医療の闇Ⅷ〜病院では病気は治らない〜

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医療の闇Ⅷ〜病院では病気は治らない〜
「病院に行けば、病気を治してもらえる」
は幻想。

 今、アフターコロナの世界にはさまざまなパラダイムシフトが起こっています。
 パラダイムシフトとは、簡単にいえば、これまで当然と考えられていたものごとが劇的にくつがえされること。
人類はこれまでいくたびものパラダイムシフトを経験してきました。そして今、われわれも新たなパラダイムシフトの渦中にいます。
 それは、だいぶ以前から少しずつ始まっていました。新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)によって劇的に表に出てきました。
 医療にも、パラダイムシフトを起こす時がきています。
飲む必要のない薬が大量に処方され、必要のない手術が数多く行われてきた日本。でも、新型コロナ拡大によってそれがいかにおかしなことだったかと、気づいた人が多いでしょう。
それまで日課のように通院していた患者が受診を控えるようになって、病死の数が増えましたか? 
まるでそんなことはないのです。
 むしろ、きちんと自分の体と向きあうようになって、免疫力に関心を持つ人が増えています。
病院に気軽に行けないとあって、体調管理を自らしっかり行っている人も多くなったでしょう。コロナ禍、ウォーキングやジョギングをする人の姿をよく見るようになりました。
医療に頼らず、感染や重症化を防ぐ方法を、多くの人が真剣に考えるようになっています。
 それではなぜ、これまでは何かあるとすぐに診察券と健康保険証をつかんで医療機関に駆けつける人が多かったのでしょうか。
 自分で自分の身を守る、という覚悟がなかったからです。
熱が出たといって慌てて病院に行って、薬を飲んで安心する。でも本当のところは、その薬に風邪を「治す」作用はない。
反対に、くり返し飲んでしまうと健康を害するリスクを負うことになる。

でも、そのことは薬の説明書に小さく書いてあるくらいで、危機感すら持たずにいたのだと思います。
この一連の流れを疑いもなく行ってきたのは、「医者が出した薬に間違いはなく、薬を飲めば治る」との思い込みがあったからでしょう。
 ではなぜ、そんな思い違いを、日本人の多くは続けてきたのでしょうか。自分の健康を人まかせにしてきたからです。
医者まかせ、薬まかせにしてきたからです。
 世界中、風邪で病院に行くのは日本人だけです。保険証1枚あれば、「いつでも」「だれでも」「安価に」医療を受けられる日本の国民皆保険制度。
世界に誇れる制度と、政府や医師会は声高に唱えます。が、自分の健康を医療まかせにする人を増やしてしまったことは、その弊害ともいえるでしょう。
 気軽に行けるならば、頼るのも簡単です。
 一方、国民皆保険制度のないアメリカでは、保険に入っていない人が、風邪で病院にいけば数万円もかかります。入院は1泊で50~60万円。
盲腸で手術をすればおよそ700万円かかります。一家崩壊しかねないのです。だからみな、ちょっとしたことはがまんし、自力でなんとかしようとします。決して、他人まかせにはできないからです。
 私は小学生のときにオランダに住んでいました。日本の医師は宿直も多く、自分の時間を削って働きますが、
オランダではかかりつけ医制度があるため、まず全ての病状はかかりつけ医に相談し、大学病院は専門的な医療機関で最後の砦なのです。

風邪やかすり傷で大学病院を受診できる日本とは異なります。ですので、大病院の医者も夕方5時には帰宅します。土日も休み、バカンスもとります。
 それができたのも、オランダの人たちが風邪で病院に行くようなことをしないからです。自分の健康管理は自分でやり、「病院に行けば病気が治る」という幻想も抱いていない。

だから、医者や看護師が身を削って働く必要もないのです。
 地球環境と社会生活、そして健康。これらを保ち続けられるよう、行動を変えていく。ところが、人間とはおろかなもので、自分の行動をそう簡単に変えられません。福島原発事故などよほどショッキングな出来事が起こって初めて、「このままではいけない」と自覚します。しかし、それでは遅すぎます。一度壊れたものを復元することほど難しいことはないのです。
 意味のない治療を行って、富を築いてきた人たちがいました。高度な医療機器を使えば使うほど、薬は出せば出すほど、手術をすればするほど、検査をすればするほど、「ワクチンが必要だ!」と声高に叫べば叫ぶほど、富や名声が集中する場所があります。
それによって、国民医療費は43兆円を超え、不本意にも薬漬けになって、健康的な暮らしを失った患者がいる。このおかしなからくりを変えない限り、われわれは100年後の人たちに、とり返しのつかない負の遺産を譲ることになってしまいます。


 何より、そんな現場に身を置かなければいけない、看護師やケアワーカーたちの労働力とはあまりに過酷です。病院のベッドに縛られる患者が増えれば増えるほど、肉体的にも精神的にもすり減らす思いで働かされ続けることになるのです。
 ところが、そんなおかしなからくりも、「命を救う」という大義名分さえあれば、見事に覆い隠せてしまうのが、今の世の中のヘンなところです。
まずは、よく考えてください。「命を救う」という言葉の危うさを。周辺取材をきちんとしないマスコミほど、この言葉を都合よく使います。
「生きたい」と心から願う命を救う医療は必要です。
しかし、人工呼吸器につながれ、点滴や胃ろうがつけられ、自分で食べることも排泄もできないまま、死までの長い時間を病院のベッドで過ごすことになったとき、あなたならどう感じるでしょうか。「命を救ってくれてありがとう」と感謝しますか。

本人は「早く死にたい」と思っているのに、多くの医療費と労働力を投入するような医療が、日本ではあふれかえっています。元気に自立して生活できる健康寿命と生物学的な寿命とでは女性で12歳、男性で9歳程度の差があるのです。本人が望まない治療で、日本の医療のサステナビリティは破綻の危機にさらされています。この状況は変えなければいけません。
 ならば、どうするのか。
我々たち若い世代が先導を切るしかない、と考えています。資本主義経済に慣れ切った人たちには、できないことだからです。社会のあり方に素直な疑問を持つことができ、古い考えやしがらみにとらわれない、若い世代だからこそできることです。ここから社会の枠組みを変えていけばいい。


 だからこそ一人の医者として、ぼくは100年後も200年後も続く持続可能な医療を築いていく力になりたいのです。
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