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Hola!オラ、エスパーニャ!! 菊池貴行 <3>

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<ソムリエプロフィール>
スリオラ
シェフソムリエ
菊池 貴行(キクチ タカユキ)

<ワイン情報>
生産者:Domonio de la Vega / ドミニオ デ ラ ベガ
ワイン名:Paraje Tornel / パラへ トルネル
葡萄品種:Bobal / ボバル
ワインタイプ:赤ワイン
生産国:スペイン
生産地:Utiel-Requena / ウティエル・レケーナ
ヴィンテージ:2016
インポーター:駒形前川
希望小売価格:2500円
 

 
ボバル 〜今最も成長著しい、秘めたポテンシャル〜
 
ウティエル・レケーナ。
この名を聞いてスペインのワイン産地であり、場所までわかる人は余程のスペインワイン好きだろう。素晴らしすぎる!
この地は南スペイン、地中海に面した都市バレンシアより70km程内陸に入ったところにある。地中海性気候と大陸性気候が混じり合い、「10ヶ月は冬、残りの2ヵ月は地獄」と表現されるような、厳しい環境にある。私も含め、並みの日本人なら8月のそれは、ものの一時間足らずで逃げ出したくなるだろう。
他の都市のような観光地は皆無、見渡す限りの齢を重ねているブドウの木々の景色。
それがボバルだ。
その名の語源は多々あるが、大きなその房がまるで闘牛の頭に似ていることから、また過酷な環境下で形成されるその濃厚なタンニン色素から、「闘牛の血のよう」ということで名付けられた説もある(個人的には後者の方がうなずける。レスベラトトールと言うポリフェノールの1種が他のワイン用のブドウより大量に含まれている。抗酸化物質で、健康にも良いとされている)。
性格的に樹勢が強く、高すぎるタンニンと酸味。油断すると房が大きくなりすぎ、粒ごとの熟し方に差が出てしまい、多量生産のバルク向けの運命を余儀なくされてきた。
 
しかし、ここ20年スペイン国内各地で、郷土のアイデンティティを重んじる動きが出てきたように、ここバレンシアの奥地でもその動きは見られてきた。
国際品種を闇雲に植え、マーケティング一辺倒でなく、地場のブドウでできたワインで舌鼓を打ってもらう。喜びを分かち合う。
 
まずは、ウティエル・レケーナ全体で古樹を大切にしようとする動き。干ばつに強いこの品種は、病気や害虫に侵されることなく100歳級の古樹が残っている。若い樹に比べ、非効率に実をつける古樹を安易に引き抜くことを禁止し、それに苦しんでいる農家には金銭的な援助をした。また灌漑など一切せず(ドライファーミング)、ブドウの木をいじめ抜き、房の成長を半分の大きさくらいまで我慢させ、高いタンニンと酸は上がった糖により緩和された。長年歴史を見守ってくれたブドウからは、青みの一切ない素晴らしい円熟した果実味を魅せてくれる。

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