老化とは〜最新研究から〜

テキスト

老化とは〜最新研究から〜
目次
表皮幹細胞とは
ターンオーバーのプロセス
表皮幹細胞と自然老化の関係
老化への対策と研究動向
基底膜と表皮幹細胞の関係
基底膜とは
基底膜の主な役割として
最新研究
まとめ
表皮幹細胞とは
表皮幹細胞は、皮膚の基底層に存在する特殊な表皮細胞です。

基底層において新しい表皮細胞を生み出し、皮膚のターンオーバー(細胞の生まれ変わりプロセス)を支えていきます。

ターンオーバーのプロセス
表皮の細胞はターンオーバーを通じて常に一定数が脱離し、新しい細胞が生み出されていきます。

表皮幹細胞は新しい表皮細胞を生み出す唯一の細胞であり、これが表皮幹細胞の重要な役割を果たします。

表皮幹細胞と自然老化の関係
ところが、表皮幹細胞の増殖力は加齢とともに低下し、ターンオーバーの速度が減少していってしまいます。

これがシワやバリア機能の低下、極度の乾燥などの肌の自然老化を引き起こしていきます。

加齢に伴う表皮幹細胞の増殖性の低下は、肌の老化の本質であり、テロメア長の短縮に主に引き起こされます。

老化への対策と研究動向
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現在、さまざまな大学病院、研究機関は表皮幹細胞の増殖活性を高めて自然老化に対処する方法を研究しています。

表皮幹細胞の増殖性を高める成分を見つけることが、老化の進行を遅らせる可能性があるのです。

基底膜と表皮幹細胞の関係
このように表皮幹細胞が自然老化と密接に関係していることが皆さんにもお分かり頂けたのではないかと思います。

そして表皮幹細胞の増殖性を高めることができれば、自然老化の進行を遅らせることが可能です。
それではどのような方法で表皮幹細胞の増殖性を高めることができるのでしょうか?

その鍵を握る新たなポイントとして、基底膜について次に解説します。

基底膜とは
基底膜とは表皮と真皮の境界に存在する膜です。基底膜は表皮と真皮の境界に存在し、表皮幹細胞の存在量や増殖活性に影響を与えます。

基底膜の主な役割として
1.表皮と真皮を繋ぎ止める

2.表皮と真皮の間で物質の移動を制御する

3.表皮や真皮の細胞をコントロールする

表皮と真皮を物理的に隔てる膜として、これらの層間の結合や物質移動に関与しています。

表皮幹細胞と基底膜は接触しているため、基底膜は表皮幹細胞の存在量や増殖活性と密接に関係しているのです。
何らかの影響があると考えてもおかしくはありません。

最新研究
資生堂はこの表皮幹細胞について研究発表を行っており、ご紹介させてください。
資生堂はマサチューセッツ総合病院皮膚科学研究所(CBRC)との共同研究によって、表皮幹細胞の老化に関わる本質的な原因を発表しています。
表皮幹細胞に存在するYBX1と呼ばれるタンパク質がリン酸化を受けることで、表皮幹細胞の老化が進行することが明らかとなっています。
以下の図を見てください。

画像
資生堂


加齢や光老化の進行によって、右側の図はリン酸化されたYBX1(赤色)の量が増加することが確認されています。そしてこのYBX1のリン酸化は、表皮幹細胞の減少と関連していることも確認されています。

画像
資生堂より
このYBX1のリン酸化を抑えると、表皮幹細胞の減少が抑えられることが明らかとなっています。
つまり、薬剤でリン酸化を抑えられれば老化が抑制さえるということなのです。

リン酸化が進むとこの表皮幹細胞はどんどん老化していき取り返しのつかないことになります。一度老化した細胞はSASPとう物質を周囲に撒き散らし、正常な細胞の老化まで促進することが明らかとなっているのです。

老化細胞が周囲の正常細胞まで老化させていき、連鎖的に細胞が老化していくのです。このことから老化細胞は『ゾンビ細胞』とも呼ばれています。

画像
Natureasiaより引用
いまのところ老化細胞を除去する方法はないのでしょうか。

実は2015年にKirkland大学のチームは初の老化細胞除去薬をいくつか特定していました。その1つが、FDAがすでに承認していた抗がん剤「ダサチニブ」で、老化したヒト脂肪前駆細胞を除去することが証明されています。

また、植物由来の健康食品サプリメントのケルセチンは、老化したヒト内皮細胞を他の細胞型の中から選択的に標的とする。この2つを併用すると、別々に用いるよりも効果が上がり、マウスでさまざまな加齢関連疾患の症状を軽減しています。

残念ながら、ダサチニブは抗がん剤なので、通常は手に入りませんが、ケルセチンはバナナや玉ねぎに多く入っており、気軽に摂取することが可能です。
当院の患者さまには積極的に処方していますよね。。

まとめ
このような研究結果が徐々に明らかとなり老化細胞のよく絵師が化粧品や美容医療に応用できれば、表皮幹細胞の増殖性を高めて肌の自然老化を強力に遅らせることが近い将来可能だと思います。


近年でもさまざまな物質がこの老化細胞を抑制することがわかっており、最新研究をこのコラムでも配信していきます。

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