Web小説でもウケて、市場でも売れる作品タイトルとは

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Web小説でもウケて、市場でも売れる作品タイトルとは

この記事の作者はプロのラノベ作家です。

Q.Web小説でもウケて、市場でも売れる作品タイトルとは?

以下のような仮説を立てているのですが、合っていますでしょうか?


①主人公が何者であるかわかる。
②主人公が何をするか、したいかわかる。目的の提示


以下、参考にした最近売れたカクヨムからの書籍化作品(2024年前半)


モブだけど最強を目指します!~ゲーム世界に転生した俺は自由に強さを追い求める~


クズレス・オブリージュ~18禁ゲー世界のクズ悪役に転生してしまった俺は、原作知識の力でどうしてもモブ人生をつかみ取りたい~


リピート・ヴァイス〜悪役貴族は死にたくないので四天王になるのをやめました〜


つまり、「誰が何をする話なのか?」物語のログラインを最初に示すことが重要ではないか?と考えています。


Web小説でも人気で市場でも売れた小説を分析すると、多くの場合、冒頭でこのログライン、主人公は何者で何をするのか?をすぐに提示しています。


これは漫画でも同じなので、コミカライズを狙う場合も重要かなと考えています。
「ONE PIECE」も「鬼滅の刃」も第一話で、主人公が「俺は海賊王になる」「俺は禰豆子を救う」と言っています。



A.一般的に、ラノベの物語の冒頭においては以下のどちらかをやっておくことが重要です。

①誰が何をする話なのかを、最初に示す
②強烈な分かりやすい旨味を最初に示す


上の①か②のどちらかです。(超例外的に③や④もありますが、ほぼ①か②と考えて問題ありません。)


①は文字通り、誰が何をする話なのかを最初に言えてしまった方が物語が読みやすく、かつキャラクターにも共感がしやすいというものです。これはWEB小説にも新人賞にも有効ですが、どちらかというと新人賞向きの考え方です。


②もWEB小説と新人賞両方に有効なのですが、どちらかというとWEB小説向きの考え方です。


『パーティを追放された主人公が、それならもう助けてあげないよと味方にかけていたサポート魔法を全て解いてしまう』みたいなものは、この②の典型例です。


主人公が何を目標とする人物かは示していない一方で、『ざまぁ』という強烈な旨味が最初に示されています。また古典的な例ですと、一番最初のシーンでヒロインがパンツか裸を誤って見せてしまう、みたいなものもこの②に相当します。


その意味で、もし②を採用しない場合は①を採用する重要性が高まって来るので、「誰が何をする話なのか?」を物語のログラインを最初に示すことはとても重要であるというのは間違いありません。


そしてこの①を採用しようとしている場合にプラスで考えると役に立つのが、その主人公のもっている目的が『マイナス1話型かどうか』という点です。


ONE PIECEの主人公ルフィは、1話で「俺は海賊王になりたい」ということを目標として掲げています。


ではもしONE PIECEに、第1話よりさらに1話遡った第0話や第マイナス1話が存在したとしたら、ルフィはその「第マイナス1話」でも、その目標を掲げているかどうかということを想像で考えてみます。


この場合、ルフィはほぼ間違いなく「第マイナス1話」でも、海賊王になりたいということを言っている可能性が高いです。


ルフィが何歳の時くらいから海賊王になりたいということを意識したのかは不明ですが、つい最近突然「海賊王になりたい」と言い出したわけではないことは想像できるので、結構前から言い続けている可能性が高いと思われます。


そのためONE PIECEはほぼ間違いなく『マイナス1話型』です。


一方で「鬼滅の刃」については、『マイナス1話型』ではありません。


主人公炭治郎は第1話で「俺は禰豆子を救う」と目標を掲げていますが、第0話や第マイナス1話でも「俺は禰豆子を救う」という目標を持っていたかどうかというと、間違いなく持っていません。


なぜなら禰豆子が敵に襲われたのが第1話であり、禰豆子が襲われなければこの「禰豆子を救う」という発想が出てこないからです。


なのでONE PIECEと鬼滅の刃では、主人公が目標をもっているという部分では同じですが、その型が大分異なります。


そしてこの『マイナス1話型』か否かという部分で、気を付けなければいけないことが変わります。


『マイナス1話型』である場合、つまりONE PIECEタイプである場合は、主人公が1話が始まった時点で目標を持っているので目標をすぐに言えるのですが、読者に対して「何故この人はそう思うに至ったのか」ということを1話で言及する必要があります。


一方で『マイナス1話型』ではない場合、つまり鬼滅タイプである場合は、1話の冒頭ですぐに「主人公は〇〇がしたい」と言うことができません。


一回事件を挟んでから、その事件を経て主人公は〇〇という目標を持ったという構成にする必要があります。

(鬼滅が、最初に禰豆子が襲われる事件を描き、そのあと炭治郎が「禰豆子を救いたい」と言っているのと同様です。)


そのため、一回事件を挟まなければいけないことから主人公が目標を提示するのに時間がかかります。


鬼滅においても、第1話は40ページ超ありますが、禰豆子を救うという目標が提示されるのはその40ページ超におけるほぼ最後のページです。つまり30ページ近くは主人公の目標がでてきません。


そのため読者には主人公の目標が提示されるまでの「事件」だけで読み進めてもらわなければならず、キャラクターの目標以外にこの事件をいかに面白そうに描けるかが肝となってきます。


ゆえに、「誰が何をする話か」だけに注意するだけでは少し不足しているということとなり、この点に気を付ける必要があります。


2024年4月26日に作成した記事


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