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Moi-même-Moitiéスペシャル対談 Mana様x幾原邦彦

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Moi-même-Moitiéスペシャル対談 Mana様x幾原邦彦

MALICE MIZER / Moi dix MoisのギタリストManaにより1999年に設立されたブランドMoi-même-Moitiéの20周年を記念して開設するオンラインサロンのスペシャルコンテンツ『Mama様×著名ゲストによる緊急対談』。

今回は、かねてからManaが心酔するアニメ『少女革命ウテナ』をはじめ『輪るピングドラム』『ユリ熊嵐』で知られる奇才、幾原邦彦監督が登場。最新作『さらざんまい』のスタートと、幾原邦彦展開催直前という多忙な中、お仕事の合間を縫ってこの対談の為に駆けつけてくださった幾原監督に、なんとMana自身がインタビュアーになりきり積極的に質問責めに!二人の貴重なお話をお楽しみください。
(文・構成/本田水奈子)

――まずは、お二人の出会いからお聞かせいただけますか?


Mana:たぶん初めてお会いしたのが、私が青山にMoi-même-Moitiéのお店を出した頃だったと記憶していて、たしかお店に来てもらったこともあったような。
幾原:行きました行きました。
Mana:雑誌の『JUNE』関連の方の紹介でしたっけ?
幾原:そうかもしれない。
Mana:MALICE MIZERの頃に『JUNE』に出ていたことがあって、編集の方と話す機会があったんです。

そのとき私が「ウテナがすごい好きなんですよ」って話したのをキッカケにイクニ監督を紹介してもらったような気がするんですけど。
幾原:うん、そうだったかもしれない。青山の店に行ったのは覚えていますよ。
Mana:その時、たしかイクニ監督が私のコトを女性だと思ってた、みたいなことを言われた記憶があります。
幾原:(笑)写真見ただけだったから、実際に会うまでてっきり女性だと思ってたんですね。
Mana:今日は恐らく十年ぶりくらいか、それ以上ぶりか、という感じですがよろしくお願いします。
幾原:お願いします! で、今日はなんの対談なの?
Mana:Moi-même-Moitiéの20周年を記念した企画なんですよ。
幾原:え? ということはあれから20年経ってるってこと?
Mana:そうなんです。

ちなみにイクニ監督はゴシックファッションというものを身にまとったことはありますか?
幾原:意識的に着たことはないですね。
Mana:あ! 

たしか『アニメイト』か何かの企画で、ピッチピチのエナメル的なものを着ている記事を見て衝撃を受けた記憶が蘇りました。
幾原:そういえば昔、そんなこともやりましたね(笑)
Mana:かなり本格的なボンテージでしたよね。監督がこういうこともやるのか!と。私が思うアニメーション監督というものの概念をぶち壊して、完全にヴィジュアル系として攻めてる写真だったので衝撃とともに共感を持ちました。
幾原:あれは完全に“やっちゃった”感じだったんですけど(笑) 今ならやらないです。
Mana:そうなんですか?(残念そう)あの頃はいつもガっとメッシュ入ってたじゃないですか。
幾原:そうですね、うん。
Mana:だから、すごいヴィジュアル系の監督だなと思っていました。
幾原:昔は目立った方が良いと思ってたんですよね。最近はメディアの形が昔とは変わってきてるんで、今は今の見え方を考えているところです。
Mana:たしかにメディアも世の中の考え方も、あの頃とは全然違いますよね。
幾原:今は良い悪いは別にしてすぐ拡散するじゃないですか。

拡散させたくて狙うこともあるし、拡散してほしいのになかなか広まってくれないものもあるし。

それをコントロールするのがメディアの存在意義になっていたりもするので、見え方も昔とは変わっているというのはある。

最近は、“自分”があんまり出過ぎるのも良くないかなって。
Mana:そうなんですか?
幾原:その割には最近も出てるだろ、って言われちゃいそうだけど。

一応「最近はなるべく出たくない」って言ってるんだけどどうしても昔のイメージがあるらしく「出るでしょ?」って言われちゃうんですよ。
Mana:ってことは昔は出たかったんですか?
幾原:昔は、こっちから攻めていかないと取り上げてもらえなかったというのもあるかな。

“ちょっと変わってる人”という見せ方をしていると取り上げてもらいやすいじゃない。

なので自分から「変わってますよ」アピールしてたんですけど、今はもうあんまりね。

個人情報の時代ですから。

僕もこう見えて普通に生活してるんですよ(笑)
Mana:なるほど~。
幾原:今の若いクリエイターの人たちって、逆に出たがらないですよ。
Mana:下手に露出すると怖いということですか?
幾原:そうそう。

特に僕の業界の人は出たがらないです。

個人情報が拡散されるのも怖いので。

僕はめずらしい方ですよ。

でももう最近、出るのも疲れましたね。
Mana:イクニ監督は、私服でのこだわりというのはあるんですか?
幾原:こだわってないですよ、あんまり(笑)  

もうね、何着たらいいのか分かんないんですよ。
Mana:はたから見ると、すごくコーディネートもちゃんとかっこよくしていてこだわっている印象です。

昔はもうちょっとカラフルでしたよね。

原色のサイケデリックな装いだった気がします。
幾原:そうだったかもしれない。

前は派手な色のものを選びがちでしたけど、最近は色も抑え気味ですね。
Mana:作品の登場人物の装いに関しては何かこだわりがあるんじゃないですか?
幾原:どうなんですかねぇ。
Mana:特に、作品に出てくる女性のファッションには監督の女性観というのが投影されているのかな、と個人的に思っていたりして。

すごく興味があるんですが。
幾原:うーん。

無意識にこだわっている部分はあるのかもしれないですけど、デザインとして意識的にどうこうしたいという意味では、明確なものは特にないですね。


――Mana様はウテナの中に理想の女の子っていたりしますか?

Mana:あ~、あの中だと誰かな~。

う~ん(強烈に悩んでいる様子)
幾原:天上ウテナ?
Mana:いや…
幾原:姫宮アンシーとか?
Mana:じゃない。
幾原:じゃないんだ(笑)
Mana:正直、桐生冬芽への憧れはある。
幾原:そっち?!
Mana:とにかくカッコイイじゃないですか、物言いにせよ振舞いにせよ。
幾原:なるほどね。
Mana:監督はウテナの中だと好みの女の子キャラとかあるんですか?
幾原:ない。
Mana:(微笑)自分の作品を振り返ってみて「自分はこういうファッションの女性が好きなんだな」って気づくというか。

何系ファッションが好きかもしれないってことはないですか?
幾原:ああ、若干……自分は何がフェチかな? って考えることはありますね。
Mana:あ、それ知りたいです(微笑)
幾原:いやいや、そんなに大したことではないんです。ワンポイントフェチというか。
Mana:というと?
幾原:え? 

いやいや、なんですかねぇ。

やっぱりちょっとズレてる感じ? 

ズレてる感じの部分を探すというか。
Mana:ズレてる感じか……、なんだろう。

私としては具体的に言うと結構ニーハイが好きなんですよ。
幾原:あ、そうですか。

ニーハイもやっぱりちょっとズレてる感じが良かったりするじゃないですか。
Mana:今でこそ「ニーハイ」と言えば誰にでも通じますけど、私ははるか二十数年前からニーハイの伝道師としてニーハイを履いてライヴやPVに出ていたので、ニーハイ推しではあるんです。

可愛さと色気のはざまをいっているのがニーハイだと思っていますね。

ニーハイの頂点とスカート裾との間にできる素足の領域、その幅にも好みがあったり。そこにこだわって今に至るんですけど。

イクニ監督のフェチを具体的に言うとどうなりますか?
幾原:フェチを探すフェチですかね。

この分野のフェチはなんだろう、という感じで。
Mana:どどどどういうことでしょう。
幾原:例えば……、ゴシックって僕あまり詳しくないんですけど、ゴシックもある種のフェチかなって思う部分があるじゃないですか。
Mana:たしかに。

ゴシックはフェチですね。
幾原:つまりちょっとこう、戒められているというか。

肌を見せないよう押さえつけられているという感じがいいのかなって思うんだけど、さらに押さえつけられつつもよりフェチ感を強く見せるためにはどこか一部分、どこを出すのかな? 

っていうのとか。
Mana:どこを出すってどどどどういうことですか!
幾原:(笑)

どこに肌色が見えているかによって、また違うじゃないですか。

ニーハイなら太腿ということになりますけど、デコルテかもしれないし、二の腕かもしれない、うなじかもしれない。

黒に包まれながらもどこか一点肌を見せる。

見せるならどこが一番グっとくるのか、というところにフェチがあるでしょ?
Mana:そういうことですか。

なるほど。
幾原:基本、抑圧されていたり締め付けられている、

厳粛さとかエレガントさを求められている中で、チラっと見せる肌にセクシュアリズムがあるのかなと。
Mana:つまりイクニ監督はニーハイがお好きだと。
幾原:そういうことになるんですかね(笑)
Mana:ゴシックロリータって基本あんまり肌は見せないんですよ。
幾原:普通ゴシックは見せちゃダメじゃないですか。

見せちゃダメなのに見えてる部分があるからドキっとするわけでしょ?

 見せちゃダメ。やっちゃダメ。

と言われている中で見せちゃうところがフェティシズムという感じじゃないですか?
Mana:シスターに色気を感じる的なやつですね。
幾原:そうそう。

本当はシスターに色気を感じちゃダメじゃないですか。

ダメなんだけど、そのダメなことに感じるのがフェチというか。

それはいろんなジャンルにも言えることであって、各ジャンルに「これはしちゃダメですよ」っという線引きってあると思うんです。

そのルールを知っていながら「すみません、やってしまいました」っていうのがROCKでありARTであると思うんですよね。

それはアニメでもなんでも一緒です。

「やっちゃダメですよ」って領域に踏み込む面白さこそ、ROCKかなと。
Mana:非常に分かります。ウテナがまさにそうでした。
幾原:そうですね。

僕は、作品作りにおいても「これはやっちゃダメだよね」ってことはあえてやってみたくなっちゃう性格ですね。

音楽もそうだと思うんだけど、普通を越えていかなきゃつまらなくないですか?

 ジャンルっていう“くくり”の中で暗黙のルールをみんなで作り上げてしまうけど、その暗黙のルールが気持ちいい場合もあれば、自分の中ではそこを越えていかなきゃつまらないと感じるんです。
Mana:それは私もまったく同感ですね。
幾原:やっぱりManaの良いところは、セクシャリズムのルールをいつも越えていこうとしているところだと思うんだよね。

Mana:キタMana呼び! 

イクニ監督ぐらいですよこう呼ぶの! 

普段言われなれてないから凄く新鮮で何だかドキッとする(微笑)




お互いのフェチをさらけだした二人の話題はさらにディープな路線へ…後半のトピックは
■知られざるふたりのLA旅
■音楽的ルーツ談義
■Mana様の尻子玉が!?
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