【文学シリーズ】南方熊楠と高野山

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【文学シリーズ】南方熊楠と高野山
 高野山と縁の深い文学者や各界の研究者はたくさんいる。今号からは、ゆかりの人々の軌跡を辿ることで、人とその生き様の断面から、高野山の魅力を紐解いていきたいと考えている。
初回には、和歌山が誇る世界的な博物学者、南方熊楠を取り上げたい。熊楠は生涯、高野山にも関心を持ち、記録に残っているだけで生涯において4回、登山・滞在している。高野山真言宗管長も務められた高僧・土宜法竜(1854-1923)との親しい交流、またお山の土壌を採取しての研究など、エピソードも多い。
知の巨人と称される博覧強記の思想体系には、真言密教のエッセンスも積極的に採り入れている。俳句や短歌など文芸創作もした。なんと鴨長明『方丈記』の英訳もしている! さらに彼の随筆には、文章の調子として最上とされる「飄逸さ」があると評され、これは霊性から発せられる言霊を含む、ならば、同様に名文家であられた弘法大師との共通点を探したくもなってくる。

神社合祀反対 


熊楠の宗教性を考えるとき、最初に浮かぶのが、1906年の神社合祀令に対する反対表明である。全国的に小社や祠が地域に一社とされる中、数々の鎮守の森が開かれていくのを目前にして、国に提言を行った。学術的にも失われるものは多大だ。もとより森林は単に樹木が植わっているだけでなく、原初の生物・粘菌、きのこ、藻、地衣類、低木、中木、高木、そして動物、小動物が共存して生きる場所。まさに命の素である粘菌研究実績に基づき、そのような場所をなくしていくことは人間の健康と成長に大きな影響が起こると警鐘を鳴らした。当時、百年後を見据えたこの思想から、熊楠の温かな人柄を垣間見ることもできる。

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