小説が著作権侵害になるケース。盗作をされた場合の対策

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小説が著作権侵害になるケース。盗作をされた場合の対策

この記事の作者はプロのラノベ作家です。


「盗作」とは何か?

「盗作」とは「著作権侵害という形で他者の創作物を模倣する」ということにあたります。


つまり裏を返すと、「著作権侵害にあたらない行為は、盗作っぽくても盗作にはならない」ということです。


ではその著作権侵害とはどのような行為かというと、簡単に述べると「私的使用の範囲を超えて、他人の著作物をコピーしたり改変したりする行為」です。


以下に、著作権侵害になるケースとならないケースを並べます。


著作権侵害になるケース

・他者が書いた文章と、一部改変しているが明らかに一致する部分があり、物理的なコピペがあったとしか思えない部分がある
(最近だと、このような例がありました→https://mfbunkoj.jp/news/entry-10384.html


・キャラクターの個性的な部分について、その"組み合わせが"完全に一致している。
(キャラクターの名前や特徴の組み合わせが完全に一致している。麦わら帽子をかぶって海賊の王を目指す少年の名前がルフィである、という作品を書くなど)


・その他、既に第三者の目に触れる場所に公開している作品の一部または全部を、物理的にコピペ等している場合。
具体的には、小説投稿サイトにアップされた他者の小説や電子書籍(商業作品)をコピペして、自分の作品としてどこかのプラットフォームに公開する場合。(公開せず、自分のPCの中だけで楽しむ私的使用ならOKです。)


著作権侵害にならないケース

・物語の構成は全く一緒だが、文章上の表現や設定、キャラクターの名前は異なっており、物理的に文章をコピペしたという部分が無い。
(例えば、『主人公の少年がギルドを追放されてその後別のギルドに参加することになり、そこで真の実力を発揮して見る見るうちに成り上がって、元いたギルドをも上回ることになった。』という全体の構成は完全一致しているが、細かな設定や文章上の表現やキャラクターの名前が異なっていれば、著作権侵害にはあたりません。重要な事として、アイデアだけの模倣は著作権侵害になりません。)

・引用を明言している場合
(著作物には、引用であることを宣言すれば他者の著作物の一部をそのまま使用してもよいというルールがあります。ただし引用にはルールがいくつかあるので、これを守っていなければ引用扱いにすることはできません。)


大きく以上のような形となります。


自分の小説が盗作された場合の対策

それぞれのケースで厳密な判断は異なってくるとは思いますが、一つの指標として、「あなたの書いたこの文章、明らかに私のこの作品のこの部分の文章をコピー&ペーストして使っているよね?」という部分があれば、盗作として相手に著作権侵害を申し立てることができます。


この場合は、小説投稿サイトやプラットフォームの運営に通報すれば、著作権侵害を行った作品の削除をしてくれます。


ただし、似てはいるが、元の文章にかなりの改変を加えていて、盗作か判断に難しいケースもあります。
その場合は、著作権侵害の要件の1つである依拠性の証明として、以下のような対策があります。

(依拠性とは、著作物が別の著作物に依拠している。つまり、元ネタにしているということです。偶然ネタが被ってしまったなど偶然の類似の場合は、著作権侵害にはならず、著作権侵害が成立するためには依拠性の証明が必要となります)


極端な例ですが、「トラップストリート」というものがあります。

これは、地図を作る会社が地図を発行する際に、小さなところに本当は存在しない偽物の町名をこっそり入れることで、もし他社の地図製作会社が発行した地図の中にその町名がそのまま入っていた時に、「うちが作った地図をパクったよね? パクってないなら、なんで存在しないこんな町名を入れたの? こんな架空の町名が入っているのは、偶然でもなんでもなくうちの地図をパクったからだよね?」と、相手を確実に著作権侵害に陥れるためのトラップとして使われることがあります。
(実際これが証拠となって、無許諾の複写をしたことを他社が認めて和解金が支払われたこともあります。)

なので自分の小説が盗作された場合の対策として、「盗作された時に、明らかに盗作であることを示せるような証拠をつかめるようにしておく」ということがあげられます。明らかに盗作であるという証拠さえあれば、小説投稿サイトに申請して、その作品の削除を求めることができます。

その証拠作りとして色々方法はあるかもしれませんが、例えばですが一番パクられそうな盛り上がりのあるシーンや美しいと判定されそうな文章において、「主人公●●の斬撃が、敵△△の心臓部に完壁にヒットした。」「その城下町◇◇は温暖な気侯と名産物のオレンジで有名である。」のような文章を入れるのは、かなり極端ですが現実的にはありな手段なのかもしれません。

上記の場合、「完璧」が「完壁」になっていて、「気候」が「気侯」になっています。

これは表現変換でもなかなか出てこないので、もし盗作疑惑のある作品で上記の表現が使われていれば、間違いなく一つの盗作証拠となって、プラットフォームに削除申請がしやすくなるかもしれません。


2023年11月15日に作成した記事


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