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Hiromi’s Pick <1>
冷涼で急斜面なぶどう畑のパッションに燃えたリースリング


<ソムリエプロフィール>
木山ヒロミ/Hiromi Kiyama
CEO / DH Dumont

<ワイン情報>
生産者 : Konstantin Weiser & Alexandra Künstler / コンスタンティン・ヴァイザー & アレクザンドラ ・クンツラー
ワイン名 : Weiser-Künstler / ヴァイザー=クンツラー
葡萄品種 : Riesling / リースリング 
ワインタイプ : 白ワイン
生産国 :Germany / ドイツ 
生産地 :Mosel / モーゼル
地区 : Traben-Trarbach / トラーベン=トラーバッハ
ヴィンテージ : 2018
インポーター : ラシーヌ
参考小売価格 : 2500円


 初回はゴシック体のエチケットでお馴染みのドイツにお連れしましょう。
ラベルに長い産地名や畑名が書かれている印象で、買う人、飲む人を楽しませてくれるドイツの独特な細長いボトルだが、それはドイツにおける強固なワインメーキングの伝統にも通じている。 ドイツワインのヒストリーは、紀元前100年頃の古代ローマ時代から始まっている。この地がローマ軍に征服され、ヴィティス・ヴィニフェラ種が持ち込まれ、栽培が始まった。 中世の時代を経て、ブドウ畑の開墾は修道院によって押し進められた。ちょっと近づきにくく、なかなか上手く発音しにくいラベルのEizellagen(畑名)の命名法も修道院に強く影響を受けている。 1804年に制定されたナポレオン・コードによって、修道院の深く関わったブドウ畑は分断され、全てのブドウ畑が宗教と切り離された。その後、1870年代からおよそ20年間、フィロキセラ(ブドウの大敵であるアブラムシの一種)と戦う長い年月が過ぎ、回復後、1960年代までには3万というブドウ畑の数となり、1971年に畑名の総合整理を目的としたワイン法が定められた。繊細な造り手の独特なスタイルが強調されるドイツワインにはこのような歴史的背景があり、その中でもモーゼル地方とライン地方の河川の周辺は、世界で最も素晴らしいリースリングの産地として名声を高めた。


 アレクサンドラ・クンツラーとコンスタンティン・ヴァイザーは、共に南ドイツ出身で、モーゼルで出会う。二人は2005年に、冷涼なモーゼルのど真ん中に、急斜面の小さなブドウ畑をスタートさせた。自根(接ぎ木されていない樹齢の高い純木)のリースリングは主に、Traben-Trarbachと、Enkirchというスレート地帯(粘板岩)の急斜面に位置する。所有している3カ所のブドウ畑は全て、1897年の公式な格付けで高いランクに位置していた。コンスタンティンはラインガウのLeitzをはじめ、様々な生産者達と働く中で学びを得ていった。「私たちの哲学はワインメーキングではない、ブドウがワインに変わるプロセスを通し、テロワールを表現する事が私たちの願いである。手仕事を大切にして、自根のブドウの持っているユニークなキャラクターのポテンシャルを尊重するのが信念である」とコンスタンティンは語る。


 リリースされるワインは彼らの情熱、パーソナリティがそのまま丁寧に表現され、全て素晴らしい。それらはピュアで、ミネラルも多く含まれ、甘みは初夏の熟れ始めた白桃のようで、香りもとてもよく、酸味も高く、様々な料理に合わせやすい。脂の乗ったハマチや甲殻類のお刺身とは特に相性がいいが、寒い季節なら、冷やしたリースリングでも、茶碗蒸しや、あんこう鍋の様なお料理に合わせてもグラスが進む。このスタイルのワインは和食以外でも思い切って、鴨のリエット(ラードで固めた鴨肉)、アンティパストミスト、フライドチキン、点心でも、ペアリング力は幅広く発揮できるから嬉しい。



<ソムリエプロフィール>
木山ヒロミ/Hiromi Kiyama
CEO / DH Dumont



1975年、大阪生まれ。1995年、渡米。
ニューヨークNobu Restaurantで11年勤務。20代の後半からワインの独学を始め、マスターソムリエ/酒サムライのRoger Dagorn氏と出会い、ソムリエになる事を決断する。
その後、ニューヨークで数々のミシュラ ンフレンチレストラン、日本食レストラン、ホテルで勤 務。2014年の出産後、育児初期はパートタイムでソムリエ や、コンサルタント業をしながらヨガ講師を目指していたが、奇才のCesar Ramirez(Chef’s table at Brooklynfare)に出会い、世界で最も予約困難な三つ星店で勤務。再び、ソムリエに戻るチャンスを得る。
2019年9月、日本へ帰国。夫とDH Dumontを設立。
<DH Dumont>
2020年春、大阪にオープン予定のビンテージウイスキーとワインの1号店。


ニューヨークでの職歴:
Nobu NYC、Adour by Alain Ducasse、Corton、15East、Tocqueville/Union Square Hyatt、Public Restaurant、Chef’s table at Brooklyn Fare


アメリカでのコンクールと経歴:
Sommelier Competition&Achievements: 
The Sommelier World Cup “USA VS South Africa” : 7th finalist 2010
USA Sud de France Sommelier Competition: 2nd runner up 2010
Ruinart Challenge Competition-Court of Master Sommeliers in NYC: 1st runner up 2011 Sochu Competition USA: Semi Finalist 2011
American Sommelier Association: Viti Vini/Blind Tasting
Court of Master Sommelier: Certified
Wines of Portugal ‘Academia do Vinho’ Level 3-Advanced course 
SSI international Kikisake-Shi


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