M&Aの基本を理解しよう!

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M&Aの基本を理解しよう!

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株式投資をしていると、ニュースで「M&Aによる買収」「のれんを計上」といった言葉をよく目にします。

しかし、実際に「のれんって何?」「なぜ買収すると利益が変わるの?」と聞かれると、きちんと答えられる人は多くありません。

M&Aは企業にとって大きな成長のチャンスである一方、投資家にとっては判断を誤ると痛手を負うリスクのあるテーマです。

M&Aの結果として生まれる「のれん」や「負ののれん」は、会計上の数字を大きく動かし、見た目の業績に大きな影響を与えるからです。
さらに、買収後の統合作業(PMI)がうまくいくかどうか、シナジー効果が本当に出るかどうかによって、株主価値は大きく変わります。逆に本業と関係のない企業を買収すると「迷走」と見なされ、コングロマリットディスカウントで株価が下がることさえあります。

本記事では、M&Aの基本から「のれん」「負ののれん」の意味、そして投資家が知っておくべきリスクとチェックポイントまでを整理します。

これを理解しておけば、M&A関連のニュースや決算書を読んだときに、「単なる拡大なのか、本業の成長につながるのか」を見極められるようになるでしょう。


・M&Aとは何か?
・のれんと負ののれん
・のれんの会計とキャッシュフローへの影響
・シナジー効果とPMI
・コングロマリットディスカウント
・M&Aの適時開示の見方
・有価証券報告書で子会社一覧、のれん償却を確認


M&Aとは何か?

M&Aは Mergers(合併)と Acquisitions(買収) の略です。

一見すると「会社同士が一つになる」という単純な話に見えますが、実際には企業の戦略や株主価値に大きな影響を与える動きです。


合併と買収の違い

合併(Merger)

2社が一つになり、どちらかが存続会社となるか、あるいは新会社を設立して事業を引き継ぎます。対等な立場での統合(経営統合)もあれば、実質的にはどちらかが主導する合併もあります。


買収(Acquisition)

ある会社が別の会社の株式を取得して支配下に置くこと。議決権の過半数(50%超)を取れば子会社化、100%取れば完全子会社になります。実務上、ニュースで「M&A」と言えば多くはこの買収を指します。



企業がM&Aを行う目的

M&Aの狙いは「規模を大きくすること」そのものではありません。本来は以下のような戦略目的があります。


売上拡大:シェアの拡大や販路の獲得(例:海外市場に一気に参入)。

技術・人材の獲得:自前では時間のかかる技術や優秀な人材をまとめて手に入れる。

コスト削減:仕入れを共同化して安くする、重複部門を統合して効率化。

競争回避:ライバルを吸収することで市場競争を緩和。

新規事業参入:本業と近い領域に足場を築く。



投資家目線でのM&A

M&Aは「企業の成長戦略」でもあり「株主価値を揺るがす賭け」でもあります。


・うまくいけば、シナジー効果で業績が急拡大し、株価も上がる。

・失敗すれば、のれんの巨額減損や人材流出によって株価が暴落する。


投資家としては、「なぜそのM&Aをするのか?」という戦略的な狙いを読み解くことが重要です。単なる規模拡大のためだけのM&Aは、後に株価を押し下げるリスクになることもあります。



のれんと負ののれん

M&Aでは、「のれん」と「負ののれん」の理解が欠かせません。


のれん(Goodwill)とは?

M&Aでは、買収価格と相手企業の純資産(資産-負債)の金額が一致することはほとんどありません。

なぜなら、企業には帳簿に載らない価値があるからです。


・ブランド力

・顧客基盤や販路

・優秀な人材・ノウハウ

・将来の収益力


例えば、

相手企業の純資産:100億円

実際の買収額:150億円

の場合、差額の50億円が「のれん」として資産の部に計上されます。


つまりのれんは、「将来この会社はもっと利益を生むはず」という期待を数値化したものです。

純資産に対して割高に買った金額とも言えます。



負ののれんとは?

逆に、買収額が純資産を下回る場合もあります。


相手企業の純資産:100億円

買収額:70億円

この場合、差額の30億円が「負ののれん」です。負ののれんは当期に利益として計上されます。


これは「純資産よりも割安で買えた(PBR 1倍割れ企業の買収)」ということを意味します。


背景には、経営不振で安売りされたり、売り急ぎの事情があったりするケースがあるので注意が必要です。きちんと利益を出せている会社を純資産よりも安く買えれば、一般的にお買い得と評価されます。



投資家視点では

<のれん>

・期待込みで高く買ったということ。

・利益が伴えばOKだが、期待倒れだと減損(大幅な損失計上)に直結。

・のれん(資産の部)が膨らみすぎている企業は要注意。


<負ののれん>

・割安買収に成功したということ。

・ただし、「安く買える=問題を抱えた会社」の場合もあるので注意。

・IFRSでは営業利益に算入されるため、見かけ上の増益トリックになりやすい(次項で解説)。



のれんの会計とキャッシュフローへの影響

のれんはM&Aで必ず登場する会計項目です。しかし、「利益を圧迫するのに現金は減らない」という少し不思議な性質を持っています。さらに、償却が終わると営業利益が急に改善して見えることも。ここでは、のれんの会計処理とキャッシュフローへの影響を整理します。


日本会計基準とIFRSの違い

上場企業が採用する会計基準には「日本会計基準」と「IFRS(イファース)(国際会計基準)」「米国会計基準」があります。

決算短信の表題には「2025年3月期 決算短信 [日本基準]」のように載っており、決算を見ればどの会計基準を採用しているかが分かります。なお会社四季報では、IFRS採用の銘柄は業績欄に「♢」マークが記載されています(例:♢26.3)。


米国会計基準を採用している銘柄は少ないので、日本会計基準とIFRSの違いを押さえておきましょう。

会計基準の詳細は別のコンテンツに譲り、ここではのれんについて解説します。


日本会計基準(J-GAAP)
・のれんは 20年以内の定額償却。10年償却が多い。
・毎期「のれん償却費」として営業利益を圧迫する。
・減損の基準はIFRSに比べて緩い。
・負ののれんは特別利益に計上(営業利益には入らない)。

IFRS
・のれんは償却せず。買った会社の営業利益がそのまま載る。
・毎期必ず「減損テスト」を実施。価値が落ちたと判断されたら、その時点で一気に損失計上。
・負ののれんが営業利益に算入(見かけ上の本業利益が膨らむ)

日本基準は「毎年少しずつコツコツ費用化」、IFRSは「普段は償却ゼロ、でも悪化すればドカンと損失」という構造です。


IFRSでは、

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