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700万円落札→賞金10億円越え!シンクアバウトイットを分析する

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700万円落札→賞金10億円越え!シンクアバウトイットを分析する
みなさんこんにちは、ジェイです。

今回は血統アドバイザーエムイシ氏による活躍馬の血統分析コラム『シンクアバウトイット編』になります。

基本情報


生年 2018
性別 セ
毛色 鹿毛
父 So You Think
母 Tiare
母父 Flying Spur
調教師 J.プライド
生産者 Lightning Thoroughbreds
馬主 Proven Thoroughbreds, Mr R J Miller Et Al
通算成績 17戦11勝[11-1-2-3]
主な勝ち鞍 ジエベレスト ストラドブロークハンデキャップ(G1) キングスフォードスミスカップ(G1)
https://world.jra-van.jp/db/horse/H1016650/

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本編 (執筆 血統アドバイザー:エムイシ氏)

JJレーシングでは、安くて堅実な馬を探す事を優先している。

安い馬は、言い換えれば(セリの段階では)評価されてない馬であり、その中から掘り出し物を探す楽しみを存分に味わえるクラブである。

そんな安物の中から、昨年超大物が出た。

シンクアバウトイット【Think About It】


全体でも3位、芝レースに限れば世界最高賞金額となるジ・エベレストの勝ち馬。
ジ・エベレストはオーストラリアのランドウィック競馬場で行われる1200mのレースで、総賞金2000万豪ドル(約20億円)、1着賞金700万豪ドル(約7億円)のお祭りレース。

わずか7万豪ドルで落札された馬が、わずか1レースで700万豪ドルを稼いだとなれば正真正銘のオーストラリアドリームだろう。

3番 赤帽子に黒い勝負服がシンクアバウトイット。




この馬の記事を書くようにジェイさんから指令が下り、ジ・エベレストのゴール前の走りを見た瞬間に「足捌きが良いな。ニジンスキーかな」と感じた。

今回はその「ニジンスキー感」について解説する。



ニジンスキー【Nijinsky】



ニジンスキー(Nijinsky II)概略
1967年にカナダで生まれた競走馬。父はノーザンダンサー、母はフレーミングページ。体高170cmを超える大型馬で、1970年にイギリスクラシック三冠(2000ギニー、エプソムダービー、セントレジャーステークス)を達成。35年ぶりの快挙を成し遂げた。生涯成績は13戦11勝。引退後は種牡馬としても成功し、多くの優秀な産駒を輩出した。代表的な産駒にはマルゼンスキーやカーリアンがいる。

カナダの名馬産家E.P.テイラー氏の生産。

産駒は世界中で走り、代表産駒はラムタラ(欧州3冠)、ファーディナンド(ケンタッキーダービー)、マルゼンスキー(ニジンスキー最高傑作)など。

スピード・パワー・スタミナすべてを兼ね備え、産駒もマイルから長距離、アメリカのダートも走る万能種牡馬であった。

現代ではスタミナ要素が強調されてしまい、スピードを求める現代では直系はほぼ残っていない。
しかし、牝系に入って底力として多くの名馬の源となり、日本でもスペシャルウィークやタイキシャトルなど数々の名馬の牝系で輝いている。

運動神経の塊
ニジンスキーに関して個人的に注目している点は、運動神経の良さ。

キングジョージの映像。古い映像なのでかなり見づらいが、いくつかのポイントが見える。
・首が高い
・上体が安定している
・足捌きが軽く、見るからに省エネ走法



ニジンスキー産駒にも受け継がれている。

映像的にはこちら⬇️のほうがわかりやすいかもしれない。

どちらも柔らかい血が入っているので日本的なダイナミック感は出ているが、「運動神経が良さそうな脚捌きの良さ」は何となく分かると思う。
*直線から勝ち馬を見るだけで大丈夫です。





では改めてシンクアバウトイットのジ・エベレストを見ていただきたい。


脚捌きの良さ、上体のブレ無さを感じれるであろう。
これがニジンスキーの血統を増幅させる血統である。



ニジンスキーと相似血統


ニジンスキーニジンスキーと言うが、血統表を見る限りでは父方に1本入っているだけである。

これで「影響力」というと鼻で笑ってしまうだろう。
しかし、このシンクアバウトイットは、かなりのニジンスキー増幅血統の持ち主である。

特に重要なのがニジンスキーの母のフレーミングページ(Flaming Page)の血統。


これを軸に据えると、実に面白いものが見えてくる。

結論から言ってしまえば、フレーミングページはトムフールとよく似ている。2頭はメノウ、ブルドッグと言うアメリカを代表する超良血を共有し、この血統こそが足捌きの良さ(=運動神経、機動力)の源である。


なので、「トムフール的か」に注目していただきたい。

「トムフール感」が足捌きの良さを現代まで伝える超重要ファクターであり、ニジンスキーの足捌きが良いのもトムフールから説明ができる。



母父Flying Spur


まず父デインヒルにトムフール(父母母父父)が入っている。

さらに、ニュージーランドで一大勢力を築くサーアイヴァーの母、Attica(アッティカ・母母父母)に注目すると


父Tom Fool と 母Attica の架空血統表
このように、Pharamond・Alcibiades・Bull Dog=Sir Gallahadを共通する3/4同血となる。
つまり、サーアイヴァーとニジンスキーはトムフール的な血統を通じて脚捌きの良さを伝えるのである。



母母父Zabeel


この馬もサーアイヴァー系なのでAtticaを通じてトムフール成分を補給。

母母母父Bluebird


母父がまたしてもサーアイヴァー。つまり、その母Attica。

しかも母母父Tim Tamは父トムフールかつBull Dog 3✕3のアメリカパワー増強血統。



トムフールまとめ

⇩Think About itの5代血統表⇩



トムフール≒フレーミングページ≒アッティカ 5×7・6・6・7・8

血量の計算で言えば約8%になる。

これは5×5(6.25%)より濃い計算になるし、4×5(約9.4%)に匹敵する。
なにより同じような傾向の馬が何頭も入っているのだから、その傾向はより強くなる。

また配合の方向性として非常にバランスが取れている。

・配合の中心はトムフール
・トムフールに不足しがちな底力を父から大量のハイペリオンを補給
・それだと硬すぎるので、多数のナスキロ(ナスルーラ+プリンスキロ)で芝適性アップ

トムフール的血統以上にナスキロ的な血統も多い。
さらにチョップチョップというカナディアンパワーな馬も隠れており、柔剛に技も組み合わせた構成になっている。

能力の方向性としては、柔軟性に富みスピードもある構成。
燃費が良く、距離の柔軟性も効きそう。
足捌きが良い(運動神経が良い)ため、小回りや急坂、急なペースのアップダウンも対応できそう。

ただ、一方でトムフール的な血統も目立った特徴とまでは言えない濃さなので、見抜くには相当な眼力が必要であるだろう。



私自身、歩きやキャンターで血統背景を深く探れるようにしたいものだ。



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オーストラリアNSW州の中條大輝調教師と、馬主インフルエンサーのジェイによる会員制コミュニティです。「馬を選び育む喜びを、共に」をコンセプトに、コラムや懇談会で馬の勉強をし、その内容を活かして皆でセリに参加します。
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