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270私大終了271不合格だったら272大きな声で273雪に邪魔され

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270私大終了271不合格だったら272大きな声で273雪に邪魔され
270話 私大受験前半戦終了
271話 不合格だったらすぐにやること
272話 大きな声で
273話 雪に合格を邪魔されてたまるか

270話 私大受験前半戦終了

東京は26年だか27年だかぶりの大雪がつづいて 
雪は東京とは思えないほどかなり深く残っていた。
一次は道路が雪や、雪で降り込められた車で閉鎖され
物流がストップし、日配品が届かずに、コンビニの棚がスカスカになるほどだった。
こんな光景は見たことがない。
雪かきになれていない東京の人たちは、
どうしていいかもわからずに、
ただ脇に寄せたり、まるでしなかったりを繰り返したので
車が通らない脇の方は、カチカチに固まって
晴れた日があっても溶けずに
歩行の妨げになっていた。
道を歩く人は、車道のほうまででて歩くしかないが
車をよけようにも氷の山があり、
またつるりと滑ったら車にひかれそうで、とても危険な状態だった。
そのままW大の受験日となった。
大学からは早めに発表があり、
試験開始時刻が90分繰り下げられていた。
電車は一応動いているようだったけど、
凍結によるポイント故障だの、
踏切内の車の立ち往生だので
いつと止まるともわからない不安定な運行だ。
少しでも早めに出発してアクシデントに備えるしかないだろう。
イチローは連日の大雪の中の受験でかなり疲れていたので、
少しでも体力を温存したかったのだろう。
早めの出発ついてブツブツ文句も言っていたが、
基本素直な子なので早めに家を出発していった。
私はイチローの出がけに
「心配だから着いたらメールしてね。」
と声をかける。すると
「・・・電池が切れそう。」
と、なんとも頼りない一言を残して立ち去って行く。
携帯の電池が切れたら、交通機関に閉じ込められた、とか
何かあったときに、連絡ができないじゃない。
もう・・・!本当に。
私もなんだか疲れ切っていた。
私が雪をかき分けて受験しているわけじゃないけれど
ヘトヘトだった。
それはおそらく体と言うよりも心の方だと思われた。
「はー・・・。精神的にめげる・・・。」
この言葉を心の中でつぶやくのが
年明けからこっち、私の常となっている。
どんなに精神的に辛くても、
体力的にしんどくても、
合格するのであればどうってことない。
・・・精神的にめげる・・・
こう思ってしまうのは受験が3年持つ付いていること。
そして、とれていると思った大学が2つ続けて不合格で、
志望大学の合格が全く見えないからだと思う。
元気がないときはよく点滴をしたりするけれど、
私は点滴を体ではなく心にして欲しい気分だった。
今、旅行とか、買い物とか、ライブとか、
どんな気晴らしをしたとしても、
元気になることはないだろう。
この根っこにある、大学受験という不安が解消されない限りは・・・。
W大に向かったイチローからは何の連絡も無かった。
順調にいったならもうとっくに到着している時間から
さらに1時間たっても
イチローから「着いた」というメールは送られてこなかった。
どこかで足止めを食っているのかしら?
都内の電車は運休になっているものもあり
予断を許さない状況だった。
試験開始時刻にはまだ余裕があるものの
電車が進まず、その不安から焦って、
受験前に疲れ果ててしまわないかが心配だった。
当初の到着予定よりは大幅に遅れた時間になって
やっと「着いた」とメールが入った。
後から聞いたことであるが、
イチローは急行電車が来たのに、
混んでいたのでそれには乗らず、
座れる各駅停車に乗って寝て行ったのだという。
しかももうちょっとで寝過ごして
乗換駅を過ぎてしまうところだったらしい。
・・・イチロー 
・・・余裕じゃんか。
・・・人の気も知らずに。
まあいい。順調に到着したのならそれで。
余裕があるならなお結構だ。
W大・・・。
ここは
激ムズの英語と、他大にはない化学がある。
イケメン先生が見てない科目が
イチローにできるはずは無いのだった。
だからね、頑張ってくれたらそれだけでいい・・・。
一旦は受験するのすら辞めようかと思った大学だ。
私に欲はなかった。
ただ、私大の理工学部狙いで二浪してきた
イチローにとって、
W大は大きな目標だっただのは確かなのだ。
この大学のためだけに、
文系のプラチカとか
京都大学の文系の数学の過去問とかをやってきたわけだから。
だからね、数学の腕試し、だけでもね。
こういうことを言うとイケメン先生に
「僕は合格の可能性の無い大学なら、最初から願書肌させません。と叱られるけどね。
日はとっぷりと暮れ、
繰り下げられた時間を考慮しても、
試験はとっくに終了している時分になった。
なのに、いつも必ず来る、
「帰る」
というメールはまだ来ない。
今日の昼間は日が照っていたので雪もだいぶとけており、
都内の足元はいくらか改善されているはずだった。
明日は試験もないし、
帰宅時間が遅くなっても、そう心配することは無いのだが、
夕飯を仕上げるタイミングもあるし、
今どのあたりにいるのだろうかと私はメールを送ってみた。
それから5分くらいだろうか。
微妙な時間をあけて 着信ライトが点滅した。
そこには
「馬場」
の二文字。
そしてまた5分くらいして
「夕飯要らない」
と、短いメールが入った。
なんでも、マサヒロと高田馬場でラーメンを
食べて帰ろうと言う話になったらしい。
あのね。
今日は終了時間も遅かったことだし、
ラーメン食べてきてもいいけどね。
ただね。
そういう報告はね。
早めにいただけませんかね?
イケメン先生は高田馬場のラーメン屋さんを
制覇したと言えるくらいのラーメン通だ。
愛弟子であるこの二人も
すっかりラーメン通と化していた。
きっと事前にイケメン先生から
おいしい店を聞いてきたに違いない。
今日のW大ですでに出願してあった私大受験は一段落。
あとは二人とも国立を残すのみだ。
だからなんとなく、
二人とも一息ついた感じがしたのだろう。
マサヒロは雪の影響を懸念して、
ビジネスホテルに前泊していた。
慣れない環境でちっとも眠れなかったらしい。
会場にたどり着けないよりはマシだけど
寝不足は大きな前泊のリスクだと思う。
これから次々に私大の発表がある。
それを見ながらまた出願する必要も出てくる。
去年はここからお試しレベル~本命まで
私大の出願をしなおしたのだった。
「ああ、また今年も、あんなことになるのだろうか・・・。」
とにかくイチローは
明日の発表をみて合格が出なければ
すぐに書類をそろえてS大のTキャンパスまで
2時間くらいかけて行き
持ち込み出願をする予定だった。
そして、センターでとれた滑り止めの大学にも、
入学金を収めちゃんとした押さえにしておく必要も出てくる。
決断と、手続きと、締切 という
緊張する毎日が始まろうとしていた。

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