WHOが推奨している認知症予防に重要な12項目

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WHOが推奨している認知症予防に重要な12項目

認知症は「防げる」時代へ

世界保健機関(WHO)の報告によると、2015年時点で世界の認知症患者数は4700万人に上り、2050年には1億3200万人にまで増加すると予測されています 。現在、世界では3秒に1人の割合で新しい認知症患者が発生している計算になります 。
こうした現状を受け、WHOは「認知症に対する公衆衛生上の対応に関するグローバル・アクション・プラン 2017-2025」を策定しました 。この計画において最も重要なメッセージの一つは、「認知症は加齢に伴う避けられない結果ではない」ということです 。近年の研究により、認知症の発症リスクは生活習慣の改善によって低減できることが科学的に証明されつつあります 。
本記事では、WHOが推奨する「認知症リスクを減らすための12の項目」を詳しく解説します。人生の後半戦を豊かに過ごすための「備え」として、ぜひお役立てください。

WHOが提唱する認知症リスク低減のための12項目

WHOは、認知症リスクを軽減するための具体的な対策として、以下の項目を挙げています 。これらは単なる健康習慣ではなく、脳の健康を維持するための「科学的な根拠に基づく戦略」です 。

1. 身体活動(運動習慣)

定期的な運動は、認知機能の低下を防ぐ最も強力な手段の一つです 。ウォーキングや水泳など、継続可能な有酸素運動が推奨されます。

2. 禁煙

喫煙は血管にダメージを与え、脳の血流を阻害します。どの年齢層であっても、禁煙は認知症リスクの低下に直結します 。

3. 栄養管理(バランスの取れた食事)

特定の食品に偏るのではなく、野菜、果物、全粒穀物、健康的な脂質をバランスよく摂取することが、脳の保護に役立ちます 。

4. アルコール摂取の制限

過度な飲酒は脳細胞に直接的な悪影響を及ぼします。有害なレベルの飲酒を避けることが、長期的な認知機能の維持には不可欠です 。

5. 認知的介入(脳トレ・生涯学習)

新しいことを学ぶ、趣味を持つ、あるいは認知機能訓練を行うことは、脳の「認知予備能」を高めるために有効です 。

 6. 社会的活動への参加

孤立は認知症の大きなリスク要因です 。友人との交流や地域活動への参加など、社会的なつながりを維持することが推奨されています 。

7. 体重管理

特に中年期(40〜50代)の肥満は、後の認知症発症リスクを高めることが指摘されています 。適切なBMIを維持することが重要です。

8. 高血圧の管理

中年期の高血圧は、血管性認知症だけでなくアルツハイマー型認知症のリスクも高めます 。血圧を正常範囲内に保つことは、脳の健康を守る基本です。

9. 糖尿病の管理

糖尿病による高血糖は脳血管を傷つけ、認知機能を低下させる要因となります。適切な食事と治療による血糖コントロールが必要です 。

10. 脂質異常症(コレステロール)の管理

コレステロール値の異常は動脈硬化を促進し、脳の血流を悪化させます。生活習慣病全般の管理が、認知症予防の鍵となります 。

11. うつ症状の改善

うつ症状は、認知症の初期症状であると同時に、リスク要因でもあります 。メンタルヘルスのケアは、認知機能を維持する上で極めて重要です 。

12. 難聴の対策

近年の研究により、難聴が認知症の重要なリスク因子であることが明らかになっています。聞き取りづらさを感じたら、早めに補聴器を利用するなどして、脳への刺激を絶やさないことが大切です。

なぜ「今」行動すべきなのか

早期発見の医学的意義

認知症は、症状が出る何年も前から脳内で変化が始まっています。WHOは「早期診断」を重要な目標として掲げており、世界中の認知症患者の少なくとも50%が適切に診断されることを2025年までのターゲットとしています 。早期にリスクを把握し、対策を講じることで、発症を遅らせたり、進行を緩やかにしたりすることが十分に可能です 。

将来を見据えた「権利の保護」

認知症の予防は、単なる健康問題に留まりません。自分の意思で物事を決定できる「自己決定権」を長く保つことは、将来の資産管理や生活環境の選択において極めて重要です 。WHOのアクションプランでも、本人の尊厳と権利を守るための法的・社会的基盤の整備が強調されています 。健康なうちから自身の認知機能の状態を把握しておくことは、家族を守り、自分らしい人生を最期まで全うするための「攻めのリスクマネジメント」と言えるでしょう。

おわりに

認知症予防は、一朝一夕で成し遂げられるものではありません。しかし、WHOが提唱するこれらの12項目を意識し、40代、50代の「中年期」から生活習慣を見直すことで、そのリスクは確実に低減できます 。
まずは、ご自身の現状を知ることから始めてみませんか?客観的なデータに基づいたスクリーニングや、同じ志を持つ仲間との情報交換を通じて、科学的根拠のある予防習慣を身につけていきましょう。早期の気づきと正しい知識こそが、あなたとご家族の未来を守る最大の武器となります。

参考文献

Global action plan on the public health response to dementia 2017-2025

著者:早川 直希

経歴・実績:大阪大学 老年・総合内科学

保有資格:内科専門医、神経内科専門医、医学博士

専門分野:認知症、老年医学、脳神経内科学


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