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rani【「戦術的」併殺奪取〜6-6-3編➀〜(改)

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rani【「戦術的」併殺奪取〜6-6-3編➀〜(改)

今回はショートゴロ、一人で併殺を奪り切る”6-6-3”を掘り下げます。このプレーに関しては5年ほど前からツイッターで何度も取り上げているのですが、その内容だけではほとんど実戦で活かせないのでより詳細に書きます。この6-6-3、つき詰めると結構景色が変わると思います。


●6-6-3の基本対応

見てもらうのが一番早いのですが、6-6-3の基本対応は「送球時の踏み込み足でベースを踏んでそのまま投げる」です。左足/右足踏み込みの2パターンありますが、簡単にできる左足踏み込みが基本でしょう。これによって最短距離で送球することができ、歩数も2歩短縮できます。ただし先述の通りこの情報だけでは実戦でほぼ使う機会がありません。なぜなら、一般的に併殺を一人でとる場面は二塁ベース際のごく一部のエリアの打球に限定されるからです。「6-6-3を狙おう」と考えるシチュエーション自体が現状少な過ぎるんです。
さてここからが本題です。踏み込み足でベースを踏むことで2歩短縮することができますが、この「2歩」により状況が大きく変わります。最も重要なポイントは、6-6-3の時短に成功したことにより、効率性において6-6-3が6-4-3を上回る場面が出てくるということです。実際にどう変わるのか、6-6-3と6-4-3を比較しメリットとデメリットを追ってみます。

●6-6-3 vs 6-4-3

以前宮本慎也氏が併殺処理時のショートの「スローorトス」の選択について、「ゲッツーの定位置を守っていて、左側に緩い打球が来たら全部トス」と語っていたことがあります。私はこの基準を「6-6-3 or 6-4-3」の選択にも援用できると考えています。つまり「ゲッツーの定位置を守っていて、左側に打球が来たら一人で行く意識を持て」これが原則です。勿論これはあくまで原則、打球の強さや体勢、その瞬間の距離等で簡単に変わり得るものですが、一人で行く””意識を持っておけ””ということです。これを念頭に、左側の打球に対して6-4-3のトスと6-6-3のどちらが速いかを比較し、6-6-3のメリットを考え得る限り列挙します。

ポイント①:歩数の比較
速さの比較ということで、まずは最もシンプルに歩数を比較する。1歩の速さや大きさ等単純比較はできないがまずは簡略化してイメージをとらえる。自分より左に来た打球の場合、6-6-3なら一般的に4歩、多くとも6歩でベースに到達できる(※3歩と4歩、5歩と6歩はあまり変わらない。最後はシャッフルで両脚同時着地なので)。では6-4-3のトスの場合「送球者(セカンド)がトップに入るまで」にショートは惰性で何歩踏んでいるだろうか?確認すると分かるが、オーソドックスな手法のトスであれば”プロの最短でも”3歩は踏む【※左足で捕球(0歩目)してそのまま右足でトス(1歩目)、2歩目の間にセカンドに届き、握りかえ中に3歩目】。ここからトスの距離がのびたり、後述の様々なリスクをとる中でさらに歩数は増えていき、ゆっくり4歩5歩かかることも普通。先述の6-6-3対応ならショートもベース到達と同時にトップに入るため、それならば「その4歩で一人でベースについた方が速いじゃん!」という話になる。トスは意外と遅い、ということをまずは確認しておきたい。特にベースの後ろからのトスはさらに時間がかかり、バックトスとなるともう絶望的である。

ポイント②:0歩目の推進力
最初からセカンドにトスする気しかない人と一人で行く気満々の人を比べると、そもそも最初の一歩目を踏み出す勢い、言わば0歩目(捕球時の足)の推進力が全く違う。同じ4歩でも一人でベースまで辿り着ける距離が伸びスピードも上がる。もっと大きいのが打球への入り方の違い(0歩目以前)。例えば最初からトスする気しかない選手は捕球時に「両手・左脚」で合わせるためにボールを待ったり、バウンドに合わせて大きくジャンプしたり「トスをするための動作」をとりがちである。逆に一人で行く気満々の選手はシングルハンドで勢いをつけて打球に入ってくる。これだけでゴロを捕球するまでの時間、最初の一歩の速度・踏み出し幅・送球の勢い等様々な点で大きな違いが生まれる。コンマ数秒の争いである併殺でこの差は看過できない。
目的は「併殺をとる」ことであって「セカンドにトスをする」ことではない。まずは「一人で決める」という意思を持つこと、これだけでも状況は大きく変わる。

ポイント③:送球・捕球・握り替えのリスク
軽いトスとは言え、間に一人介在させることで「送球・捕球・握り替え」をそれぞれ一回ずつ余分に行う必要がある。単純なエラーのリスクは勿論、トスが流れたり、握り替えに手間取るとそれだけ時間を要する。握り替えなどはバカにできない要素で、無くせるなら無くすに越したことはない。

ポイント④:送球の強さ
横・後ろからトスを受け高速で握り替えてその場で投げるセカンドと、後ろから数歩ステップを踏んで投げるショートでは送球のしやすさ・強さが全く違う。特に後ろからのトスの場合、セカンドはかなり投げにくくなる。またこれはチーム事情にもよるだろうが、ショートの方が肩が強いというチームの方が多いのではないだろうか。そういった二人の能力差も考慮すべき要素となる。

ポイント⑤:ベースカバーのリスク
セカンドがカバーに入るのが遅れると、トスを弱めたり少し待ったり調整する必要がある。これも無駄なタイムロスである。トスをしようとした時セカンドが都合よくいてくれるかどうかは分からないが、ベースは必ずそこにある。
✳以上が6-4-3と比較した際の6-6-3のメリットとなります。勿論デメリットもありますが、ある程度安定してこなせるようになると相当なアドバンテージが得られると思います。高校生でもできている選手も見かけますし、練習しておいて損はないのでは。次回はどういう場面で6-6-3を選択するかの基準とデメリット、注意点を補足します。

ダルビッシュ投手とも対談したことがあるrani氏。
捕手理論だけでなくの内野守備・タッチ理論、戦術もお楽しみに。

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