者がカバディというスポーツが大好きで、作中キャラクターがカバディをしているだけの小説が作者としては最高に面白い。しかし、読者目線ではカバディは別に面白い要素ではなく、さらになんでカバディを楽しんでいるのかの意味が理解できないので、もはやジャンルそのものがマイナスポイントになってしまっている――といったパターンです)
女装が好きな男性主人公にする場合は、女装に興味がない読者層でも主人公の好感度がプラスポイントに働くにはどうすれば考え、答えを用意できると、作品としてより洗練されたものになります。
2023年11月9日に作成した記事
エンタメノベルラボに入会するとより高度な情報が閲覧できます
ぜひ入会してください!
フォローしたサロンの情報を、ご登録のメールアドレスにお届けします。
サロンをフォローする
-
換骨奪胎で新しい物語を作り出す小説講座。講師、梶永正史先生
このミス大賞受賞作家:梶永正史先生による講座 物語における「換骨奪胎(かんこつだったい)」…
動画
-
Web小説でストレス展開を上手に入れる方法とは?
️この記事はプロのラノベ作家が監修しています。 Q.Web小説でストレス展開を上手に入れる…
テキスト
-
Web小説の変化、キャラクター性が重視されるようになっているのはなぜ?
️この記事はプロのラノベ作家が監修しています。 Q.Web小説の変化、キャラクター性が重視…
テキスト
-
小説の執筆。アウトプットとインプットどちらを優先すべき?
️この記事はプロのラノベ作家が監修しています。 Q、時間がない場合、アウトプットとインプッ…
テキスト
-
みんなを守りたい!という意識高い系主人公はなぜ人気が出ない?
この記事はプロのラノベ作家が監修しています。 Q、みんなを守りたい!という意識高い系主人公…
テキスト
-
ラノベでウケるおっさん主人公の5つの特徴とは?
この記事はプロのラノベ作家が監修しています。 Q.ウケるおっさん主人公の特徴とは?最近、ラ…
テキスト
-
Amazon著者セントラルの登録方法と書籍の売上が上がる使い方
Amazon著者セントラルの登録方法と書籍の売上が上がる使い方を解説します。\本を出したら…
動画
-
すべての物語ジャンルで使える型・仲が悪かった主人公と相棒が仲良くなる
この記事はプロのラノベ作家が監修しています。 Q.仲が悪かった主人公と相棒が徐々に仲良くな…
テキスト
-
小説の冒頭の書き方の重要点まとめ講座。講師、梶永正史先生
小説の冒頭の書き方の重要点まとめ このミス大賞受賞作家:梶永正史先生による講座 小説で最も…
動画
-
幼女主人公の小説の利点とは?女性読者ニーズを満たすのに有効
この記事はプロのラノベ作家が監修しています。 Q.幼女主人公の小説の利点とは? 市場に出て…
テキスト
-
男性向けの女性主人公小説の重要ポイントは、無双とギャグ感
この記事はプロのラノベ作家が監修しています。 Q.男性向け女性主人公小説を書くコツとは?男…
テキスト
-
小説の心理描写の書き方のコツ。地の文のテクニック
小説の心理描写の書き方のコツ。地の文のテクニックこのミス大賞受賞作家:梶永正史先生による講…
動画
-
書籍化作家によるWeb小説スローライフ物の書き方講座
Web小説で書籍化を狙うためのスローライフ小説の書き方講座です。 講師は、スローライフでW…
動画
-
主人公が辛い環境でもやりたいことを楽しんでいる小説はヒット可能性が高い
この記事はプロのラノベ作家が監修しています。 Q.主人公が辛い環境でもやりたいことをして楽…
テキスト
-
Web小説の幼女転生のニーズ、テンプレとは何か?
この記事はプロのラノベ作家が監修しています。 Q.幼女転生を次は書こうと思って、研究してい…
テキスト
-
視聴、閲覧して欲しいノベラボの過去の創作講座
2018年から運営されているエンタメノベルラボの過去の小説講座の中でも、特にオススメの講座…
テキスト
-
小説の書き方の重要点まとめ講座。講師、梶永正史先生
小説の書き方の重要点まとめ講座このミス大賞受賞作家:梶永正史先生による講座 前半は、小説の…
動画
-
Web小説コンテストを受賞。エンタメノベルラボ会員のインタビュー
2025年6月25日、エンタメノベルラボで、Web小説コンテストを受賞し書籍化が決まったメ…
テキスト
-
Web小説投稿サイトから書籍化決定!ラボメンバーのインタビュー
2025年6月18日、エンタメノベルラボで、Web小説投稿サイトから書籍化が決まったメンバ…
テキスト
-
Web小説コンテストを受賞。ノベラボ会員のインタビュー
2025年6月4日、エンタメノベルラボで、Web小説コンテストを受賞し書籍化が決まったメン…
テキスト
オンラインサロン情報
小説家オンラインサロン【エンタメノベルラボ】書籍化&新人賞受賞者多数!
サロン紹介
- 運営ツール
- DMMオンラインサロン専用コミュニティ