日本会計基準とIFRS──数字の見え方が変わる会計ルールの違い
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M&Aや決算のニュースでよく耳にする「IFRS(国際会計基準)」という言葉。
「なんとなく海外の基準」「グローバル企業が採用しているもの」と思っている方も多いかもしれません。
しかし、会計基準の違いは利益の見え方を大きく左右する要因です。
たとえば同じ企業を買収しても、日本会計基準では毎年「のれん償却費」が発生し、利益が少なく見えるのに対し、IFRSでは償却を行わないため利益が大きく見えることがあります。
つまり、企業の実態が変わっていなくても、会計ルールが違うだけで「成長しているように見える」ケースがあるということです。
前回のコンテンツ「M&Aの基本を理解しよう!」
https://lounge.dmm.com/detail/8268/content/44925/
で解説したように、「負ののれん」を営業利益に含めて表示した結果、見かけ上の業績好調に見えた例もありました。
投資家が数字を鵜呑みにしてしまうと、本業の実力を見誤るリスクがあります。
本記事では、日本会計基準(J-GAAP)とIFRS(国際会計基準)の根本的な考え方の違いを整理しながら、「のれん」「負ののれん」「減損」「リース」など、実際の決算書に登場する項目を具体的に解説します。
M&Aや会計の仕組みを理解することで、“数字の裏側”を読める投資家になりましょう。
目次
・日本会計基準とIFRSの基本的な考え方の違い
・「決算短信」冒頭項目の違い
・のれんの扱いの違い
・減損テストと償却の違い
・負ののれんの扱いの違い
・リース会計の違い
・持分適用会社
・包括利益
・減価償却・有形固定資産の評価
・税効果会計の扱い
・引当金の扱い
日本会計基準とIFRSの基本的な考え方の違い
会計基準は、いわば「会社の成績表をどう作るか」というルールです。
上場企業が採用する会計基準には「日本会計基準」と「IFRS(イファース)(国際会計基準)」「米国会計基準」があります。
決算短信の表題には「2025年3月期 決算短信 [日本基準]」のように載っており、決算を見ればどの会計基準を採用しているかが分かります。
なお会社四季報では、IFRS採用の銘柄は業績欄に「♢」マークが記載されています(例:♢26.3)。
同じ経営でも、ルールが違えば数字の見え方が変わります。
米国会計基準を採用している銘柄は少ないので、日本会計基準とIFRSの違いを押さえておきましょう。
まずは、日本会計基準(J-GAAP)と国際会計基準(IFRS)の根本的な考え方の違いを押さえましょう。
日本会計基準(J-GAAP)の特徴:法令主義・形式主義
日本の会計は、会社法・税法などの法体系の延長線上にある「ルールベース」の制度です。
「こういう場合はこう処理する」という詳細な決まり(規則)が存在します。
例)
・減価償却はこの耐用年数で、定額か定率のどちらか。
・引当金は発生済みの義務があり、金額を合理的に見積もれる場合のみ。
・のれんは原則20年以内(多くは10年)で定期償却。
というように、明文化されたルールに沿って機械的に処理するのが特徴です。
また、日本会計は「確実に得られた利益しか認めない」という保守的な考え方をベースにしています。
・売上や利益は、実際に確定した時点で初めて計上
・費用は、できるだけ早めに計上(損は先に出す)
・資産や利益は控えめに、負債や損失は多めに見積もる。
そのため、数字は実態よりも少し厳しめに見える傾向があります。
これは「企業が潰れないように」「投資家を誤解させないように」という発想から来ています。
IFRS(国際会計基準)の特徴:原則主義・実質主義
IFRSは「経済的実態をどう表すか」を最重視する、原則主義(プリンシプルベース)です。
ルールよりも、「なぜその処理をするのか」という目的に沿って判断する仕組みです。
例:
・のれんは償却せず、価値が下がったときだけ減損する。
・引当金は、発生の可能性が“高ければ”将来支出を見込む。
・リースは、実質的に資産を支配していれば資産計上する。
つまり、「経済的な実態を財務諸表にできるだけ反映させよう」という考え方が根底にあります。
判断の自由度が高い分、企業の裁量や経営者の判断力が強く反映されるという特徴があります。
その結果、利益が大きく見える傾向がある反面、後から減損(損失)を一気に計上して利益が急落するリスクもあります。
同じ企業でも「見え方」が変わる
たとえば、ある企業が子会社を買収して「のれん」が発生したとします。
日本基準では、のれんを20年以内(多くは10年)で償却するため、毎年少しずつ費用として利益を圧迫します。
IFRSでは、のれんを償却せず、減損があるまで放置します。
この違いだけで、同じ会社でも営業利益がまったく違って見えることになります。
しかも、のれん償却はキャッシュアウトを伴わないため、日本基準では「キャッシュは増えているのに利益は減っている」という現象が起きやすいです。
「決算短信」冒頭項目の違い
決算短信1ページ目の冒頭の表には、売上・利益の一覧が載っていますね。
この項目も、日本基準とIFRSでは異なります。
典型的な例を示します。
日本会計基準の決算短信の構成
売上高:
期間中の総売上額。原価や費用を引く前のトップライン。
営業利益:
本業(営業活動)で得た利益。企業の実力を示す最重要指標。
経常利益:
営業利益+金融収支(受取利息・支払利息など)。日本特有の概念。
当期純利益:
税引後の最終利益。株主への利益配分の元となる。
1株当たり当期純利益(EPS):
純利益を発行済株式数で割ったもの。投資家向け指標。
見慣れていると思います。
「経常利益」が独自項目として載るのは日本会計の大きな特徴で、「本業+財務活動」を合わせた経常的な儲けを重視しています
IFRSにはこの「経常利益」という概念は存在しません。
IFRS適用企業の決算短信の構成
売上収益(Revenue):
IFRSで定義される本業の売上。日本の「売上高」に相当。
営業利益(Operating profit):
本業から得られた利益。日本基準とほぼ同じ意味。
税引前利益(Profit before tax):
金融収支や持分法損益を含む。経常利益の代替となる。
親会社の所有者に帰属する当期利益(Profit attributable to owners of the parent):
IFRSでは純利益をこの形で表示。少数株主分を除外。
1株当たり当期利益(EPS):
日本基準と同じく株主指標。
その他の包括利益(Other comprehensive income):
IFRSでは純利益と並び重視される指標。
「経常利益」がなく、「税引前利益(Profit before tax)」が代わりの位置です。「親会社の所有者に帰属する利益」が正式名称で、日本基準の純利益とはやや異なる概念です。
IFRSでは「包括利益(Total comprehensive income)」の重視度が高いです(後述)。
のれんの扱いの違い
M&Aで最も会計処理が分かれるのが、「のれん」です。
ニュースなどでもよく登場する言葉ですが、「そもそものれんって何?」という方も多いでしょう。
のれん・負ののれんについては前回のコンテンツ「M&Aの基本を理解しよう!」
https://lounge.dmm.com/detail/8268/content/44925/
で解説しましたが、改めて説明します。
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