化粧品につかわれる危険物質!!

テキスト

化粧品につかわれる危険物質!!

はじめに


化粧品は日常生活において広く使用されていますが、その成分には健康や環境に悪影響を及ぼす可能性のある化学物質が含まれていることが指摘されています。特に、長期的な使用や複数製品の併用により、これらの化学物質への曝露が蓄積される可能性があります。本稿では、英語文献を基に、化粧品に含まれる有害な化学物質とその影響について詳述します。



1. パラベン(Parabens)


パラベンは、防腐剤として広く使用されている化学物質であり、製品の保存期間を延ばす役割を果たします。しかし、エストロゲン様作用を持つことが報告されており、ホルモンバランスの乱れや乳がんとの関連性が懸念されています。一部の研究では、乳がん組織からパラベンが検出された例もあります。

概要
パラベン類は、防腐剤として広く使用されている化合物群であり、製品の保存期間を延ばす役割を果たします。その抗菌・防腐効果により、化粧品、医薬品、食品など、多岐にわたる製品に添加されています。化粧品では、クリーム、ローション、シャンプー、コンディショナー、メイクアップ製品などに使用されています。


健康への影響
パラベンはエストロゲン様作用を持つことが報告されており、ホルモンバランスの乱れや乳がんとの関連性が懸念されています。一部の研究では、乳がん組織からパラベンが検出された例もありますが、因果関係についてはさらなる研究が必要とされています。また、皮膚刺激やアレルギー反応を引き起こす可能性も指摘されています。


規制状況


欧州連合(EU)では、特定のパラベン類(例えば、イソプロピルパラベン、イソブチルパラベン)の使用が禁止されています。また、他のパラベンについても最大許容濃度が設定されています。アメリカや日本では、現在のところ明確な規制はありませんが、消費者の関心の高まりにより、「パラベンフリー」を謳う製品が増加しています。


2. フタル酸エステル(Phthalates)


フタル酸エステルは、プラスチックの柔軟性を高めるための可塑剤として、また香料の保持剤として化粧品に使用されています。しかし、内分泌かく乱作用が指摘されており、生殖機能への悪影響や胎児の発育異常との関連が報告されています。特に、妊娠中の女性の曝露は注意が必要とされています。

フタル酸エステル類は、プラスチック製品の可塑剤として広く使用されており、化粧品業界では香料の溶媒やネイル製品の可塑剤として利用されています。具体的には、ジエチルフタレート(DEP)は香料の持続性を高め、ジブチルフタレート(DBP)はネイルポリッシュの柔軟性や耐久性を向上させる目的で添加されています。

健康への影響
フタル酸エステル類は、内分泌かく乱作用を持つ可能性が指摘されており、生殖機能への悪影響や胎児の発育異常との関連が報告されています。動物実験では、妊娠ラットへの曝露により胎児の体重減少や奇形、雄ラットでの精子濃度減少、精細管萎縮、前立腺重量減少などが観察されています。 一方、ヒトにおける影響についてはデータが不十分であり、さらなる研究が必要とされています。  


規制状況
フタル酸エステル類に関しては、各国で規制が進められています。欧州連合(EU)では、REACH規則に基づき、DEHP、DBP、BBP、DIBPの4種類のフタル酸エステルについて、0.1重量%以上含有する成形品の上市が2020年7月7日以降禁止されています。


日本においても、食品衛生法に基づき、おもちゃに対する含有量が規制されています。 しかし、化粧品に関する具体的な規制は現時点で明確ではなく、今後の動向が注目されます。   


3. ホルムアルデヒドおよびその放出剤(Formaldehyde and Formaldehyde-releasing Agents)


ホルムアルデヒドは、防腐剤や硬化剤として使用されることがありますが、国際がん研究機関(IARC)によりヒトに対する発がん性が認められています。

また、ホルムアルデヒドを放出する化合物(例:DMDMヒダントイン、イミダゾリジニル尿素)も化粧品に含まれることがあり、皮膚刺激やアレルギー反応を引き起こす可能性があります。

概要
ホルムアルデヒドは、無色で刺激的な臭いを持つ気体であり、防腐剤や殺菌剤としての効果から、化粧品業界で広く使用されてきました。また、一部の化合物(例:DMDMヒダントイン、イミダゾリジニル尿素)は、製品中で徐々にホルムアルデヒドを放出する「ホルムアルデヒド放出剤」として機能します。これらの化合物は、製品の保存期間を延ばす目的で添加されます。


使用目的
化粧品では、シャンプー、コンディショナー、ボディソープ、ローション、ネイルポリッシュなど、多岐にわたる製品に防腐剤として使用されています。これにより、微生物の増殖を抑制し、製品の品質と安全性を維持します。


健康への影響

ホルムアルデヒドは、国際がん研究機関(IARC)により「ヒトに対する発がん性がある(グループ1)」と分類されています。長期的な曝露は、鼻咽頭がんのリスクを増加させる可能性があります。また、皮膚や粘膜への刺激性が高く、接触性皮膚炎やアレルギー反応を引き起こすことが報告されています。特に、ホルムアルデヒドに感作された個人では、低濃度でも強い反応を示すことがあります。


環境への影響
ホルムアルデヒドは水溶性が高く、環境中に放出されると水系に移行しやすい性質があります。生分解性は比較的高いものの、高濃度での排出は水生生物に対する毒性を示す可能性があります。また、大気中では光化学反応により二次汚染物質の生成に寄与することが知られています。


規制状況
欧州連合(EU)では、化粧品中のホルムアルデヒドの最大許容濃度が設定されており、ホルムアルデヒド放出剤の使用も厳しく規制されています。アメリカでは、連邦レベルでの明確な規制は存在しませんが、カリフォルニア州など一部の州では、ホルムアルデヒドを含む製品に対する警告表示が義務付けられています。日本においては、化粧品基準によりホルムアルデヒドの使用が制限されており、特定の用途以外での使用は禁止されています。消費者の間では、「ホルムアルデヒドフリー」や「防腐剤フリー」を謳う製品への関心が高まっています。

4. オキシベンゾン(Oxybenzone)


オキシベンゾンは、紫外線吸収剤として日焼け止め製品に広く使用されていますが、内分泌かく乱作用が指摘されています。さらに、海洋環境への影響も懸念されており、サンゴ礁の白化現象との関連が報告されています。そのため、一部の地域ではオキシベンゾンを含む日焼け止めの使用が禁止されています。

概要

オキシベンゾン(ベンゾフェノン-3、BP-3)は、紫外線(UV)AおよびUVBを吸収する能力を持つ化合物で、主に日焼け止め製品に使用されています。また、化粧品やパーソナルケア製品においても、紫外線による劣化を防ぐ目的で添加されています。 

健康への影響

オキシベンゾンは、皮膚への塗布後に体内に吸収されることが確認されています。一部の研究では、内分泌かく乱作用を持つ可能性が指摘されており、ホルモンバランスへの影響が懸念されています。また、アレルギー性接触皮膚炎や光接触皮膚炎を引き起こす可能性も報告されています。 

環境への影響

オキシベンゾンは、海洋環境、特にサンゴ礁に対して有害であるとされています。研究によれば、サンゴの白化や変形、さらには死亡を引き起こす可能性が示唆されています。そのため、ハワイやパラオなどの地域では、オキシベンゾンを含む日焼け止めの使用が禁止されています。  

規制状況

欧州連合(EU)では、オキシベンゾンの化粧品への最大許容濃度が6%に制限されています。米国や日本でも使用が認められていますが、環境や健康への影響を考慮し、一部の地域では使用制限が設けられています。消費者の間では、「オキシベンゾンフリー」を謳う製品への関心が高まっています。

オキシベンゾンの使用に関しては、健康や環境への影響を考慮し、最新の研究や規制情報を参照することが重要です。製品選択の際には、成分表示を確認し、必要に応じて専門家の意見を求めることが推奨されます。

5. トリクロサン(Triclosan)


トリクロサンは、抗菌剤として石鹸や歯磨き粉などに使用されていますが、内分泌かく乱作用や抗生物質耐性菌の発生との関連が懸念されています。米国では、特定の製品へのトリクロサンの使用が制限されています。

概要

トリクロサンは、強力な抗菌・抗真菌作用を持つ化学物質で、1972年に特許が取得されて以来、石鹸、歯磨き粉、デオドラント、化粧品など、多岐にわたる製品に使用されてきました。その主な目的は、製品の抗菌効果を高め、保存性を向上させることにあります。

健康への影響

トリクロサンの長期使用により、人体の微生物叢が変化し、健康に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。具体的には、アレルギー、心臓疾患、甲状腺機能の異常などが動物実験で確認されています。 また、米国疾病予防管理センター(CDC)の調査では、被験者の約75%の尿からトリクロサンが検出されており、体内への吸収が示唆されています。 さらに、抗生物質に耐性を持つ細菌(いわゆるスーパー細菌)の生成に関与している可能性も報告されています。   

環境への影響

トリクロサンは、使用後に下水を通じて環境中に放出されます。下水処理施設での除去率は58%から99%とされていますが、完全には除去されず、河川や湖沼などの水域に流入しています。 これにより、水生生物への影響が懸念されており、例えば、海産甲殻類のアミに対する成長・成熟への悪影響が報告されています。 さらに、環境ホルモンとしての作用により、生態系全体への影響も指摘されています。    

規制状況

トリクロサンに関する規制は各国で進められています。米国では、食品医薬品局(FDA)が2016年にトリクロサンを含む抗菌石鹸や洗剤の一般販売を禁止しました。 日本においては、化学物質審査規制法の一般化学物質(旧第3種監視化学物質)に指定されており、製造・輸入量の届出が義務付けられています。 しかし、具体的な使用禁止措置は取られておらず、現在も多くの製品に使用されています。  

トリクロサンの使用に関しては、健康や環境への影響を考慮し、製品の成分表示を確認することが重要です。消費者としては、トリクロサンを含まない製品を選択することで、リスクを低減することが可能です。

6. ナノマテリアル(Nanomaterials)


ナノマテリアルは、粒子サイズが非常に小さいため、皮膚への浸透性が高く、体内への吸収が懸念されています。特に、ナノサイズの酸化チタンや酸化亜鉛は、日焼け止め製品に使用されていますが、その安全性についてはさらなる研究が必要とされています。 


7. 合成香料(Synthetic Fragrances)


合成香料は、製品に香りを付与するために使用されますが、その成分は明確に表示されないことが多く、アレルギー反応や皮膚刺激を引き起こす可能性があります。また、一部の合成香料にはフタル酸エステルが含まれている場合があります。

概要

合成香料は、石油などの化学原料から人工的に合成された芳香化合物で、香水、化粧品、洗剤、柔軟剤など、多くの日用品に使用されています。天然香料に比べて安価で大量生産が可能であり、安定した香りを提供できるため、広く利用されています。

健康への影響

合成香料に含まれる成分の中には、発がん性や内分泌かく乱作用(環境ホルモン作用)、アレルギー反応を引き起こす可能性が指摘されています。例えば、合成ムスク類はDNAを損傷させる変異原性を持ち、高い確率で発がん性を有するとされています。 また、香料を包むマイクロカプセルは、PM2.5と同程度のサイズで大気中に漂い、容易に肺へ取り込まれるため、健康リスクが懸念されています。  

環境への影響

合成香料やそれを包むマイクロカプセルは、使用後に環境中へ放出され、土壌や水源、大気を汚染する可能性があります。特に、マイクロカプセルはプラスチック樹脂でできており、海洋プラスチック汚染の一因となり得ます。これらの物質は生態系に悪影響を及ぼし、最終的には食物連鎖を通じて人間にも影響を与える可能性があります。 

規制状況

合成香料に関する規制は国や地域によって異なります。欧州連合(EU)では、化粧品に使用されるアレルギー誘発性のある26成分の表示が義務付けられていますが、日本ではその表示義務はありません。 また、香料業界の自主規制団体である国際香粧品香料協会(IFRA)が独自の基準を設けていますが、これらは法的拘束力を持たない自主規制にとどまっています。  

まとめ

合成香料は私たちの生活に広く浸透していますが、健康や環境への影響が懸念されています。消費者としては、製品の成分表示を確認し、可能な限り天然香料を使用した製品や無香料の製品を選ぶことで、リスクを軽減することが推奨されます。また、適切な使用量を守り、周囲への配慮も重要です。さらに、今後の研究や規制の動向に注目し、最新の情報を得ることが大切です。 

8. 鉛(Lead)


鉛は、主に口紅などの色素として微量に含まれることがありますが、神経毒性があり、特に妊娠中の女性や子供への影響が懸念されています。米国食品医薬品局(FDA)は、化粧品中の鉛含有量に関するガイドラインを設けています。

概要
鉛は、重金属の一種で、かつては化粧品、特に口紅や白粉などの製品に着色剤や質感向上の目的で使用されていました。しかし、鉛の有害性が明らかになるにつれ、多くの国で化粧品への鉛の使用が制限または禁止されています。現在でも、一部の製品や不正規な製造業者による製品から鉛が検出されることが報告されています。


健康への影響
鉛は人体に有害であり、特に神経系、腎臓、心血管系に悪影響を及ぼします。慢性的な鉛曝露は、神経発達の遅延、学習障害、行動問題、貧血、高血圧などを引き起こす可能性があります。妊娠中の女性が鉛に曝露されると、胎児の発育に悪影響を及ぼすリスクが高まります。


環境への影響
鉛は環境中で分解されにくく、土壌や水質を汚染します。これにより、食物連鎖を通じて生物に蓄積し、生態系全体に悪影響を及ぼす可能性があります。また、鉛は大気中にも放出され、広範囲に拡散することで環境汚染を引き起こします。


規制状況
多くの国や地域で、化粧品中の鉛含有量に関する厳しい規制が設けられています。例えば、欧州連合(EU)では、化粧品中の鉛の最大許容濃度が設定されており、米国食品医薬品局(FDA)も化粧品中の鉛含有量を監視しています。日本でも、化粧品基準により鉛の使用が制限されています。しかし、一部の輸入品や非正規ルートで流通する製品には、依然として高濃度の鉛が含まれている場合があるため、消費者は注意が必要です。


鉛の健康や環境への影響を考慮し、化粧品を選ぶ際には成分表示を確認し、信頼できるメーカーや販売元から購入することが重要です。特に、海外からの輸入品や伝統的な製品には注意が必要であり、必要に応じて専門家の意見を求めることが推奨されます。

9. タルク(Talc)


タルクは、粉末製品に使用される鉱物ですが、アスベストの混入が問題視されています。アスベストを含むタルクの使用は、肺がんや中皮腫のリスクを高める可能性があります。そのため、高品質のタルクを使用することが重要とされています。

概要

タルク(滑石)は、含水ケイ酸マグネシウムを主成分とする天然の鉱物で、滑らかな肌触りや吸湿性を持つことから、ファンデーションやアイシャドウなどの化粧品に広く使用されています。 

健康への影響

タルク自体は安定した化合物ですが、天然のタルク鉱石がアスベストを含む可能性が指摘されています。アスベストは発がん性が確認されており、特に吸入による健康被害が懸念されています。そのため、化粧品グレードのタルクは、アスベストを含まない高純度のものが選定・使用されています。  

一部の研究では、タルクへの曝露と悪性中皮腫の関連性が示唆されていますが、これらの研究結果は主にアスベスト汚染されたタルクに関連するものであり、純粋なタルク自体の発がん性については明確な証拠が不足しています。 

規制状況

欧州化学物質庁(ECHA)のリスクアセスメント委員会(RAC)は、タルクを発がん性物質1Bに分類する意見を採択しました。これにより、EUでは将来的にタルクの使用が制限または禁止される可能性があります。 

米国では、食品医薬品局(FDA)が2022年の化粧品規制近代化法(MoCRA)に基づき、タルク含有化粧品中のアスベスト検出に関する標準化された試験方法を提案しています。 

日本においては、化粧品基準によりタルクの使用が認められていますが、製品の安全性を確保するため、アスベストを含まない高純度のタルクを使用することが求められています。 

まとめ

タルクは化粧品業界で広く使用されている成分ですが、アスベスト混入のリスクが指摘されています。消費者としては、信頼性の高いメーカーから製品を購入し、成分表示を確認することで、安全性を確保することが重要です。また、各国の規制動向や最新の科学的知見に注目し、適切な情報に基づいた選択を行うことが推奨されます。

10. サリチル酸(Salicylic Acid)


サリチル酸は、角質除去剤として使用されますが、高濃度での使用や広範囲への適用は、皮膚刺激や乾燥を引き起こす可能性があります。特に、敏感肌の人は注意が必要です。

概要

サリチル酸は、ベータヒドロキシ酸(BHA)の一種で、角質を柔らかくし、肌のターンオーバーを促進する作用を持つ成分です。この特性から、ニキビケア製品やピーリング剤などのスキンケア製品に広く使用されています。 

健康への影響

サリチル酸は、適切な濃度で使用される場合、一般的に安全とされています。しかし、高濃度での使用や広範囲への適用、特に敏感肌の方では、以下の副作用が報告されています:
 • 肌刺激:使用初期にピリピリとした刺激や赤みを感じることがあります。 
 • 乾燥:過剰な皮脂を除去するため、乾燥やかぶれの原因となる可能性があります。 
 • 目への刺激:目に入ると強い刺激を与えるため、使用時には注意が必要です。 

また、妊娠中の高濃度使用は胎児への影響が懸念されるため、注意が必要です。 

規制状況

サリチル酸の化粧品への配合は、各国で以下のように規制されています:
 • 日本:化粧品基準により、洗い流す製品および洗い流さない製品において、最大配合量は0.2%と定められています。 
 • 欧州連合(EU):SCCS(欧州消費者安全科学委員会)の意見に基づき、サリチル酸の使用が制限されています。 
 • 中国:防腐剤としての最大安全濃度は0.5%とされています。 

まとめ

サリチル酸は、適切な使用によりニキビケアや角質除去に効果的な成分です。しかし、使用時には肌の状態や製品の濃度を確認し、過剰な使用を避けることが重要です。特に敏感肌の方や妊娠中の方は、使用前に専門家に相談することをおすすめします。また、各国の規制により配合濃度が定められているため、製品選択の際には成分表示を確認し、信頼できるメーカーから購入することが推奨されます。

11. エタノールアミン類(Ethanolamines)


エタノールアミン類(例:DEA、MEA、TEA)は、乳化剤やpH調整剤として使用されますが、ニトロソアミンという発がん性物質を形成する可能性が指摘されています。その

概要

エタノールアミンは、アンモニアの水素原子の一部がエタノール基で置換された有機化合物で、主に以下の3種類が存在します:
 • モノエタノールアミン(MEA):1つのエタノール基を持つ
 • ジエタノールアミン(DEA):2つのエタノール基を持つ
 • トリエタノールアミン(TEA):3つのエタノール基を持つ

これらは界面活性剤やpH調整剤として、シャンプー、コンディショナー、ボディウォッシュ、化粧品などのパーソナルケア製品に広く使用されています。 

健康への影響

エタノールアミン類は、以下の健康リスクが指摘されています:
 • 発がん性:動物実験において、ジエタノールアミン(DEA)やトリエタノールアミン(TEA)の長期曝露が肝臓がんを引き起こす可能性が示されています。 
 • 皮膚への影響:DEAは皮膚に蓄積しやすく、染毛剤や乳液、シャンプーなどに含まれる場合、皮膚の表層に52%〜68%が蓄積することが報告されています。 
 • 内臓系への毒性:DEAは男性の生殖機能に悪影響を及ぼす可能性があり、肝臓や腎臓に蓄積して臓器毒性を促すほか、神経毒性の懸念もあります。 
 • 皮膚感作性:モノエタノールアミン(MEA)は、ヒトに対して弱い皮膚感作性(アレルギー反応)を示すことが報告されています。 

環境への影響

エタノールアミン類は、環境中での分解性が高いとされていますが、使用量が多いため、水質汚染の原因となる可能性があります。特に、排水処理施設での処理能力を超える場合、水生生物への影響が懸念されます。

規制状況

エタノールアミン類に関する規制は国や地域によって異なります:
 • 日本:化粧品基準において、エタノールアミン類の使用が制限されています。また、労働安全衛生法に基づき、モノエタノールアミンは皮膚感作性物質として分類されています。 
 • 欧州連合(EU):化粧品規制により、特定のエタノールアミン類の使用が制限または禁止されています。また、発がん性の可能性がある物質として分類されています。
 • 中国:トリエタノールアミン(TEA)を含む製品の輸出入に関して、濃度に応じた規制措置が取られています。 

まとめ

エタノールアミン類は、パーソナルケア製品に広く使用されていますが、健康や環境への影響が懸念されています。消費者としては、製品の成分表示を確認し、以下の成分が含まれていないか注意することが推奨されます:
 • トリエタノールアミン(TEA) 
 • ジエタノールアミン(DEA) 
 • コカミドDEA 
 • コカミドMEA 
 • ラウリル硫酸TEA 

特に、敏感肌の方や妊娠中の方は、使用前に専門家に相談することをおすすめします。また、各国の規制や最新の研究動向に注目し、適切な情報に基づいた製品選択を行うことが重要です。

12.PFAS


概要


PFAS(ピーファス)は、ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物の総称であり、炭素とフッ素が強固に結合した構造を持つ人工化学物質群です。これらは水や油を弾き、耐熱性や耐薬品性に優れるため、1940年代から撥水剤、表面処理剤、乳化剤、消火剤、コーティング剤など、多岐にわたる製品に使用されてきました。  


主な用途

 • 調理器具:焦げ付き防止のためのフライパンのコーティング 

 • 衣類・繊維製品:防水・防汚加工 

 • 食品包装:耐油紙やファストフードの包装

 • 消火剤:泡消火薬剤 

 • 化粧品:耐水性向上のための添加剤


健康への影響


PFASは環境中で分解されにくく、体内に蓄積される傾向があります。これにより、以下の健康リスクが指摘されています:

 • 発がん性:国際がん研究機関(IARC)は、2023年にPFOAを「発がん性がある」、PFOSを「発がん性がある可能性がある」と評価しています。 

 • ホルモンかく乱作用:PFASはホルモンの働きを阻害し、甲状腺疾患や生殖機能の異常、肥満、心疾患などのリスクを高める可能性があります。 

 • 免疫機能の低下:免疫機能を低下させ、感染症にかかりやすくなる可能性が指摘されています。 

 • コレステロール値の上昇:血中コレステロール値の上昇との関連が報告されています。 


環境への影響


PFASは「永遠の化学物質」とも称され、環境中で非常に安定しており、分解されにくい性質を持ちます。これにより、水質汚染や土壌汚染が懸念され、食物連鎖を通じて生態系全体に影響を及ぼす可能性があります。


規制状況


PFASの有害性が明らかになるにつれ、各国で規制が進められています。例えば、欧州連合(EU)はPFASの全面禁止を検討しており、2024年に施行予定とされています。 日本でも、PFOSやPFOAの製造・輸入・使用が原則禁止されていますが、他のPFASに関する規制は今後の課題となっています。


まとめ


PFASは私たちの生活に広く浸透している一方で、健康や環境への影響が懸念されています。消費者としては、PFASを含まない製品を選択する、製品の成分表示を確認する、信頼できるメーカーから購入するなどの対策が考えられます。また、各国の規制動向や最新の科学的知見に注目し、適切な情報に基づいた選択を行うことが重要です。


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