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222マークずらし223国立をどこ224難関大対策225止まらない震え

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222マークずらし223国立をどこ224難関大対策225止まらない震え
222話 国公立をどこにするか悩む
224話 難関大対策よりMARCH対策をやりたい
224話 止まらない震え



22話 マークずらしたかも

センター試験2日目
私が家に帰ると、イチローはもう部屋にいた。
パソコンとケータイを駆使して
何やらやっている。
私は センターの解答が掲載されている新聞を取り出し、
「昨日の分の答えは持ってきたわよ。」
と声をかけた。
イチローはチラッとこっちを見て
「ああ、ありがとう。でも、もうこっちで見てるから大丈夫。」
そう言い終わらないうちに、目はパソコン画面へ戻る。
「あ、そ。」
私は静かに彼の部屋から出た。
「どうだった?」
「できた?難しかった?」
聞きたいことは山ほどあったけど、
我慢だ我慢。 
嫌でもじきにわかることだ。
ひっきりなしにメールの着信音が流れる。
おそらくマサヒロとやり取りをしているのだろう。
二浪生の交際範囲は狭い。
マサヒロはいつもウチより順調だ。
国公立狙いなので夏ころからずっと
センター対策だってやってきた。
「そんな子とやりとりして落ち込まないかな。」
私は得点よりもそっちの心理状態を心配した。
もうセンターは終わってしまったのだから
落ち込むだけ無駄だ。
ウチの本命、私大受験はこれからだ。
もう今日にもラストスパートをかけて欲しい。
変なブレーキをかけてもらっては困るのだ。
センターのできはまあ想定通り。
つまりよくはない。
特に数ⅠAでやっちゃったようだ。
数ⅠAは易化したらしいけど、相変わらず計算ミス。
図形の問題でミスしていることに気づき、
そこをやり直していたら時間が足りなくなっって
最後の方がとんでもないことになったらしい。
「数ⅠAも数ⅡBも7割は確実に超える感じだったのにな~。」
とちょっと残念そうに語る。
ミスはセンター受験生の多くの子がしていて、
きっと同じように悔やんでいるところだろう。
イチローは言う。
「数学をミスするのは僕の場合、
よくあることだけど
心配なのは平均点だよな。
問題が簡単だったらしいから、
これで平均点が高いとなると・・・。」
・・・確かにしょぼくれた結果になるね。
まあ、センターは
滑り止めや、その滑り止めに、と出願した大学が
なんとか取れていたら、目標達成なんだけど。
あわよくばそれなりの得点をひっさげ
国公立にもチャレンジしたいところだが
まあ、それはそれだ。
滑り止めとしては、いくつか出願しており、
センターの科目も、いろいろなもので
合否判定してらえるように考えたので
「どこかしらには・・・」
と、思うのだがこればっかりは
合格通知を手にするまではわからない。
現役の時に
去年の基準や、秋頃発表されたボーダーは軽くクリアしていたのに
ダメだったことがある。
センターが易化して平均点が上がると
今年の基準がポーンと跳ね上がることがあるのだ。
炒られるような気持ちで待つしかない。
同じ気持ちのイチローが
「全くさ合格発表が三週間以上も先、ってなんなのさ。
中学受験みたいに当日ネット発表してくれたらいいのに。」
「だよね。そしたら今頃、画面スクロールして
すっきりするのにね。」
私は中学受験の結果を
どうしても恐くて自分で見ることができずに
小6だったイチローにパソコン操作をさせて
確認させたことがある。
中学受験は不合格でも落ち込んでいる暇はなく、
翌日早朝からまた別の中学を受けに行かねばならない…。
あれもなかなか恐ろしいが、
根拠のない一喜一憂する時間が短いのは助かる。
模試の結果が出るのも、合否の判定も
大学受験は今の世の中に合っておらず、
受験料はべらぼうな割に無駄に遅すぎると
私もかねてから思っていた。
「あとさ・・・、地理・・・。
マークずらしたかもしれないんだ・・・。」
イチローが思いもよらぬことを口にした。
「ええ~。 」
今日一番の驚き~!
私は出目金顔を隠せない
「それってマジ 」
「もうさ、今更確かめようもないしさ、
・・・記憶にないんだよねぇ。」
確かに確かめようはないよね。
私はどういうことか分析するべく
精一杯落ち着いた声でこう聞いた。
「…なんで、ずらしたって思うのかな?」
イチローはカットに行く暇もなく
伸びきった髪をかきむしりながら
「答え合わせしてたらさ~、解いてない問題があるんだよね。」
と言った。
どっひや~。
そりゃそこから確実にずれてるだろ~
私は青ざめ、かける言葉が見つからなかった。
イチローはよくミスする子だが、
今までマークをずらしたことは
一度もなかったのに。
「でもさ、最後に解答欄が余ればおかしいな、
って思うから違うんじゃない?」
と私は言った。
「いや…。欄はいつもあまるんだよ。
問題数と解答用紙のマークする数がぴったり同じで
できてるわけじゃないの。
だからさ~、気にもしなかったんだよな。
あー、どうだったかな?」
イチローはしきりに首をひねるが思い出せないらしい。
えー。得点源の地理なのにぃ。
私は心の中で叫ぶ。
イチローが受けようかと思っている国公立は
センター地理を1.5倍換算にするのだ。
低すぎる点だと、もうどうにも埋めようがなくなる。
「ずらしたとしたら20点くらい下がるな。」
イチローはため息まじりでそう言った。
「あ。そのくらいで済む?」
私が思っていたよりも、
後ろの方の問題で起こったことのようだった。
もっとひどくなるかと思っていたので少しだけ救われる。
とにかく。
起きたことは仕方がない。
「じゃあさ、もう仕方ないから その20点下の得点で計算して、
これからの作戦を立てるしかないんじゃない?」
というと、イチローは
「えー、嫌だな。困るよ。」
嫌って言ったって
「得点が増える分には構わないけど、
その逆はもっと困るでしょ。」
20点は無いもの
そう考えて受験計画が立てられるほど
確かにイチローのセンターに余裕はなかった。

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