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拝啓　　ボージョレさん＜１＞ by 藤浦旅子

＜ソムリエプロフィール＞
藤浦 旅子　/ Ryoko Fujiura
福藤商店Owner

＜ワイン情報＞
生産者： Albert Bichot /　アルベール・ビショー
ワイン名：Beaujolais nouveau /　ボジョレ・ヌーボー
葡萄品種：Gamay / ガメイ
ワインタイプ：赤ワイン
生産国：フランス
生産地：Bourgogne, Beaujolais /　ブルゴーニュ地方ボジョレー地区
ヴィンテージ：2019
インポーター：メルシャン株式会社
参考小売価格：オープン価格（¥2300前後）
 

 はじめまして！
「噛めば噛むほど日本の文化」福藤商店の藤浦旅子と申します。
　日本文化を日本人にこそ知ってもらいたいと活動しています。

さて、ボジョレ・ヌーボーを「好き」と口にするのになんだか勇気がいるのはなぜなのでしょう。堂々と言い放ってほしいとわたくしは思います。だって、誇らしい。日本のお料理に合わせやすいだけでなく、日本人の精神文化と繋がるような気がするのですもの。
 
＊＊
 
近年、若返り効果として耳にする「抗酸化作用」。老化も酸化が原因の一つなのですね。フランスではむか〜しむかし、できたワインはすぐに飲んだそうです。ワインはすぐに腐敗してしまうものだったのです。
当時腐敗の原因は醸造時の酸化（空気中の微生物の付着）とされ、それならばと、ボジョレの人々は当時ではまだ珍しかった、葡萄が酸素にふれることなくワインが出来上がる醸造法（カルボニック・マセレーション）に乗り出します。
まさしくボジョレ・ヌーボーのフレッシュさはここに起因していたのです。
ほとんど酸化していない、とれたてピチピチの葡萄そのままでワインになっているなんて、すごいですよね！
 
対して日本。
豊かな四季に恵まれている日本では古くから「旬のものを旬のうちにいただく」ことがまことの贅沢とされてきました。
日本料理においても、旬のものにはあれやこれやと調理しすぎない、という基本の心構えがあります。季節のものは大地のパワーをたっぷりと蓄えて一年で一番美味しい時期を迎えています。ですから旬のものを長く煮込んだり、味を強く付けたり、細かく切ってしまったりなどと旬の食材をこねくり回すことはありません。
調理はすれど素材そのもの自体の味わいが一番尊くて、有り難いのです。
 
ボジョレ・ヌーボーも旬ど真ん中の葡萄を、ほぼまるごと採れたての味わいのまま提供してくれています。
 
＊＊
 
さて、数あるヌーボーの中でもわたくしのおすすめは、採れたての葡萄に付着した天然酵母による発酵で、自然を素直にそのままぎゅっと閉じ込めたアルベール・ビショー社のボジョレ・ヌーボー。農薬も極力減らして栽培された葡萄です。
大手生産者ではありますが、ワイナリー訪問した際に素敵なお話をお伺いできました。「その土地にはその土地を熟知したスペシャリストがいる」というお考えです。
通常、大手となると一箇所の醸造場で工業的になりがちですが、
畑ごとにその土地の栽培家を雇い、醸造場を設けるのです。そのあたりは、浮世絵版画の版元のように“和紙なら福井のあの職人、彫師ならあの職人さん….”といったように日本の伝統産業の分業制にとても似ていて「餅は餅屋」的なやり方にはとても好感が持てました。
 
アルベールビショー社の手掛けるワインは手間をかけこそすれ、手をこねくり回すこと無く葡萄のピュアさを携えたワインばかりです。
 
先日は「今年は温暖な天候が続いた分、当社のボジョレ・ヌーボーの葡萄は果汁が凝縮した良い葡萄になった」と、満面の笑みでおっしゃっていました。
あの笑顔だけでも、収穫の喜び、大地への感謝がとても感じられました。
 
 
ああ、今年もアルベール・ビショーさんのボジョレ・ヌーボーが楽しみになっています♪
 
か　し　こ
＜ソムリエプロフィール＞
藤浦 旅子　/ Ryoko Fujiura
福藤商店Owner
 


「和食に10年近く関わる中でずっと思っていたのですが、
日本にいる人こそ、実は日本のこと知らなくありませんか？
知るだけ面白いのに、もったいないです。
こんなに面白いこと、わたしはもっと知りたい。」
普段見過ごしてきてしまった日本文化を気軽に再発見できる場を提供したく様々なコンテンツから切り込んで、イベントを仕掛けたり職人さんの取材をしたり、時にはbarを貸し切ったりと、屋号「福藤商店」として活動中のフリーランス。
現在（株）ROOTs社の、全国の体験を扱うふるさと納税サイト「さといこ」開発プロジェクトへ参画中。
現役国内旅行業務取扱責任者。小型一級船舶免許保持者の唎酒師。温泉ソムリエで魚河岸コンシュルジュ。漢字検定２級の日本ソムリエ協会認定ソムリエ。
FB: https://www.facebook.com/ryoko.fujiura


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