小説のセリフの書き方のコツ。解釈がひとつになるようにする

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小説のセリフの書き方のコツ。解釈がひとつになるようにする

この記事はプロのラノベ作家が監修しています。


Q.地の文では主語を入れることが重要ですが、セリフでは主語を抜かしてもいいですか?

例えばなのですが、地の文においては主語が抜けるのは誤読に繋がるので、多少不自然でも、主語は明確に入れた方が良いと考えているのですが。


セリフについては、キャラクターの感情や個性演出を優先して、主語を抜かしても良いと考えていますが、いかがでしょうか?


というのも、自分の作品がコミカライズされた際に、小説のセリフをそのまま漫画のキャラクターに喋らせると、主語が入っているために、不自然さやまどろっこしさが出ていたためです。


誤読を防ぐために、主語が明確に入っているのが良い文章だと考えていたのですが、セリフにおいてはこの考え方は逆にヤバくて、キャラクターの自然な言動を優先したほうが良いなと考えています。


おそらくキャラの言ってみる意味がわかるように工夫しつつ、感情表現の方を優先するくらいの感覚が良いと思うのですが、いかがでしょうか? 


A.読者目線で、主語を抜かしても文意が1通りに定まるなら抜いても問題ありません。

このあたりは地の文とセリフに関係なく、文意に複数通りの解釈が発生して、読者目線で分かりにくくなっていないかを気にすればOKです。


簡単な例では、例えばA君とB君が会話しているシーンで、


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「A君ってサッカー好き?」

「好きだよ。でも野球も好きかな」


 A君はB君の質問にそう答えた。

 幼い時から身体を動かすのが好きだった彼にとって、球技というのは特別な意味を持っている。


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上記のような文章は、悪文とされる文章です。


何故なら最後の文章の「彼」が、A君のことを言っているのか、B君のことを言っているのか確定できず、文章が複数通りの意味をもっているからです。


ただ上記のシーンを全てセリフで回すと、


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「A君ってサッカー好き?」

「好きだよ。でも野球も好きかな」

「何でそんなが球技全般が好きなの?」

「幼い時から身体を動かすのが好きだったから。球技には特別な意味があると思ってる」


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一例ですが、このような形になります。


そしてこの場合、最後のセリフ「幼い時から~」には主語がありません。


しかし、セリフの流れからこのセリフがA君のものであることは明らかなので、主語がなくても解釈が1通りに定まるため、わざわざ主語を書く必要がないのです。


しかしこれがもしA君B君ではなく、A君B君C君の3人の会話になった時は、悪文になります。


二人しかいない時は、主語が無いセリフでも「これはB君の質問に答えている人のセリフだからA君だな」と主語が確定できるのですが、三人になった瞬間「このセリフってA君のセリフ? C君のセリフ?」となってしまい、主語が特定できない悪文となってしまいます。


こういった場合は、セリフでも主語を入れる必要があります。


ただコミカライズでは、画がつくため3人以上の会話でも、セリフから主語を省いても文意が1通りに定まり、読者には混乱を与えない場合があります。


なのでコミカライズにおいてはより主語を省き、短いセリフでキャラの心情や個性を伝える方向に舵を切ることも問題ないと考えられます。


2024年1月8日に作成した記事


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