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*無料* 梁 世柱の最近気になるワイン ＜2＞

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梁　世柱の最近気になるワイン　＜2＞


＜ソムリエプロフィール＞

梁　世柱　/ Seju Yang

La Mer Inc. CEO


＜ワイン情報＞

生産者：Koerner / コーナー
ワイン名：“Mammolo” Sciacarello / “マンモーロ” シャカレッロ
葡萄品種：Sciacarello / シャカレッロ
ワインタイプ：赤ワイン
生産国：オーストラリア
生産地：Clare Valley / クレア・ヴァレー
ヴィンテージ：2018
インポーター：kpOrchard
参考小売価格：¥5,000


ニューワールドで主に栽培される葡萄品種は、だいたいどこの国も似たり寄ったり。不思議に思ったことはないでしょうか？しかも決まって、フランス系品種に極端に偏ってたりします。

長年この地で栽培されているから。なんていうのは、生産者の決まり文句のようなものですが、本当のところは、「真実ときどき嘘っぱち（注1）」なものでして、実際にニューワールドでフランス品種ばかり栽培される理由のトップ5をあげていくと、以下の感じになっちゃいます。

1. 売りやすいから
2. 売りやすいから
3. 売りやすいから
4. 育てやすいから（注2）
5. 造りやすいから（注3）

でも近年、「そんなん、どーでもえーわ〜」と紫色のパーマヘアーと豹柄のパンツでクールに決め込んだ、自称薄味派の関西風お姉さまの姿が見えてきてしまいそうなノリで、アナーキーな葡萄品種のチョイスをする若い造り手も増えてきました。

今回の主役は、フランスのコルシカ島が主要産地である、シャカレッロという葡萄（注4）。コルシカ島は、フランスの国土からずいぶんとはみ出した場所にあって、イタリアのサルデーニャ島の真上にあったりするし、実際にイタリア諸国領だった時代もあって、なかなか　複雑な事情を抱えた場所だ。

葡萄品種の名前も、「シャカレッロ、シャカレッッロ！！」なんて連呼してたら、いかつい黒服のお兄さんが「チャーオ！」と出てきそうな響き。（ゴッ◯・ファーザーの見過ぎというツッコミはご勘弁を）

さて、フランス屈指のマイナー品種であるシャカレッロを、どういうわけかオーストラリアのクレア・ヴァレーで栽培しちゃった人がいます。

デイビッド・コーナーさん。

たまに出てくる「イロモノ系」かと思いきや、これがとんでもなく素晴らしいワイン。

フレッシュな木苺をプチプチと噛んでいるような、甘酸っぱくて、ちょっとあったかい感じ。

本家本元のコルシカ産では全くみられない表現で、単純な美味しさだけの話をするなら、ちょっとわかりにくい味わいの本家を嘲笑うかのような、軽妙で華やかで、とにかく分かりやすい美味しさ。

故郷というのは、だいたい落ち着く場所ではあるけども、必ずしも最も輝ける場所とは限らない。

シャカレッロにとって、オーストラリアのクレア・ヴァレーが、まさかのアナザースカイになってしまったというお話でした。

（注1） 現在大勢をしめているフランス系品種よりも先に、スペインやイタリア系品種のほうが持ち込まれていたなんていうのは、本当によくある話。
（注2） 様々な気候に耐性のあるクローン等々、栽培方法の研究が進んでいる。
（注3） 醸造方法の研究が進んでいる。
（注4） 　教科書には「スキアカレロ」と書かれていることも多いが、正しい発音はシャカレッロに限りなく近い。


＜ソムリエプロフィール＞
梁　世柱　/ Seju Yang
La Mer Inc. CEO


1983年大阪生まれ。2003年にNYに移住後、様々なレストランにてソムリエとして研鑽を積む。
2011年starchefs.comよりRising Star NYC Sommelier Award受賞。
2012年Zagat SurveyよりZagat 30 under 30 NYC Sommelier Award受賞。
同年、Wine Enthusiast紙より、America’s 100 Best Wine Restaurant Award受賞。
世界最大のソムリエ激戦地での連続受賞は日本出身のソムリエとして唯一の快挙となった。
2012年に日本帰国後は、ミシュランガイド三ッ星店も含め、都内のレストランでシェフ・ソムリエを歴任。
2017年、オーストラリアにて開催されたSomms of the Worldに、World’s 50 Best Sommeliersの一員として招聘。
2018年、La Mer Inc.設立。代表取締役社長兼CEOに就任。
ワインジャーナリストとしてワイン専門誌に多数寄稿。


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