小説の執筆速度の上げ方。質を保ちながら作品を量産するための考え方

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小説の執筆速度の上げ方。質を保ちながら作品を量産するための考え方

この記事の作者はプロのラノベ作家です。


結論としては、クオリティを保ちつつ執筆速度を上げるためには、「このシーンでどんな一連の動作を書かなければいけないか」ではなく、「このシーンで一体読者にどのようなニュアンスを伝えなければいけないか」ということを事前によく計画して、意識しながら書くということが大切なのかなと思います。


例えば具体例として、作中でカレーを作るために、にんじんとじゃがいもを台所で切っているシーンを書かなければいけなかったとします。

この時書き方は色々あって、


①「5割引で買ってきたにんじんとじゃがいもをまな板の上に乗せて、100均で買ってきたピーラーで皮を剥く。カレーは貧乏人にとっての救世主だなんて思いながら、お湯が沸騰した小さな鍋に切った食材を一気に投入する」


②「新鮮な野菜を見ていると、幸せな気持ちになる。水洗いしたにんじんとじゃがいもはまな板の上でキラキラと光を反射して、私はそれを一口大の大きさにトントンと切っていく。野菜が切れる時の音はとても気持ちよくて好きだ」


③「私は包丁をじっと見つめる。鈍色に光るその刃物は普通の包丁より少し長くて、私はまな板の上に乗せたじゃがいもを力を込めてがっと一刀両断した。じゃがいもの歪な球形が、赤ちゃんの顔の形によく似ている。なんて思いながら、切ったそれを湯だったカレー鍋にぼちゃぼちゃと落とす」


↑あくまで例というだけですが、上記のような書き方が例としてはあり得ます。


この①~③の文章は、それぞれニュアンスが全く異なります。


①は貧乏学生の一生活を想像させますし、②は幸せな生活を送っている若い主婦を思わせるようなニュアンスです。また③は、このカレーを作る人物が殺人衝動を持っているのではないかと予感させるようなヤバさがあります。


しかしここでポイントとなるのは、①~③の全てが、「このシーンでどんな一連の動作を書かなければいけないか」という点においては、「じゃがいもとにんじんを切って、これからカレーを作ろうとしているという動作」という点で全く変わらないという点です。


つまり逆に考えると、もしカレーをこれから作るシーンを書かなければいけないという状況において、「このシーンでどんな一連の動作を書かなければいけないか」だけを考えていると、筆が止まって結果的に執筆スピードが遅くなります。


何故なら「カレーを作るという動作を書く」とだけ決めていても、その動作を通じて一体どんなニュアンスを読者に伝えたいのかが著者本人がよく分かっていないからです。

(逆に、例えばもし主人公の幸せな感じを描きたいなあというニュアンスが定まっていれば、「みずみずしさ」「水のきらめき」「光」「心地のよい音」など、そのカレーを作るシーンの中からどういった要素をピックアップすればよいのかが見えてきて、手が止まる回数が少なくなります。)


なので結論として、物語を書くときにはどんな動作を書くかではなく、その動作を通じて読者に今伝えたいニュアンスは何かを意識するということが、結果的に質を保つつ執筆速度をあげることに繋がると思います。


上記①~③の例はそれぞれ極端にニュアンスが違うので文章を取捨選択しやすいです。


しかし、実際にはほんの僅かなニュアンスの違いしかもたない文章の中からどれがふさわしいかという事を考える事になるので、よりその「書きたいニュアンスは何か」というところに焦点をあてられるとよいのかなと思います。


2023年10月26日に作成した記事


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