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日本で海外の戦術はすべて適用できるか？

海外の火災戦術といえば米国か欧州かではないでしょうか？
この2か国は思想が大きく異なるため戦術の概念も大きく異なります。

米国の戦術

一般住宅建物の多くが高気密高断熱の木造建物あり屋内進入が基本です。
米国の戦術は潤沢な水利し圧倒的な消防力で火災を制圧する仕組みができています。
例えば消火栓から毎分約5700ℓが取水可能で、それを生かす大量注水が可能な装備が整っています。

また「屋内進入をしない＝臆病者」という思想があるため基本的に屋内進入をして消火する文化です。

結果として熱放出率が高く危険度の高い火災現場でも屋内進入が可能な装備とスキルが生まれてきています。

欧州の戦術

一般住宅の多くが石造り、レンガ造りなど不燃性の建物が多く、屋内進入で消火が基本です。
米国と大きく違うところは「水利不足」です。消火栓も普及していますが、老朽化に伴う漏水も多く、状況によっては有効な水量が得られません。また、干ばつが深刻な問題となっています。
そのためなるべく少ない水で消火するしかない状況であり指針も出ています。

少ない水で消火するためには「火を小さく」する必要があります。このためドアコントロールやスモークカーテンを利用した火を小さくする工夫の一つである「非換気戦術」が積極的に行われているのです。
また、外から冷却する装備などが開発され普及しています。

圧力を高めることで吸熱効果を高くし、ブースターホースで機動性を向上。素早く到着し小さい火のうちに少ない水で叩く戦術が構築されています。

日本の戦術

日本の基本戦術は延焼阻止でした。これは通気性の良い木造建物が日本で普及しているからです。ビルが少なく区画内火災は地方ではあまり関係はなかったかもしれません。

しかし、令和の日本は省エネ住宅の普及により一般住宅での区画内火災の発生、企業湯地による大規模倉庫や工場の誘致、それに伴う防火対象物火災、新幹線や病院などの放火など都市部、地方関係なく火災のバリエーションが増えています。

また、欧州の戦術と装備をそのまま日本に導入した結果、区画内火災前提の戦術と装備が延焼危険の高く、水量が欲しい場所で使われ余計な被害を出していることがあると会員様からたびたび伺います。
もちろん消防水利が潤沢な地域ばかりではないため少ない水で闘う方法を否定するつもりはありません。しかし、大量の弾薬（水）があるのに使わない地域ははたして市民の利益に繋がっているのでしょうか？

日本の戦術とうよりも「各地域事情」にあった戦術を構築する必要があると考えています。

区画内火災特有の燃焼現象の発生

自治体消防と戦術の選択

日本には四季があり、自然が豊かです。

また、各自治体により大きく消防力が異なります。
消防力が大きければさまざまな選択肢を選ぶことができますが、少ない消防力の地域は優先順位をつけて戦術を実行しなければいけません。

どこかの真似事ではなく「自身の所属の火災戦術を作る、普及する」必要があります。
そのお手伝いをするのが消防戦術探究会です。

四季の影響

土地の影響

日本は平野が多い地域もあれば海に接する地域、山岳地域、都市部、工業地帯などバリエーションに飛んでいます。
地域により消防力も大きく異なるため「各地域に合わせた戦術の構築」が重要になります。

街並み

街並みも地域により大きく異なります。
極端な例では沖縄県の一般住宅は「鉄筋コンクリート造」が一般的です。
逆に昔の街並みが残っているところでは「木造住宅」が一般的になります。

当然木造と鉄骨では取る戦術に異なります。
戦術は選択肢の一つであり、できるできないを卑下したり自慢したりするものではありません。

火災の話を例に出しましたが救助も同じです。
各自治体の事情を踏まえた戦術を真剣に考えて構築し、市民の利益につながる消防力を整えましょう。

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プランごとの違い

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