完全子会社・子会社・持分法適用会社を理解しよう!

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企業が「〇〇社を子会社化」と発表するM&AのIR。

この一文を見て「業績にどの程度影響するのか?」を判断するには、ある程度の知識が必要です。

同じ株式取得でも、完全子会社・子会社・持分適用会社によって会計処理はまったく異なります。
子会社化すれば、その企業の売上や営業利益が丸ごと連結されますが、持分法適用会社の場合は売上には一切含まれず、純利益付近で1行だけ反映されるにとどまります。
つまり、同じ「M&A」でも、どこまで業績に乗るかが決定的に違ってきます。

また、企業によって採用している会計基準(日本基準 or IFRS)によっても、「営業利益」や「経常利益」に何が含まれるかが異なります。
特にIFRSでは、持分法利益や負ののれん益を営業利益に含める企業もあるため、IR文面の見た目の増益だけでは判断を誤る可能性もあります。

この記事では、
M&AのIR(適時開示)で何を見れば連結範囲がわかるか
IRが出ていなくても、有価証券報告書から出資比率を確認する方法
を解説します。

投資家がM&Aを正しく読み解くためには、数字より先に「どこまでが自社グループなのか」を把握することが欠かせません。
IRと有報をつなげて読むことで、企業の本当の業績インパクトが見えてきます。


目次
・M&AのIRを読む前に──「子会社化」とは何か
・IRでチェックすべきポイント
・損益計算書のどこに効く?──PL構造から理解する
・有価証券報告書で出資構造を確認する
・日本基準とIFRSでどう違う?──連結・持分法の扱いを比較する
・まとめ


なお、この記事を読む前には、

・コンテンツ「M&Aの基本を理解しよう!」
https://lounge.dmm.com/detail/8268/content/44925/

・日本会計基準とIFRS──数字の見え方が変わる会計ルールの違い
https://lounge.dmm.com/detail/8268/content/45152/

の2つを読んでおくことをおすすめします。


M&AのIRを読む前に──「子会社化」とは何か

M&AのIRに出てくる「子会社化」という言葉。

子会社化という適時開示を見たときには、「どの程度の支配権を持ったのか」を理解する必要があります。

この支配関係の違いが、損益計算書(PL)にどこまで数字が乗るかを決めるからです。


企業グループの3区分

企業グループの構造は、一般的に次の3段階に分かれます。


完全子会社

出資比率(目安):100%

支配の状態:完全に支配

会計処理: 連結

PLへの影響:売上・営業利益すべて反映。非支配持分なし


子会社

出資比率(目安):50%超

支配の状態:支配(意思決定をコントロール)

会計処理: 連結

PLへの影響:売上・営業利益に全額反映。純利益で一部控除(非支配持分)


持分適用会社

出資比率(目安):20%以上~50%未満

支配の状態:重要な影響力を有する

会計処理: 持分法適用

PLへの影響:売上には含まれず、純利益の下で1行加算


ポイントは、「子会社化」と「持分法適用会社化」の間に大きな壁があるということです。

どちらも株を買っている点は同じですが、連結範囲に含まれるかどうかで損益への影響がまったく違います。



「支配」とは何を意味するか

日本会計基準(J-GAAP)では、「支配力基準」として、議決権の過半数(50%超)を保有すれば原則として子会社になります。

また、形式的に50%未満でも、取締役の過半数を派遣するなど、実質的に経営を支配している場合には子会社として扱われます。


一方で、20〜50%程度の出資で経営方針に重要な影響力を及ぼせる場合、その会社は「持分法適用会社」として扱われます。

たとえば、取締役を派遣したり、経営会議に参加したりしているケースです。



IFRSにおける「支配」の考え方

IFRS(国際会計基準)では、「支配(control)」の判断はより実質的です。

単に株式比率ではなく、

・投票権による支配

・契約・合意による支配権

・実質的な意思決定能力(de facto control)

などを総合的に考慮します。


そのため、IFRSでは40%台の出資でも子会社扱いとなるケースや、逆に過半数を保有していても支配していないと判断されることもあります。

(合同会社や共同支配事業などでは、IFRSの方が柔軟な判断になります。)



完全子会社と子会社の違い

IRで「完全子会社化」と明記されている場合は、100%保有している=非支配株主がいない状態です。

したがって、連結損益のすべてが親会社の業績に直結します。


一方で、例えば70%を保有する「子会社」の場合、

売上や営業利益は100%連結されますが、最終利益のうち残り30%分は「非支配持分」として控除されます。

(つまり、純利益の段階では70%分だけが親会社の利益となる)



IRでよく見る表現と注意点

M&AのIRを読む際は、以下の表現の違いに注目しましょう。


「〇〇社を完全子会社化」:全株を取得して100%保有。すべて親会社業績に反映。

「〇〇社を子会社化」:議決権の過半数取得。支配権あり。売上・営業利益は全額反映、純利益は保有%分のみ反映。

「〇〇社を関連会社化」:20〜50%出資。持分法適用。売上・営業利益には含まれず、保有%分のみ純利益に1行反映。

「〇〇社に出資」:出資比率不明。要確認。IR内に比率や連結範囲が記載されているか確認必須。



IRでチェックすべきポイント

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