男性向けラノベの女性主人公に必要不可欠な3つの特徴とは?
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この記事の作者はプロのラノベ作家です。
Q.男性向けラノベの女性主人公には「無双」が必要不可欠ではないでしょうか?
ちょっと最近、分析したことがあって、プロ作家さんと答え合わせをしたいです。
男性向けの女性主人公、特にハイファンタジージャンルを書く場合、受賞、書籍化を狙う上で必要不可欠な要素があると考えています。
ずばり、単純に「無双」要素です。
女性主人公は、男性主人公以上に無双要素が重視されると考えています。
さらに詳しく分析すると、男性主人公では「無職転生」のような成長系の物語。主人公が努力してドンドン強くなっていくタイプの物語が人気なのですが、女性主人公の場合は、最初から最強系でないとウケないと見ています。
古くは「スレイヤーズ」、最近では「ギルます」「処刑少女」「ひきこまり」などが例です。
なろう系では、「サイレント・ウィッチ」「悪役令嬢レベル99~私は裏ボスですが魔王ではありません」などです。
なぜかというと、おそらく主人公のキャラを立たせるために、女の子なのに最強、というギャップが効かせられるからというのが一つ。
もう一つは、女性読者には男性以上に強い女性、というキャラ性がウケて、男性読者には無双がウケる。なので、男性、女性、両方にウケるキャラになって、ターゲット層がかなり大きくなるのだと考えています。
また物語の起伏を作る上でも、女性主人公にはストレスを与えやすいというのも利点かと考えています。
女性読者はストレス展開に強く、男性は自分を女性主人公に投影しないので、ストレスのダメージを受けにくいです。
また、最強系の美少女キャラは、賢い系にすると女性にウケて「薬屋のひとりごと」、天然ボケキャラにすると男性からのウケが良いと思います「ひきこまり」。
また、脇役ヒロインの場合は暴力を嫌う博愛主義者系でも良いですが、主人公にする場合は、男女、どちらをターゲットにする場合でも、暴力を振るうことに割とためらいがないタイプにした方がウケが良いと考えています。
これは博愛主義だと、主人公がいちいち罪悪感を覚えて無双の快感が得られにくいためだと考えています。
「薬屋のひとりごと」のマオマオは、思いっきり暴力を振るっています。
漫画ですが「フリーレン」も、暴力を振るうのにためらいがありません。
なので、男性向けの女性主人公を作るうえでは
①最初から作中でほぼ最強(成長系にはしない)
②男性にウケたいなら天然ボケ系。女性にウケたいなら賢い系
③暴力を振るうことに割とためらいがない(博愛主義者にすると、無双の快感から遠のく)
という感じにすると、良いかなと考えていますが、いかがでしょうか?
A.仰っていただいている①~③の考察は、ほぼ正しいと考えて間違いないと思います。
①~③について1つずつ扱っていきますが、
まず①に関して「女性主人公は最初から作中でほぼ最強」であった方がいいというのは間違いありません。(ただし、男性向け作品の女性主人公の場合です。)
具体的に言えば、最初は弱い女性主人公系作品も書けないことはないですが、最初からほぼ最強という設定があった方が圧倒的にキャラクターを立たせやすいです。
背景としては、「キャラクターはギャップがあった方が立たせやすい」というテクニックに由来します。
そしてこれはある種の"偏見"でもありますが、読者サイドには「女性キャラクターは普通は強くない」(=女性は補助役の立ち回りであることが多い)という認識があることが多いです。
そのため、男性キャラクターが最強なだけだと何のギャップもないのですが、女性キャラクターが最強であると、「女性なのに最初から最強なのは面白い」という、ある意味人間が持つ偏見を利用してのギャップが成立します。
フリーレンや薬屋のひとりごとといった作品が、キャラクターを立てるという意味でスタートダッシュで成功できている理由はこの点にあります。
誤解を恐れず言うと、薬屋のひとりごとの主人公がストーリーはそのままに性別だけ男性だった場合、「ただ薬の知識で無双する男」というギャップがあまりない造形になるので恐らくそこまで受けていない可能性が高いです。
ただし、気を付けなくてはいけないのは、これはその最強の女性が主人公であった場合です。
主人公は別の男性キャラで、その男性主人公の近くにいるバディ的な女性キャラがこの特徴を持っていた場合は前提条件が一気に変わるので上記の理論は全く使えなくなる点には注意してください。
②についても、ほぼ正しいです。
男性に受けたい最強女性主人公であれば、「最強だけど天然ボケな面があり、物理的攻撃力が尋常ではないが正直あまり賢さはない女性主人公」、
女性に受けたい最強女性主人公であれば、「最強な上に賢い雰囲気があって、他の男性キャラから言い寄られることがあるがそのアピールを無視するorそのアピールに気付かない女性主人公」、
というのが鉄板的であることが多いです。
(が、この区別に関してはそれほどはっきり分かれているわけではなく、ある程度重なっている部分があるので、絶対にどちらかに寄せなければいけないというものでもありません。)
③については、状況さえ選べばほぼ正しいと言えます。
逆に言うと、「いかなる状況であろうと暴力を振るうことに割とためらいがない最強女性主人公」にしてしまうと、暴力が有効である場面と有効ではない場面の区別をつけるだけの賢さがないという判定になってしまうため、場合によっては女性読者に敬遠されてしまうことがあり、注意できるとよいかもしれません。
特に一つ目安となる傾向として、最強女性主人公が暴力を振るう相手が「人間の男性キャラ」であるかどうかという点については意識できるとよいかもしれません。
人間の男性キャラへの暴力は、傾向として女性向け女性主人公の作品では許されるケースが多く、男性向け女性主人公の作品では少し敬遠されることが多いです。
その代わり男性向け女性主人公作品では、女性主人公の高すぎる攻撃力が人間以外の存在(モンスターや、壁や建物といった物質)に向けることが多いです。
また、女性主人公による人間の女性キャラへの暴力は、99%悪手になるので避けた方が無難です。
2024年4月7日に作成した記事
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