Web小説の書き方|うじうじしない主人公の葛藤の描き方
テキスト
- 内容
- ライブラリ
この記事はプロのラノベ作家が監修しています。
Q主人公の「葛藤」の描き方について質問です。
小説では、キャラクターに葛藤があると人間味が出て、読者も感情移入しやすくなると言われます。
ただ、私は「葛藤」というものを、いまひとつ具体的に理解できていません。
主人公が何かについて長く悩んでいると、読者から「いつまでも悩んでいて行動しない」「うじうじしている」と思われてしまうこともあると思います。
では、物語を面白くする「葛藤」と、読者にストレスを与えてしまう「うじうじした状態」は、何が違うのでしょうか?
例えば、
「魔法を使えないために故郷を追われた主人公が、実は剣士として特別な才能を持っていることに気づき、魔法使いが絶対的な地位を持つ世界で成り上がっていく」
という作品を考えたとします。
このような主人公に葛藤を持たせる場合、どんな夢や悩みを設定し、どのように描けば、読者から「うじうじしている」と思われず、むしろ応援したくなる主人公にできるのでしょうか?
そもそも物語における「葛藤」とは何なのかも含めて、教えていただきたいです。
A.まず「葛藤とは何か」という点からお答えします。葛藤とは、主人公に叶えたい夢や願いがあるのに、ある要素がそれを邪魔していて、すぐには叶えられない状況にいることを指します。
単純な「悩み」というより、「叶えたいものがある」+「それを阻む何かがある」という二つの要素が揃った状態、と捉えると分かりやすいかと思います。
シンデレラが非常に分かりやすい例です。
シンデレラの葛藤は、「私もお城の舞踏会に行きたい。なのに意地悪な義母と義姉に邪魔をされ、ドレスまで奪われてしまい、舞踏会に行くという夢が叶えられない状況にいる」というものです。
ここで重要なのが、ご質問の核心である「うじうじ」との違いです。
このときシンデレラは、「うじうじしている」のではなく、「どうしよう」という葛藤の中にいます。
この「どうしよう」は物語を面白くさせやすく、だからこそそこに魔法使いが現れると、読者も一気に盛り上がるわけです。
一方で「うじうじしている」とは、たとえば「お城に行けなくなったショックを受け、何も行動せず家の中でずっとぐちぐち言い続けているので、外にいる魔法使いにすら会えない」——このような状態を指します。
これは読者の反感を買うことが多いです。
つまり、両者を分けているのは「悩んでいるかどうか」ではなく、その悩みが行動へ向かっているかどうかです。
葛藤を描くことと、うじうじした主人公を書いてしまうことは、イコールではありません。
葛藤しながら動いている主人公は、むしろ読者を引っ張ります。
頂いた具体例、「魔法を使えないために故郷を追われた主人公が、実は剣士として特別な才能を持っていることに気づき、魔法使いが絶対的な地位を持つ世界で成り上がっていく」——漫画『ブラッククローバー』のような設定ですが、ここで葛藤を作る場合、まず主人公の夢が何なのかを設定する必要があります。
たとえば、「将来は父のような立派な魔法使いになりたい」+「父は国王であり『○○○』と呼ばれる最強の魔法使い」という設定を入れるとします。
すると、「父のような魔法使いになりたいと思っていたのに、魔力がゼロで魔法使いになれないと分かってしまった」、さらに「しかも魔力がないせいで国から追放されてしまった」——これが『叶えたい夢があるのに、ある要素が邪魔をして、すぐには叶えられない状況』にあたります。
そして、「自分は父のようにはなれないと分かった。幼い頃からの夢は捨てるしかないのか。自分はいったいどうやって生きていけばいいんだ」——これが葛藤にあたります。
その上で、魔法使いになれなくとも、剣の力でのし上がれば『○○○』になるという夢は叶えられるのではないか、と考えてそれを目指す話であれば、盛り上がる形になるかと思います。
さらに踏み込むなら、たとえば「ある最強の剣は、触れた者の魔力を一瞬でゼロにしてしまう呪いの剣で、魔法使いには扱えない。しかし元々魔力ゼロの主人公が握っても何のデメリットもなく、それで攻撃すれば敵の魔法使いの魔力を一瞬で奪える最強の武器になる」——といった設定を入れると、欠点がそのまま長所に反転するという盛り上がりまで作れるかもしれません。
整理すると、うじうじ感を出さずに葛藤を描くコツは、
「夢を明確に設定する」
「それを阻む要素を明確にする」
「主人公が『どうしよう』と考えた末に動き出すところまでをワンセットで書く」
——この3点に尽きるかと思います。
立ち止まっている時間の長さではなく、立ち止まった先に行動があるかどうかが、読者の印象を分けます。
公開日:2026年10月7日
自分の作品をもっと面白くしたい方へ
エンタメノベルラボでは、プロ作家による小説講座、作品批評、企画相談、人気作品の分析、創作相談などを定期的に行っています。
「自分の作品をどう直せば、もっと面白くなるのか知りたい」
「Web小説の書籍化や新人賞受賞を目指したい」
という方は、ぜひエンタメノベルラボをご活用ください。
書籍化・コミカライズ・新人賞受賞など、実績者は30名以上です。
▶エンタメノベルラボの詳細・入会はこちら
フォローしたサロンの情報を、ご登録のメールアドレスにお届けします。
サロンをフォローする
-
物語の書き方。ストーリーの本質とは「変化」と「納得感」である
この記事の作者はプロのラノベ作家です。 Q.タイトルが意外性と説得力だとしたら、ストーリー…
テキスト
-
Web小説で最もウケる無双は、【格上を倒す】こと
この記事の作者はプロのラノベ作家です。 Q.最近、最もウケる無双は、【格上を倒す】ことだと…
テキスト
-
ラノベのセリフの書き方のコツ6つ。プロ作家がお答えします
この記事の作者はプロのラノベ作家です。 Q.ライトノベルのセリフのコツは以下の6つだと考え…
テキスト
-
コミカライズ原作賞を受賞。エンタメノベルラボメンバーのインタビュー
2024年3月6日、エンタメノベルラボでWeb小説コンテストのコミカライズ原作賞を受賞され…
テキスト
-
感覚派、理論派の作家はそれぞれ何を努力すると結果につながる?
この記事の作者はプロのラノベ作家です。 Q.感覚派、理論派の作家はそれぞれ何を努力すると結…
テキスト
-
ラノベで読者を感動させる方法とは?
この記事の作者はプロのラノベ作家です。 Q.読者を感動させる方法について。 ラノベ新人賞受…
テキスト
-
ラノベヒロインを魅力的にする2大要素。「善人」「主人公が好き過ぎる」
この記事の作者はプロのラノベ作家です。 Q、最近のラノベを読んでいて感じるのが、ヒロインの…
テキスト
-
小説の書き方。自作が面白いと自信を持てて読者からも評価されるには?
この記事の作者はプロのラノベ作家です。 Q.書いた作品が自信作だとボロボロな評価となり、自…
テキスト
-
コメディをやるためのキャラクター構築理論
プロのライトノベル作家によるキャラクター構築理論です。 キャラクターとは3つのレイヤーから…
テキスト
-
キャラ立てに役立つ心理学・作家わかつきひかる先生の小説講座
作家わかつきひかる先生の小説講座 わかつきひかる先生は、ラノベや時代小説、官能小説など幅広…
動画
-
Web小説コンテストを受賞。エンタメノベルラボメンバーのインタビュー
2024年1月31日、エンタメノベルラボでWeb小説コンテストを受賞されたメンバーが現れた…
テキスト
-
ミステリー小説のトリックをどうやって考えますか?講師、梶永正史先生
このミス大賞受賞作家:梶永正史先生による講座 プロのミステリー作家、梶永正史先生が、作家志…
動画
-
「ゾンビものを書こう!」作家わかつきひかる先生の小説講座
作家わかつきひかる先生の小説講座 わかつきひかる先生は、ラノベや時代小説、官能小説など幅広…
動画
-
「ログラインをから作るヒーロー物」作家わかつきひかる先生の小説講座
作家わかつきひかる先生の小説講座 わかつきひかる先生は、ラノベや時代小説、官能小説など幅広…
動画
-
魅力的キャラクターの作り方講座。重要な3つのポイント
ゲームシナリオライターの方によるキャラクターの作り方講座です。 ライトノベルにも応用できる…
動画
-
創作で自分の小説がおもしろくないと感じた時は、成長している時
この記事の作者はプロのラノベ作家です。 自分の小説がおもしろくないと感じた時は、成長してい…
テキスト
-
小説のプロローグの書き方。冒頭の重要なポイントとは?
この記事の作者はプロのラノベ作家です。 プロローグに限った話ではないのですが、小説における…
テキスト
-
小説プロットがおもしろいかの判断はどこを見れば良い?講師、梶永正史先生
このミス大賞受賞作家:梶永正史先生による講座 プロのミステリー作家、梶永正史先生が、作家志…
動画
-
小説のテーマとは何か?物語のテーマの決め方とは?
この記事の作者はプロのラノベ作家です。 物語のテーマとは何か?物語のテーマとは、乱暴に例え…
テキスト
-
キャラクターを立たせるために効果的な設定「矛盾した職業」
この記事の作者はプロのラノベ作家です。 キャラクターを立たせるために手っ取り早いのは、「矛…
テキスト
オンラインサロン情報
小説オンラインサロン【エンタメノベルラボ】書籍化・新人賞を目指す
サロン紹介
- 運営ツール
- DMMオンラインサロン専用コミュニティ