オフ会レポート【ゲスト:田原総一郎】

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オフ会レポート【ゲスト:田原総一郎】
猪瀬直樹のオンラインサロン「近現代を読む」では、様々な年代層が猪瀬直樹の元に集い、意見交換などを通じて日本社会を「読む」視点を学んでいます。サロンでは、オンライン上の交流だけでなくオフ会も開催されます。
 著作集「日本の近代」(全16巻、小学館)で日本の近代を問い続けた作家・猪瀬直樹だからこそ、その視点から現代政治に思想が欠如していることを見抜きます。そして、その衰えない好奇心によって行動することをやめない猪瀬直樹はこのオンラインサロンで発信するだけでなく、自らも多様な学びを得ようとしています。参加者同士も、オンラインとオフラインを往復しながら、新たな出会いを得て関係を深めています。
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 以下、7月9日、西麻布の猪瀬直樹事務所で開催されたオフ会のトークをお届けします。
 今回のオフ会では、ゲストに田原総一郎さんをお迎えして、お二人が6月30日に共著で出版した『平成の重大事件』(朝日新書)の話や最新の時事問題について、サロンでしか聞けない本音トークが繰り広げられました。

小選挙区制が生み出したもの


猪瀬
 さっきの話に戻りますが、自民党は意思決定できない状態になっている一方で、安倍政権が支持率が高いのは民主党政権の体験しかないからではないからではないかな、と。

田原
 猪瀬さんと本を出したときにね、朝日の本の担当者と、ある出版社の担当者に会った。それで、その朝日の担当者に何歳か聞いたら27歳だという。彼らは政治に初めて興味をもったときが民主党政権のときだった。民主党政権は非常に評判は悪い。で、彼らが知っている最初の自民党政権は安倍政権。


猪瀬
 若い人に自民党支持が多いというのは、民主党政権しか知らないからなんだよね。鳩山が出てきて、それで菅直人が出てきたら、菅直人が悪いわけではないけど東日本大震災で原発事故でしょ。


田原
 三年間で三人変わっている。安倍内閣は五年間。選挙は全部勝っていて、安定している。


猪瀬
 民主党政権は、実際、地方分権委員会の答申も無視したし、僕が道路公団民営化を必死にやってうまくいったのに、高速道路無料化なんていいだした。無料化したら国道になってしまうわけだから、ぜんぶ社会主義だよね。税金で負担するわけだから。
 それで、鳩山さんは普天間基地は県外とかいってしまって…。


田原
 あれはね、一つの理想。鳩山は東アジア共同体構想といいだした。東アジア共同体構想というのは、常時駐留なき安保。アメリカ軍には撤退してもらって日本が必要なときにくる、と。だから鳩山は少なくとも県外、ほんとうはグアムだと。
 当時、岡田ってのが外務大臣だった。岡田は辺野古なんですよ。自民党のときから外務省は辺野古ですからね。でも鳩山は最低でも県外だといっている。あのときに僕はいったほうがいいんじゃないか、と。そしたら、「いいました。総理大臣は、君らには君らの考えがあるんだろうけど、俺の俺の考えがある。任せとけ」と。総理に任せとけといわれたら外務大臣としてはそうですかというしかない。それで失敗した。

猪瀬
 小選挙区制が政権交代を可能にする選挙区制だというけど、その最初の事例が民主党政権になってしまったものだから、政権交代してよくなかったというわけで。それで、最初に田原さんがいったように、野党って立憲民主党の枝野さんみたいな社会党が3分の1で、3分の2が公明党を入れて自民党で安定政権だった。そのなかで派閥抗争というか色々な考えがあって、内部の政権交代があった。
 小選挙区制で民主党政権になったけど、枝野の社会党みたいなのしか残っていないわけで、内部の政権交代もなくなってしまった。

田原
 それでもっとひどいのは、石破がダメだという意見が強いわけだけど、石破がダメなわけじゃないの。自民党の議員はみんな安倍イエスマン。怖くて石破支持なんて言えない。
 この前の総裁選のときに、野田聖子が立候補しようとした。僕はそのときに野田に頑張れといった。野田は一時は25人集めた。ところが執行部が野田の応援なんてしたら公認しないぞ、と脅して18人になり立候補できなかった。この間、野田聖子に『中央公論』でインタビューをした。今度出る『中央公論』を読んで欲しい。小泉進次郎がやっていますからね。で、来月出る『中央公論』で野田にインタビューして、「この間の総裁選であなたは25人集めたけど、執行部から脅かされてみんな逃げてしまったという情報がありますけど、これは事実ですかね」と聞いたら「事実です」と。そういうことです。

理念なき経済リベラルだけの日本政治


猪瀬
 それで、安倍政権はずっと長期政権を狙ってやってきたわけだから、ここで憲法改正をやるのかどうかという話だよね。やる気があるか。


田原
 ない。というのは、やるなら9月の総裁選の前にやらないとダメなんだよ。できない。で、来年は参議院選でしょ。参議院でどう勝つか必死になる。でも、僕は参議院選で自民党は議席を減らすと思う。第一党にはなるけど、三分の二はとれない。

猪瀬
 平和主義と自衛隊のリアリズムをどう結びつける話なのに、どうにもならない。


田原
 野党がもうちょっと強くないと面白くない。


猪瀬
 それと、もうひとつは自民党がリベラルなんだよね。小泉さんは保守というか共和主義。


田原
 そこで、解説をすると、アメリカもヨーロッパも二大政党なの。経済でね、片方は保守で、片方はリベラル。アメリカでいうと、共和党は保守で民主党がリベラル。
 保守はなにかというと、自由競争で、政府はあまり社会のことに介入しない小さな政府。自由競争で小さな政府というと、競争が激しくなって格差が大きくなって負けが多くなる。で、次の選挙でリベラルが勝つ。すると、民主党が格差を少なくする規制を設ける。負けた人間を救うために福祉、社会保障をガンガン入れる。社会保障を入れると財政が悪化する。規制も入れるから経済もイマイチになる。そしたら次の選挙で保守になる。
 だいたい、アメリカでもヨーロッパでも保守がいいかリベラルがいいかではなくて、代わりばんこなの。日本では、自民党は保守というけど、経済はリベラルなの。だから一千百兆も借金がある。
 で、もっと面白いのは、民主党のときに財政が悪化して野田っていう3人目が消費税を10%にするといった。そこで選挙に負けた。安倍は8%にしなかった。バラマキだからね。このあいだの選挙で消費税を2%あげるといったら、10%といっていた連中がみんな反対というわけね。野党が。
 無茶苦茶だよ。


猪瀬
 理念がないからね。自民党がリベラルで大きな政府だから。


田原
 野党も全部リベラル。


猪瀬
 大きな政府と大きな政府でやると理念の争いにならない。しかも、自民党の方がウィングが広い。そのなかに民主党はすっぽり埋まってしまう。結局対立軸にならない。


田原
 第二次安倍内閣で、僕は安倍さんに消費税10%にしろっていったの。そしたら安倍さんはそんなことしたら選挙に負けちゃう、と。
 この後、質疑応答が続き、会場を移してオフィスからほど近い中華料理屋で懇親会が行われました。
  
 猪瀬直樹と一緒に「近現代を読み」たいという方はぜひ入会してください。


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