深淵の森-天城連山- #2
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森の入り口に着いたのがまだ夜も明けぬ青い世界の時間。
さて久々の天城はどんな姿をみせてくれるのだろう?手引頭の入り口についた
この期待感というかどんな出会いがあるのかという感情はいつも迫りくる夜明けとともに増してくる。
次第に明るくなってくるその雰囲気は、堪らなくて最初の一枚を切るタイミングを惑わす。
でも、なるべく早く、しかも適当とは言わないがシャッターを切りたいのだ。
最初の一枚を撮ると、なぜだか肩の力は抜けていつもの自分に戻る気がするから。
こんな事いうのも初めてだが、通称「たこぶな」と呼ばれているブナをまともに撮った事がほとんどないのだ。
記憶の中では、歩きはじめの初期の頃、霧の中で1回雪の中で1回だったと思う。
私が森に入り始めた時、まず人と会う事はなかった。
しかも夜歩いて頻繁に撮影している人は恐らく私だけだっただろうと思う。
いろんな恐怖や葛藤の中で続けて来たこの天城との本気の関係は、やはり畏敬の念が始まりだ。
最初は前田真三賞へと応募するためにだけで天城を始めたので、今考えればその目的があまりにもくだらなく腹立たしい。
そして同じようにその時に天城の森へ自分の欲(コンテスト)の為に求める事の恥ずかしさをなぜか感じたのだった。
このころから、その違和感は大きなっていき、毎回入る暗闇の道でずっと考えていたと思う。
皆さんと一緒かわからないが、なぜ私はこの天城を撮るのだろう?という動機がどうしてもわからなかった。
コンテストが終われば、もういいだろう・・そう思っていたのに気付けばそのまま続けて行ったのだから不思議だ。
でも、その当時の私には寄り添う事のできる存在はいなかった。
30歳頃の普通ならば、仕事も軌道にのり楽しい週末にお酒を酌み交わしたり彼女がいたり旅行へ行ったり・・・・とあるだろう。
全部捨てよう。そう決めたのは自分だ。そうしなきゃ追いつかないんだから・・・・
私が重いカメラバックをしょって武器にもなりそうなアルミの三脚4キロ以上を持って家の玄関を出ると
大きな笑い声と楽しそうな飲み会帰りの会社員がいつも目に入った。
それを横目に車を走らせて、皆が眠る夜に森を一人意味もなく歩くんだから、やっぱり理解はされないだろう。
こんな毎日を繰り返していると、知らない内に私の寄り添う場所は天城しかなくなっていたのだ。
まぁ~自分で決めた10年の中で写真家として立つ事を決めた以上、その時はすこし寂しかったけど楽しかった。
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写真家土屋正英 風景写真の世界 -自然へ帰る旅-
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