大ヒットする小説の条件とは「人の死」が入っていること
テキスト
- 内容
- ライブラリ
この記事の作者はプロのラノベ作家です。
Q.大ヒットする小説の条件とは「人の死」が入っていること?
最近、凡人転生というカクヨム発で売れているラノベを読んで分析しています。
この作品を読んで考えたのですが、以前、プロ作家さんが、大ヒットする作品の条件として「人の死」が入っていることと、おっしゃっていました。
凡人転生は、この「人の死」を非常にうまく扱っていると感じたのですが、「人の死」は、おそらく中盤のミッドポイントに配置するのが、もっとも効果的だと考えられるのですが、いかがでしょうか?
凡人転生の一巻で「人の死」が出てくるのは、ちょうど、本文全体の50%くらいです。
理由①
いわゆるダークファンタジーは、カクヨムやなろうでは人気が出にくいです。
この理由は、暗くて重いため。カクヨム読者ニーズの明るく楽しい気分になりたいに反します。
そのため、序盤においては、重い要素の筆頭である「人の死」は匂わせる程度にしておいて、しばらく出さないのが正解になると思います。
理由②
序盤は美味しさで釣って、ミッドポイント以降は、ログラインを変えるのが大ヒットラノベに共通している要素のように思えます。
「ギルマス」などだと、最初は「定時に帰りたい」が主人公の行動原理で、ミッドポイント以降は「なぜ冒険者ギルドの受付嬢になったのか?冒険者に死んで欲しくないから」になっています。
おそらく、いきなり重い要素を序盤に出すと、読者は引いてしまって失敗するけど、最初に美味しさで釣って、その後に、深くて感動する方向性に持っていくと、うまくいくんじゃないかと考えているのですが、いかがでしょうか?
A.媒体によります。また、何を物語全体と取るかによっても話が変わってきます。
例えば漫画について、『鬼滅の刃』は全23巻ですが、1巻の第1話から主人公の家族が虐殺され流血もありという描写が採用されており、その意味で鬼滅の刃は物語の中盤どころか冒頭オブ冒頭から人の死を容赦なく使って、作品としてのインパクトを取りに来ています。
一方で第1話のみを全体として見た場合は、主人公の家族が死んでいるのが発覚するのは第1話の中盤なので、その意味では「中盤に人の死が使われている」ということになります。
また媒体を変えweb小説、特にカクヨム等の媒体についてですが、頂いている通り「人の死」を冒頭に入れることは基本的にプラスポイントになりません。
これは単純に「1話の冒頭で人の死がすぐさま描かれるテンプレート」というものが今のカクヨムやなろうで流行っていないため、人の死を描いたところで「これ結局何のテンプレートなの?」となってしまい、評価が取りにくくなってしまいます。
こういった点をまとめると、以下のような媒体ごとの特徴があるのではないかと個人的に思います。
・新人賞系小説=途中から人の死を入れると効果的である場合が多い。「人の死」という要素が人間ドラマを引き立たせる効果を持つため、中盤以降にキャラクターたちのより深い部分を演出できるという部分で相性が良い。
・web系小説(男性向け)=人の死を無闇に入れるべきではない。「
人の死」要素が人間ドラマを引き立たせる効果を持つことが多いが、そもそもweb系小説は読者側のニーズとして「人間ドラマを見たい」というより「爽快感を味わいたい」というニーズが多いため、人の死とあまり相性がよくない。
が、過度のざまぁ系等においては、主人公やその仲間にひどい働きをした人間が、自業自得によって死を迎えるといった出し方は場合によって有効。
・web系小説(女性向け)=男性向けと比べて、人の死が有効的な要素として働く事が多い。
例えば、
死にそうな男性キャラクターがいる
↓
女性主人公の魔法能力によって男性キャラクターの障害が取り除かれる
↓
男性キャラクターが復活して女性キャラクターを溺愛し始める、等は、「人の死」をチラつかせながら話を盛り上げつつ溺愛構図を作る鉄板作法。
ただし、ただ戦闘などで無闇に人が死んでいくような形での出し方は御法度
・漫画系=作風にもよるが、中盤とは言わず序盤少し過ぎたあたりからとにかく人の死を入れていった方が良い(特にバトル漫画)。
誤解を恐れず言えば、人が死んだ数ほど作品が盛りあがるという考え方すら可能。鬼滅の刃、ハンターハンター、呪術廻戦等の作品において一体何人のキャラクターが死んだかを想像すると分かりやすい。
ラブコメ漫画等においても、「ヒロインのおばあちゃんが死んじゃった話」などを入れると盛り上がることが多い。人の死を出す事がどうしても難しい場合、流血を伴う大怪我等でも代用が可能。
2024年5月26日に作成した記事
エンタメノベルラボに入会するとより高度な情報が閲覧できます。
ぜひ入会してください!
-
物語のクライマックスを盛り上げるために必要な5つの要素
この記事は複数のプロが監修しています。 一つ具体例として桃太郎をあげてみたいと思います。 …
テキスト -
小説で魅力的なキャラクター作るための4つのコツ
この記事はプロのラノベ作家が監修しています。 Q.魅力的なキャラクター作りに関する質問です…
テキスト -
Webでウケる小説を書くために一番重要なコツとは何?
この記事はプロのラノベ作家が監修しています。 Q.Web系で、おもしろい小説を書くコツとは…
テキスト -
小説は作者の書きたいことを全面に出した方が人気が出る?
この記事はプロのラノベ作家が監修しています。 Q.最近のカクヨムやweb出身の小説を読んで…
テキスト -
Web小説コンテストを受賞。【エンタメノベルラボ】会員のインタビュー
2024年10月30日、エンタメノベルラボで、Web小説コンテストを受賞し書籍化が決まった…
テキスト -
ラノベ読者は主人公に自分を一体化させて読んでいる?
この記事はプロのラノベ作家が監修しています。 Q.ラノベ読者は主人公に自分を一体化させて読…
テキスト -
創作初心者でも簡単にできる70点以上の小説プロットを作る方法
この記事はプロのラノベ作家が監修しています。 Q.長編小説を書く時のプロットの作り方初めま…
テキスト -
「発想の飛ばし方を大喜利で覚えよう」作家わかつきひかる先生の小説講座
作家わかつきひかる先生の小説講座 わかつきひかる先生は、ラノベや時代小説、官能小説など幅広…
動画 -
ミステリー小説の新人賞で受賞しやすい作品とは?講師、梶永正史先生
このミス大賞受賞作家:梶永正史先生による講座 プロのミステリー作家、梶永正史先生が、作家志…
動画 -
小説のキャラクターの魅力とは4つの要素から成り立っている
この記事の作者はプロのラノベ作家です。 Q.キャラクターの魅力とは大きく分けて3つの要素か…
テキスト -
ラノベヒロインのキャラを魅力を立てるために必要なたった一つのコツ
この記事の作者はプロのラノベ作家です。 Q.ヒロインの魅力が出にくくなる罠やパターンがある…
テキスト -
小説新人賞の企画書アドバイス会。講師わかつきひかる先生。2024/8
作家わかつきひかる先生の小説講座 わかつきひかる先生は、ラノベや時代小説、官能小説など幅広…
動画 -
時代小説の新人賞を受賞。【エンタメノベルラボ】会員のインタビュー
2024年8月9日、エンタメノベルラボの文芸勉強会に参加されていた方で、時代小説の新人賞を…
テキスト -
小説新人賞の企画書、批評会。講師、作家わかつきひかる先生
作家わかつきひかる先生の小説講座 わかつきひかる先生は、ラノベや時代小説、官能小説など幅広…
動画 -
創作(小説執筆)の腕を上げるための最良の5つのサイクル
この記事の作者はプロのラノベ作家です。 小説は腕が上がっているのが実感し辛い、または腕を上…
テキスト -
ヒロインキャラを記号化させないためには?キャラクターの魅力の出し方
この記事の作者はプロのラノベ作家です。 Q.キャラクターの魅力の出し方について。 新作をノ…
テキスト -
大ヒットしやすいラノベ主人公の型について。善人性の強さ
この記事の作者はプロのラノベ作家です。 Q、無自覚無双系で大ヒットするためには、主人公の善…
テキスト -
ラノベで魅力的な仲間を書くコツとは?誰でも簡単にできる方法を紹介
この記事の作者はプロのラノベ作家です。 Q、質問なんですが、魅力的な仲間ってどう書けばいい…
テキスト -
ライトノベルの定義とは何でしょうか?プロ作家が回答します。
この記事の作者はプロのラノベ作家です。 Q、ライトノベルの定義とは何でしょうか?ネットサー…
テキスト -
初心者向け小説講座「三題噺で起承転結を覚えよう」作家わかつきひかる先生
作家わかつきひかる先生の小説講座 わかつきひかる先生は、ラノベや時代小説、官能小説など幅広…
動画
オンラインサロン情報
小説家オンラインサロン【エンタメノベルラボ】書籍化&新人賞受賞者多数!
サロン紹介
- 運営ツール
- DMMオンラインサロン専用コミュニティ