【接客の質問】処方薬を服用中の高齢者に栄養ドリンク剤を販売してもいい?

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【接客の質問】処方薬を服用中の高齢者に栄養ドリンク剤を販売してもいい?

本コラムは「架空の接客」を想定したQ&Aです。無料サンプルのため、会員以外の方も最後まで閲覧することができます。「OTC医薬品を正しく選ぶ教室 」では、今後このような接客の悩みへの回答を追加していく予定です。

今回は、教室のオーナーである薬剤師の村松から回答いたします。


質問

登録販売者試験に受かったばかりの初心者です。
勤務している店舗で、把握しきれないほど多くの処方薬を飲んでいる高齢者の方から、「栄養ドリンク剤を買いたい」とのご相談がありました。処方薬を服用中との情報から、「かかりつけ医・かかりつけ薬剤師に相談してください」と伝えましたが、聞き入れていただけませんでした。お客様は「味を確かめたい」と言って、医薬部外品を含む栄養ドリンク剤を4種類、買っていかれました。

かなり押しの強いお客様であったため、最終的に販売してしまいましたが、これらは高齢者が服用しても大丈夫でしょうか?販売後に不安になってしまい、このような形で質問させていただいております。よろしくお願いします。


回答

まず、大前提として、「これらは ”高齢者” が服用しても大丈夫でしょうか?」とご質問いただきましたが、医薬品を販売する際は、「高齢者」で一括りにするのではなく、お客様ごとに個別で考えるようにしましょう。



栄養ドリンク剤の特徴を把握しよう

栄養ドリンク剤の主な特徴は、以下の通りです。

・糖分を多く含む
・カフェインを含むものが多い
・アルコールを含むことがある
・カンゾウを含むものもある

「たかが栄養ドリンク剤」と考えるお客様も多いと思いますが、過剰摂取により持病が悪化するリスクもあります。
今回の場合、たくさんの種類の処方薬を服用中とのことなので、結論としては、栄養ドリンク剤は販売せずに医療機関の受診をすすめるのがよいと考えられます。その理由を、順を追って解説します。


持病がある人の「漠然とした体調不良」には要注意

このケースでは、なぜお客様がドリンク剤をほしがったのか記載がないですが、「疲れやすい」「倦怠感」などの症状があったと推測されます。
持病を複数抱えているお客様では、そもそもそのような「漠然とした体調不良」の原因が、「薬の副作用」や「持病の悪化」であることも考えられます。そのため、受診が遅れることによる症状悪化のリスクがあることを説明し、かかりつけ医やかかりつけ薬剤師に相談するよう促してください。


おすすめの対応

次回からは、以下のように対応するのがおすすめです。

✔ お客様が栄養ドリンク剤を希望される理由を確認しよう
→ 持病のあるお客様の「疲れ」や「倦怠感」などの症状は、「薬の副作用」や「持病の悪化」などが原因の可能性もあることを伝えましょう

✔ 栄養ドリンク剤のリスクについて伝えよう
→ 栄養ドリンク剤は、糖分の摂りすぎによる持病の悪化(糖尿病など)もありうることを伝えましょう

✔ 処方薬との相互作用のリスクについても伝えよう
→ お薬手帳がなければ、店舗の薬剤師でも併用の判断が難しい旨を伝え、お薬手帳を持ってかかりつけ医やかかりつけ薬剤師に相談するよう促しましょう

今回は「押しの強いお客様」への対応だったと記載がありましたが、確かに販売をお断りするのはなかなか難しいことですよね。しかし、あやふやなままお客様に商品を販売すると、今回のように販売後にモヤモヤを抱えることになります。すると、お客様の健康リスクが心配なだけでなく、自分自身の心の健康にも影響が出てしまいます。徐々に接客に慣れて、「販売をお断りする理由」を適切に伝えられるようにしていきましょう。


不安な接客があった時の対応

新人のうちは、医薬品の接客で不安な場面もたくさんありますよね。このような接客があった時は、接客の内容を記録に残すことをおすすめします。

今回のケースでは、質問者様は最初に販売をお断りしており、その上でお客様は購入をされています。日付や時間帯、その時にあったやり取り(会話)、購入した商品などを手帳やメモなどに記載しておいてください。そうすることで、お客様から再度ご相談があった場合や、何か体調不良を起こした場合にも、対応がしやすくなりますよ。

(執筆者:村松早織)

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