妻子持ち不倫男は、夜明けの街でを読んだことがない

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妻子持ち不倫男は、夜明けの街でを読んだことがない

本の話をしよう。東野圭吾さんの訃報をニュースで見て、ふいに夜明けの街でを読みたくなった。本当は小松左京さんの「果てしなき流れの果てに」を読もうと思っていたのに、割り込んで読んだ。空いている時間を使って、3日かけて読んだ。夜明けの街でを読むのは5回目になる。東野作品をすべて読んでいるわけではない。なんなら、読んだ作品数は少ないのかもしれない。そんな僕だが、この夜明けの街でが東野作品の中で最も好きだ。この先、新たに東野作品を沢山読んだとしても、きっとこの作品が一番好きなのではないかと思っている。まぁ、まだ確証はないのだけれど。


理由は、ずるくて弱い、嘘つきな主人公が出てくるから(笑) あと、物書きの自力の強さを感じるから。


不倫がテーマのこの作品。ミステリー要素は、どうなのだろう、薄いと言えば薄いのかな? ミステリーをガッツリ読んでいるわけではないので、そのあたりのことは分からない。事件の真相はすぐにわかった。小説を2/3くらい読めば、真相がどういうものだったのかはすぐにわかると思う。「結構読んてるじゃん」と思うそこのあなた(笑) この小説のミステリーというか、事件の部分は大分と散りばめられている。事件の大枠が判明するのが第1章の終盤で、事件の全体像が見えてくるのが中盤くらいだ。基本は、不倫がバレるかバレないかみたいな部分で進行し、主人公の男がだんだんと沼にハマり、最後にどんでん返しが待っている。ちなみに、事件の真相がわかったとしてもどんでん返しはやってくると思う。正確に言えば、どんでん返しというよりも「なんだそれは?」というヌメッとした感じが襲ってくる。


この小説が好きな理由は、場持ちが良いからだ。文章や描写の自力がすごいと思う。野暮な話かもしれないが、不倫がバレるかバレないかなんて、どうせ終盤までバレないか、最後までバレないと予想出来てしまう。バレればそこで物語が終わってしまうからだ。また、こいつが犯人だろうってな部分は、どうせ後で裏切られるか、それ以上に驚きの動機なりトリックなりがあると勘繰ることが出来る。現代における推理小説は、この辺りが非常に難しいと思う。読んでいるということは、先を予想しやすくなるということで、トリックや設定がこの世界に溢れれば溢れるほど、パターンをイメージしやすくなる。


初めて夜明けの街でを初めて読んだとき、「どうせこういうパターンだろう」がいくつも浮かんだ。でも、この本の底力はそれらをたやすく凌駕していった。

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