スローライフ系のWeb小説の重要なポイント「生存が保障されている」
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この記事はプロのラノベ作家が監修しています。
Q.スローライフ系の書籍化作品を読んでいて、重要なポイントとは「生存が保障されている。生きるためにあくせく働かなくて良い環境」に主人公を置くことではないか?という仮説を立てています。
例えば、ある書籍化作品では、冷蔵庫の中の食料が、神様から与えられた力によって無限に補充されるという設定になっています。
食料が無限に湧く冷蔵庫というのが、生存を保障しているため、焦らずにのんびり美少女やペットの犬と暮らせるという感じになっています。
(サバイバルしなくて済む)
大ヒット作『異世界のんびり農家』では、主人公は病で苦しんだことから「病気にならない身体」を神様からもらいます。
これによって、実は最強になっており、生存を外敵から脅かされることがなくなっています。
病気にならない最強の肉体、というのは生存が保障されている、ということであり、これがスローライフの核になっているようにも思えます。
(サバイバルしなくて済む)
おそらく、危険な状況に放り込まれ生存のためにサバイバルするというのは、スローライフとは真逆の要素で。
スローライフ系は、人里離れた山や島という一見、サバイバル環境にいながらも、そのサバイバル環境のデメリットを排することによって、「生存するめに必死に働かなければならないブラック企業とは真逆の自然環境の中で、美少女やかわいいペットとのんびり楽しいことをだけをして暮らすこと」のみを気兼ね無く楽しめるように設計されているのではないか? と考えていますが、いかがでしょうか?
A.結論から言うと、ご指摘の仮説はかなり的確で、スローライフ系において重要なのは「自然の中で暮らすこと」ではなく、「生存が保障された状態に主人公を置くこと」だと考えて問題ありません。
スローライフ系が読者に提供している価値は、サバイバルや自活そのものではなく、「生きるために必死にならなくていい環境で、好きなことだけをして暮らせる感覚」にあります。
ここを外すと、一気にジャンルがズレてしまうので注意が必要です。
「山小屋」における生活は、現実世界で考えればかなり厳しいものだと思われますが、(冷暖房がない、食料を確実に確保できるかわからない等)
エンターテインメントであるラノベという世界では、食料が無限に補充される冷蔵庫という設定によって「食べられるかどうか」という不安が完全に排除されているというのが、スローライフ系にするのであればほぼ模範解答に近いです。
病気にならない身体という設定もほぼ一緒で、生存が外敵や環境要因によって脅かされることがほぼなくなっています。
これは単に主人公が強いという話ではなく、「生き延びられるかどうか」という問い自体をそもそも考えておらず、物語の外に追い出している、という点が重要です。
言い換えると、スローライフ系の主人公は「生活基盤を作るフェーズ」から物語を始めているのではなく、「生活を楽しむフェーズ」からスタートしています。
設定的には、「まずは家から作ろう!」など、「生活基盤を作るフェーズ」から物語が始まっているような書き出しをしている作品も多いですが、
こういった場合も「もし家が1日経っても完成しなければ寒くて死んでしまう」や「家を作っているだけだと食料を取りにいく時間はないのでは」といった話題には触れることはまずありません。
そういった意味では、一見生活基盤を作るところから始まっている作品も、実質的には既に生存のための脅威が取り払われており、「生活を楽しむフェーズ」からスタートしていることが多いです。
これはスローライフにおけるクラフト系の展開においても同じことが言えます。
よくあるのが、「最初に畑を耕すためのクワを作る」のような何か物を作り出す展開ですが、こういった場合重要なのは、『まあ正直それが仮に作れなかったとしても死ぬことはないよね』という感覚です。
『別にクワがもし作れなくとも野菜は育つわけで、クワがなくても最悪手で掘り出せば食べるものは確実にあり、でもクワがあった方が作業は早くなるし便利ではあるよね』という考え方の、『なくても全然大丈夫だけどあったらすごく便利』というものを、スローライフ系では積極的に出していくと盛り上がります。
スローライフ系作品でアニメ化ないしは続刊10巻くらいまでのヒットシリーズ化を目指すという場合は更に別の戦略が必要にはなりますが、とりあえず書籍化するというラインを考えるのであれば、以上のことを心がければほぼ問題無いように思えます。
2025年12月24日に作成した記事
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