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61物理の神62Ｒ大はまだまだ続く63Ｒ大終了64Ｈ大を2つ

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61物理の神62Ｒ大はまだまだ続く63Ｒ大終了64Ｈ大を2つ
61話　物理の神
62話　Ｒ大はまだまだ続く
63話　Ｒ大終了
64話　Ｈ大を2つ


61話　物理の神

次の日は、塾の日だった。
イチローは塾へ行ったけど
でもそこには私がすがりたいイケメン先生はいない。
イケメン先生はもう一つの教室で授業の日で、
イチローの時間割は英語と化学の授業だった。
ええぇぇ・・・
「えいごとかがくぅ？　ここにきて　えいごとかがくぅ？」
私は愚痴愚痴言っていた。
イチローに
「ねえ向こうの教室へ行けば？　
英語と化学はキャンセルしてあげるから。
僕がいるほうの教室に来てくれたら
いつでも見ますって、
イケメン先生言ってくれてるよ！
ねぇ何で行かないの？」
ちょっとだけ説明しておこう。
イケメン先生はイチローがお世話になっている
個別指導塾の代表だ。
理系受験に必要な科目はすべて教えられるけど
基本、数学と物理を指導している。
受験のコーディネーターでもあるので、
教科ごとにより適した先生を
セレクトしてくれたりもする。
そして、それよりなにより、
物理のカリスマなのだ。
イチローたち塾生は、こっそり
予備校講師への敬称、神　を使って敬う。
その物理指導のロジックたるや素晴らしく、
なんと生徒を選ばない。
イチローは
「他大を受験する前提でも
付属大を滑り止めとして押さえておける」
というありがたい付属の併願推薦という権利を、
物理が原因で失った過去がある。
そう・・・その併願推薦に必要な
最後の最後の成績
高３の２学期の物理で　２　をとったのだ。
だいたい高２の一学期の定期テストで
９点をたたきだすほど
何にもわかっていない奴に、
高３で物理Ⅱをのっけてみたって、
そりゃ　評価２　になるよね。(-_＼)(/_-）　　
文転したほうがいいのか
母子で本当に悩んでいた。
（当時の付属の推薦制度には二つあり、もう一つに専願推薦があります。
入れてくれるなら絶対行きますからお願い！っていうやつです。
それは全教科ひっくるめての内申で判断となります。
なんとか物理の穴を社会で埋めてその資格はとれました。
イチローが推薦を蹴った、というのはそっちを指しています。）
そんなイチローの　
できなさウルトラ級　の物理を　数か月で人並みに、
半年ちょっとで難関大レベルに引き上げてくれた先生なのだ。
よっぽどみっちりやるんでしょ、って？
それが週一回二時間が基本。
老婆心むき出しの母が（私だよっ）
頼み込んで授業増やしてもらおうとしても、
「お勧めしません。」
みたいに交わされる。
夏休みのころには夏期講習気分で
やーっと授業回数を増やしてもらえたけど
そんなのってすっごくイレギュラー。
宿題どっさりなんでしょ、って？
老婆心むき出しの母が（だから私だよっ）
「ノルマの宿題をだしてください！」
ってすがるように頼んだら
「僕の前以外で問題を解いてほしくない。」
というセリフで宿題を出すのを断わられた。
（注　復習しといてね　とは言われます）
そう。イケメン先生は、
私がずーっと探してきた理想の先生。
「やまとなでしこ」の桜子ばりに
「理想の男性にやっと巡り会えたような気がする」
と、何度思ったことか。
先生、自慢こそしないけれど、言葉の端々にちらりと
自信がみなぎることがある。
例えばそれがこれだ
「物理は僕が教えたなら大丈夫」
僕が、だ、僕が、
生徒が一生懸命やればでも、
生徒にやる気があればでも、
生徒が課題をやればでもなく
ましてや　
生徒に素質があればなどでは決してなく
僕が教えたら、
なのだ。
私はこんなことを言う先生に初めて会った。
文転すべきかと悩み、
「偏差値３０の息子に物理のような難しい科目が
本当に解けるようになるのでしょうか？」
と思わず聞いてしまった私への答えがこれだった。
そんな話を聞いたって不安は残る。
だって素材が息子（偏差値３０）なんだから。
でもイチローの友達は結果を出しているという現実・・・。
私はダメでもともとと、
この先生に掛けてみることにした。
イケメン先生はそんなウザい心配をもろともせず
イチローの物理をしっかり引き上げてくれた。
そんなカリスマ先生なのだ。
こんがらがっている今のイチローの物理を見てもらい
ちょっとほどいてもらえば、１０点いや１５点、
明日の入試でとれるかもしれない。
英語なんか今更一回やったところで、
明日の試験で１点も増えなくても不思議はない。
ましてや化学なんか入試科目に無い！！
「えいごとかがくぅ？ここにきて　えいごとかがくぅ？　
それって今日やるべき科目？
浪人の関ヶ原で最善の選択ぅ？」
母の大声のつぶやきに　息子は耳を貸すことも無く
英語と化学の授業を受けに、塾へと出発していった。

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