【note無料記事】 芸論禁止【補足】

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【note無料記事】 芸論禁止【補足】
↓この記事は以前公開したつもりが、下書きのまま保存されていたので少し遅れて投稿。
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先日公開した記事「芸論禁止」が、多くのプレビューを集めたようだ。

僕はnoteの記事を殆どSNSなどで告知しないため、今回は自然発生的に広まったように見える。つまり、僕の活動とは直接関係なく、「芸論の危険性」という内容自体が共感を集めた結果だろうと受け止めている。

その影響で、noteに関する感想を目にする機会も増えたので、ここで僕自身の補足や感想を残しておきたい。


記事の要点はこうだ。
三遊亭ごはんつぶの単独イベント後に開かれるファン交流会(落語界では「打ち上げ」と呼ばれる)では、演者・参加者ともに芸論を禁止する。

理由は、過去に「白熱した芸論で演者が独占される」「趣味嗜好や演者への不用意な発言が出る」といった事例があり、僕の理想とする打ち上げの形に反していたからである。


僕の活動の根底には「落語を広めたい」という思いがある。そのためSNSや動画発信、初心者にもわかりやすい現代落語の創作などを心がけてきた。決してまだ十分ではないが、ありがたいことに「初めて落語を聞いた」「初めて打ち上げに参加した」というお客様は増えている。

だからこそ、まず必要なのは「環境づくり」だ。
演者が特定の人に独占されたり、他の演者や協会、芸風などを軽い気持ちでどうこう言う参加者が、他の参加者の好みを否定してしまうなんてことも起こり得る。否定された側は気分が悪い。

実際、そうした理由から「打ち上げが苦手」という人も少なくない。

僕は誰もが安心して楽しく交流できる場を理想としており、そのための環境作りには厳しく向き合っている。


またこれは新規のお客様のためだけではない。
正直に言えば、芸論による軽度の迷惑行為で最も損をするのは当の本人だ。

「自分は大丈夫」と思っていても、周囲からは「痛客」「迷惑客」と見られてしまう。昨今のハラスメント問題と同じで、「そんなつもりはなかった」を防ぐためには先手を打つしかない。参加者本人の居心地を守るためにも、芸論禁止は必要だ。


あと、誤解してほしくないのは、芸論そのものが悪いわけではないということ。
僕はむしろ芸論が好きだ。毎日何時間もあれこれ考え、同業者から驚かれることもある。他人の意見と擦り合わせるのも楽しく、芸人同士の打ち上げで芸論が始まると嬉しくなる。

お客様と語り合った経験も楽しいものが多かった。
それでも、不特定多数が集まる場では慎重であるべきだと気づいた。芸論の性質上、何かを肯定するために別の何かを否定してしまうことは避けられないからだ。

僕自身もヒートアップするとつい強い言葉を使ってしまう。そして今後も、YouTube配信や高座でそうした発信をするだろうし、それで僕というコンテンツが嫌われるなら仕方がない。
けれども、僕を見に来た方が第三者の発言で嫌な思いをするのは違う。だからこそ、芸論を制限した。


そして実を言えば「芸論禁止」という発想は受け売りである。
以前出演した落語会の打ち上げで、席亭から「芸論禁止」と通達があった。当時は理由がわからなかったが、今では痛いほど理解できる。

トラブルを防ぐにはルールが必要だ。これまで参加者任せにしていたが、治安を運に任せて「新規歓迎」とするのは無責任だった。


最後に、僕の発信を「誰か・何かへの怒り」と見る人もいるかもしれない。

しかし、そうではない。
先手を打ってイベントの安全性を高め、新規の方が参加しやすい環境づくりを進めているつもりだ。他の落語家以上にその点へ力を入れている自負もある。

だから「ごはんつぶの会には迷惑な人が多いのか」とは思わないでほしい。

実際はむしろ力を入れている分、比較的良い環境を保てていると考えている。

今回のことがきっかけに、そういった輪が少しでも広がってくれれば嬉しい。

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