「ヴィジュアル系かく語りき」
伝説のヴィジュアル系バンド「MALICE MIZER」創始者のMana様が、バンドマンや関係者をお招きし、V系シーンについて語りつくす「ヴィジュアル系かく語りき」。今回は遂に、La’cryma ChristiのギタリストHIRO様が登場!かつて、La'cryma ChristiはMALICE MIZER、FANATIC◇CRISIS、SHAZNAと共に「ヴィジュアル四天王」と呼ばれるなど、Mana様とは常に同じ時代を走り続けてきたHIRO様。孤高のギタリスト2人から、深く貴重なお話を語って頂きました。
(文・構成/本田水奈子)
Mana:会う機会があったらずっと聞こうと思ってたことがあるんだよ。
HIRO:え、なんですか?
Mana:ヒロリン・マンソンについて!
HIRO:え!
Mana:マリリン・マンソン好きなのかなって。
HIRO:いや、そんなに特別マリリン・マンソンが好きだったわけではないんですけど。
Mana:あ、そうなの?
HIRO:毒々しい濃いメイクをしてたからか、そう呼ばれてた時期があるっていうくらいで。
Mana:いやぁ、ヒロリン・マンソンてワードがすごい自分の中で定着してたから「今日はヒロリン・マンソンと対談だ~」って思ってたんだけど。
HIRO:(笑)なんならそう呼んでもらっても構いません!
Mana:(腐腐腐)
―Mana様とHIROさんには、意外な共通のお知り合いがいらっしゃるとか?
HIRO:ぼく、Moi dix MoisのドラムのHayatoくんともともと地元が近くなんです。
Mana:そうなんだよね。
HIRO:地元のバンドコンテストで、お互い違うバンドで出場したこともありました。
Mana:Hayatoくんから「La’cryma ChristiのHIROさんは同じ出身地で、すごく派手な先輩で当時から目立ってました」っていうのは聞いてたんだよね。
HIRO:HayatoくんがMoi dix Moisでドラムを叩いているっていうのは後から知りました。
―こうしてお会いするのは、いつぶりですか?
Mana:たぶん『Zy.[zi:] No.13』(2003年11月発売)っていう雑誌で対談して以来だと思うんだけど。
HIRO:そうですね。
Mana:すごい覚えてるのが、対談のタイトル。
HIRO:どんなのでしたっけ?
Mana:「ぼく、Moi dix Moisに入りたいんです」的な感じだったと思うんだけど。
HIRO:(笑)そうでしたか! Manaさんがヘヴィメタルについてすごく熱く語られたのはいまだに印象に残っています。
Mana:La'cryma Christiってメタルではなかったでしょ? だから、「本当は髪を立てて激しい音楽をやりたい!だからMoi dix Moisに入れて!」というようなことを言ってて、La'cryma Christi的にそんなこと言っていいのかな? 大丈夫かなと心配になったっていうのが記憶に残ってる。
HIRO:大丈夫です。Manaさんはあこがれの人なので(微笑)
Mana:ありがとうございます。
HIRO:もともとヘヴィメタルから入ったので、髪を立てて激しいヴィジュアルで自分もメタルをやってみたいっていう願望は常にあったかもしれないですね。
Mana:衝撃的な発言だった。このタイトル、OKなんだ!? って。
HIRO:ぼくがManaさんのことを好きすぎて舞い上がってしまったんでしょうね。
―お2人ともメタル好きということは、音楽的ルーツは近いものがあるんでしょうか?
Mana:世代的には近いからね。
HIRO:そうですね。ブラックメタルの話もされていましたよね? ぼくはあまりそのへんは詳しくなかったんですが。
Mana:『Zy.[zi:] No.13』で対談したころってブラックメタルというのはあんまり知られていなかったかもしれないね。私はもともとブラックメタルをやりたくてMoi dix Moisを始めたっていうところがあるから熱く語ってたのかも。
HIRO:すごくお詳しくて驚きました。ぼくはいまだにブラックメタルのことをよく理解していないので。
Mana:なるほどなるほど。
HIRO:ずっとトレモロで弾いてる感じですか?
Mana:割と16分トレモロで弾いて、ひたすらブラストビートっていうのがブラックメタルの一つのパターンではある。とにかく激速なので。
HIRO:Moi dix Moisもずっとそういう感じですか?
Mana:そうね。ブラックメタル好きという趣味趣向はまったく変わらないので、そのへんは貫いていますね。
HIRO:Manaさんはヴィジュアルもそうですし、音楽性も変わらずブレないというところが素晴らしいと思います。昔から、ぼくが好きなままのManaさんでいてくれているというか。
Mana:……。
HIRO:…………気持ち悪いですか。
現場:(爆笑)
Mana:(微笑)
HIRO:昔対談させてもらった頃は、ぼくまだすごく人見知りだったんです。だから緊張して全然しゃべれなくて。今も緊張してますけど。だから今日は前回よりもっとしっかりお話しできればと思っています。
―La'cryma ChristiとMALICE MIZERというと、同時期に活躍されていて当時は“ヴィジュアル四天王”と呼ばれていました。ですので、なんとなくライバル関係のようなイメージを持っていたんですけど、HIROさんの反応を見ているとどうやら違うようですね?
HIRO:ライバルなんてとてもとても。MALICE MIZERは別次元でした。本当に。確かに四天王とか言われていたりもしましたけど、MALICE MIZERはひとつ飛びぬけて稀有な存在でしたから。
Mana:バンドという概念からはちょっとハズれてたかもしれないね。ちょっと異質な集団というか。
HIRO:当時はまだ、MALICE MIZERのようなバンドっていませんでしたからね。確か、ダイヤモンドホールで初めて対バンすることになって、LIVEを見させていただいた記憶があるんですけど、かなり衝撃を受けました。
Mana:なんだかんだLa'cryma ChristiとMALICE MIZERはいろんな場で対バンしてたよね。
HIRO:そうですね。
Mana:私の中でLa'cryma Christiは、クリーントーンがとにかくキレイだっていう印象が強いから、クリーントーンの秘密を教えてほしい。
HIRO:クリーントーンっていうのは、歪みのない透き通ったギターの音色のことなんですよね。音源では確かに意識してクリーントーンは使っていました。
Mana:ジャズコ(JAZZ CHORUS)使ったりとか?
HIRO:小っちゃいのは使ってたかもしれないですね。でもあの当時はプロのテックさんと一緒にレコーディングしていたんです。だから、ほぼテックさんにイメージを伝えて音を作ってもらうというやり方をしていました。
Mana:ちなみにクリーントーンの時ってハムバッカーなのかシングルなのかどっち?
HIRO:レコーディングは基本シングル。でハーフトーンで。
Mana:やっぱりね♪ あの音は私には出せないと思ってたんだよ。なぜなら私はハムバッカーしか使ったことがないので。
HIRO:そうなんですよね。
Mana:La'cryma Christiのクリーントーンはハムバッカーじゃないなと思ってた。でも実際はどうだったんだろうって、ずっと本人に聞いてみたくて。La'cryma Christiのギターの音色ってなんでこんなにキレイなんだろうって。壊れそうなガラスを思わせる繊細なクリーントーン。あれがずーっと気になってた。
HIRO:テックさんのおかげです。
Mana:そうだったのかぁ。
HIRO:ハムバッカーでタップしてもちょっと違うじゃないですか。
Mana:ハムバッカーじゃ無理。あの透明な音は! 当時からLa'cryma Christiのギターの音使いは独特だなって思ってたんだよね。
HIRO:嬉しいですね。
Mana:La'cryma Christiの曲、結構聴いてたから。
HIRO:ありがとうございます。
Mana:ちょっとプログレ入ってなかった?
HIRO:よく「プログレ好きでしょ?」って言われるんですけど、実はぜんぜん聴いたことがないんです。
Mana:あ、そうなの!?
HIRO:最後の一拍が余計に感じたりすることがあって、自然とあのギタープレイになっているという感じですね。
Mana:曲が展開するときのギターの経過音がすごい独特なコード使ってて、なんなんだコレは! と思ったりして聴いてたよ。
HIRO:たしかにコード感にはこだわっていました。もともとLa'cryma Christiをやる前のバンドは王道のハードロックバンドだったんです。でもだんだんとオリジナリティをもっと追求したい気持ちがふくらんできて、コード感にこだわったり変わったフレーズを探したりっていう風になっていったんです。だからLa'cryma Christiになってからは、ハードロックとかヘヴィメタル感っていうのを自分の中で封印してやっていました。
Mana:なるほど。La'cryma Christiの前ってSTRIPPE-D-LADYっていうバンドでしょ?
HIRO:そうですそうです。ご存じだったんですね。
Mana:ロクエフかなんかに載っていたのを見て存在は知ってた。
HIRO:Manaさんはメタル好きですけど、MALICE MIZERには、メタル感はあんまりなかったですよね?
Mana:私もメタル感は当時排除してたからね。
HIRO:MALICE MIZERからMoi dix Moisにバンド自体は変わったんだけど、Manaさんが作る世界観っていうのは変わらず貫いていますよね。
Mana:そうね。基本は変わっていないと思う。
HIRO:芯を感じて、とても尊敬しています。
Mana:どうも。
HIRO:…すいません、気持ち悪くて。
Mana:(笑)
―HIROさんが今年3月に横浜7th AVENUEで行った弾き語りのライブでは、La'cryma Christiの曲もソロで演奏されていました。さきほどMana様がおっしゃっていた、ガラスのような繊細なギターの音色で会場が一瞬でLa'cryma Christiの世界観になったのが印象的でした。
Mana:え!
HIRO:はい。やりました。
Mana:歌は?
HIRO:歌いました。キーは変えましたけど。
Mana:へぇ、歌える人なのか。歌声は聴いたことないから気になるなぁ。
HIRO:ありがとうございます。
Mana:歌声は、音源になってたりするの?
HIRO:セカンドソロアルバムでは全曲歌っています。
Mana:そうなんだ。
HIRO:歌、やりはじめたばかりなので、まだちょっと恥ずかしいんですけど。Manaさんは歌、やられないんですか?
Mana:うーん、唯一歌はあんまり世に出したくないという気持ちもありつつ、実はMoi dix MoisのCDではデスボイスで声は出してたりする。
HIRO:そうなんですね! ライブでもやられてるんですか?
Mana:本当はライブでもデスボイスやりたい気持ちはあるんだけど、やっぱりイメージを考えるとやめておいた方が良いんじゃないかと。
この続きはサロン会員専用ページにて公開!
後半のトピックは…
■Mana様直筆、〇〇カタログ
■La'cryma Christiのメンバー全員が体験したあるホテルので出来事
■Mana様の部屋に知らない女が……