競馬番組やYouTubeではたびたび「展開予想」を題材にしたものがあります。
また競馬新聞やweb上の出馬表でも予想展開が記載されています。
展開次第で結果が変わるというのは往々してあることであり、展開は競馬において重要なファクターだと言えるでしょう。
そこで今回は展開予想のどこに期待値があるのか?しっかりと言語化できるように解説しました。
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目次
☆展開予想はオッズに織り込まれている
☆結果に影響=予想で重要は成り立たない
☆期待値は「脚質ギャップ」にあり
☆スタート指数(テン指数)
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☆展開予想はオッズに織り込まれている
最初に元も子もないことを言いますが、現代において展開予想はオッズに織り込まれていると考えられます。
そもそもパリミュチュエル方式を前提に考えれば、競馬番組やYouTubeなど多くのメディアで展開予想が議論されている場合、そのファクターは採用すべきでないとわかります。むしろ展開が向かないと思われている馬のほうが買うべきかもしれません。
そのため、一般的な方法による展開予想で導かれた「展開が向きそうな馬」は実力以上に買われる傾向にあるため、ねらい目とはなりません。
これは重賞において特に顕著であり、多くのメディアで議論されればされるほど、その期待値は失われていくでしょう。
☆結果に影響=予想で重要は成り立たない
冒頭で「展開次第で結果は変わる」と言いましたが、これは事実です。
超スローペースになれば前が残りやすいですし、前半1000mが57.5秒で走れば差し馬にチャンスがうまれます。
仮に競馬が一定のオッズ、すなわち「ブックメーカー方式」であった場合、展開予想は重要です。
展開予想の精度を上げればおのずと的中率もあがるため、回収率も良くなります。
しかし、日本の競馬は「パリミュチュエル方式」です。
仮に展開予想の精度を上げることで馬券の的中率があがったとしても、それ以上にオッズが下落していれば儲かりません。
それどころか、大衆と同じ予想をしていれば儲かるどころか過剰人気の馬を見つけ出すだけであり、どんどん収支はマイナスになっていきます。
つまり「パリミュチュエル方式」において「結果に影響するファクター = 予想で重要」という等式は成り立たないことがわかります。
なので自分は競馬番組に出演しても「展開予想」はしませんし、予想時の重要度としてはかなり低いです。(※回顧においては超重要ですが)
では、展開予想の期待値はどこにあるのでしょうか?
☆期待値は「脚質ギャップ」にあり
展開に限らず、パリミュチュエル方式における期待値は認識のギャップにあります。
「近走着順が悪いと思われそうだけど、実は強い馬」
のように、大衆との認識差がオッズに反映されることで、そのギャップが取りうる利益になるのです。
これを脚質に置き換えると、とある馬の脚質が大衆の認識と異なれば異なるほど期待値がうまれます。
もっと具体的に言えば「大衆が差し馬と思っているが、実は逃げor先行する可能性が高い馬」のことです。
言うまでもなく競馬は逃げ馬の成績が一番良く、次点で先行、差し、追い込みとなり、前で競馬している馬ほど優秀です。
ですが、前走で逃げていた馬を買っても儲かることはなく、むしろ近走で逃げていない馬を狙うほうが回収率は高くなっています。
≪参考②:脚質データの正しい解釈≫
つまりねらい目は「大衆が差し馬と思っているが、実は逃げor先行する可能性が高い馬」。
先週行われた有馬記念で、レガレイラは「後方からの馬」と思われていました。
しかし、私はエリザベス女王杯のレース映像回顧から「不利がなければ、前で競馬ができていた」と予測。
そのためレース前にいただいた質問でも「アーバンシックよりは前にいる」と回答し、「後方からと思われそうな点もプラス」と脚質にギャップがある点を強調したのです。
☆スタート指数(テン指数)
「大衆が差し馬と思っているが、実は逃げor先行する可能性が高い馬」を探す具体的な方法として、スタートの速さを指数化する方法があります。
作り方は複数ありますが、代表的なものはスタート200m地点での各馬の通過タイムを測定する方法です。
以前は自分で1頭1頭算出するしか方法がありませんでしたが、先日netkeibaの新プラン「マスターコース」では個別ラップが提供されるようになりました。これによりスタート指数はより簡単に作ることができるようになります。
≪参考③:マスターコースについて≫
ただし、個別ラップを使う場合は当日の馬場差やコースの特徴(芝スタ、下り坂スタなど)ごとに時計の出やすさが異なるので補正が必要です。
これからの時代は個別ラップがどんどん使われる以上、いかに正確な補正ができるかどうかが問われていくはずです。
そしてその精度が高いほど、「実は逃げor先行する可能性が高い馬」を精度よく当てられるようになるでしょう。