書籍化される小説の特徴とは、テンプレに沿った上でキャラが魅力的な事
テキスト
- 内容
- ライブラリ
この記事の作者はプロのラノベ作家です。
小説には作者の個性──オリジナリティが一番大事であると言われます。
しかし、ここで問題になるのが、
「売れるためにはテンプレートが大事と言われるライトノベル界で、テンプレートとは対極的存在にある"個性"を大事にしろとは一体どういうことなのか」ということです。
結論から述べると、小説家が「個性」を発揮すべきはキャラクターです。
この理由は、ライトノベル執筆においては「他作品の優秀なテンプレート構成を徹底的にマネる」&「そこからちょっとずらす」という2点が重要であるからという事によります。
「他作品の優秀なテンプレート」とは、特になろう系で重要視されていますが「この展開をやったら受けることが多い」という型にはまった展開のことです。
「ギルドを追放された主人公は別の居場所で才能を認められ、そのころ一方元居たギルドは主人公を失ったせいで破滅に追いやられている」「婚約破棄された令嬢が、別のもっと優れた男性貴族に見定められて幸せになっていく」的なものが、大枠での代表的なテンプレートだと思います。
その他なろう系でなくとも、「難病にかかったヒロインの寿命が残り〇か月で、主人公がそのヒロインの最後の夢を残り〇か月で叶えるために奔走する」「他の男子生徒には一切見向きもしない超絶美少女が、何故か主人公である自分だけには惚れてしまった」といったものもテンプレートです。
このテンプレートの面では、個性を発揮することをあまりお勧めしません。
何故ならば面白い展開というのは種類が限られていて、大体どの展開も先人の作家によって発見されているものだからです。
ここで個性を発揮して「今までにないような面白い個性的な展開を考えてやる!」ということをすると、全く面白くなくなるか、かなり面白くなったが結果的に過去の人気作品の展開とほとんど同じになったという2通りのどちらかに落ち着くことがほとんどです。
であれば、最初からテンプレートに関してはすでに人気なものを取り入れた方が近道です。
これが、「他作品の優秀なテンプレート構成を徹底的にマネた方がいい」理由です。
ここまで話すとよく「それではすべての作品がほとんど似通った作品になってしまうのではないか」という質問を頂くことが多いです。
しかし、「キャラクターさえ個性的で魅力的であれば、過去作品と構図が全く一緒でも斬新な新しい作品に読者には見える」という現象が起きるので問題がありません。
何故ならば、(誤解を恐れず言えば、)その作品の面白さがテンプレ的な構成により演出されたものであったとしても、読者はその作品の面白さが「キャラクター性により演出された」と勘違いすることが多いからです。
極端な例ですが、アンパンマン等が一番分かりやすいかもしれません。
脚本上ではアンパンマンがカッコよく見えるようにアンパンマンが倒すべき敵が設置され、その敵をアンパンチで殴った時に気持ちよくなるようにその敵に脚本前半部で悪事を働かせます。
そして一瞬顔が濡れた的な危機をアンパンマン側に作るのですが、それを乗り越えてアンパンマンが敵をかっこよく倒してアンパンマンがかっこよく物語を締めるというテンプレ脚本を作ります。
この時、この物語が面白くなっている理由は間違いなく「脚本がうまくできているから」という事になります。
しかしこの物語を見た子供たちに『このお話はどうして面白かったんだと思う?』と聞いたら100人中99人は「アンパンマンがかっこよかったから」と言います。
つまり、本当に面白さを演出している立役者は「脚本」なのに、その面白さが「アンパンマンのかっこよさ」に由来するものだと勘違いします。
また別の例えをすれば、『皆うなぎはおいしいっていうけど、おいしいのってタレの方なんじゃないの』的な話にも近いと思います。
食感等は除き、味覚的なおいしさを醸し出しているのは「うなぎのタレ」の方なのに、人々はうなぎを食べて「うなぎが美味しい」と言っている的なイメージです。
なので、「他作品の優秀なテンプレート構成を徹底的にマネる」をした上で、「そこからちょっとずらす」の部分でキャラクターをとにかく個性的にすることが、いわゆる『作品で個性を発揮する』手段として最適解だと個人的には考えています。
「面白いあるあるのテンプレート」×「魅力的で新しいキャラクター」が、斬新で非常に面白い作品を生む可能性が高いです。
プロ作家を目指す方にはテンプレートの研究と、キャラクターの魅力的を引き出す研究を同時並行で行うことをオススします。
(肉料理で言えば、テンプレがタレ。キャラが肉です)
キャラクターを個性的にする方法ですが、
ちょっと珍しい食べ物が好き、変なこだわりがある、特定の口癖をはく、……等と、結構簡単な設定1つでキャラクターは意外と個性的になったりします。
または「そのキャラクターは何に怒りを感じることが多いか」といった部分をキャラクター作りの時に意識すると、これもキャラクターの個性が立つことが多いです。
2023年10月18日に作成した記事
エンタメノベルラボに入会するとより高度な情報が閲覧できます
ぜひ入会してください!
フォローしたサロンの情報を、ご登録のメールアドレスにお届けします。
サロンをフォローする
-
ラノベにおける地の文の役割とは何?小説の本質的なおもしろさとは?
この記事の作者はプロのラノベ作家です。 小説の地の文の一番の役割は「読者からキャラクター(…
テキスト
-
読者に好かれるラノベ主人公キャラの3つの条件。初心者向け小説講座
この記事の作者はプロのラノベ作家です。 読者は、魅力のある主人公キャラを好きになるし求めて…
テキスト
-
ラノベ作家が教える小説のバトルシーンの書き方5つのコツ。初心者向け
この記事の作者はプロのライトノベル作家です。 バトルシーンで一番重要なのはわかりやさ。読者…
テキスト
-
プロ作家志望は一つの小説ジャンルを書くべき?多様なジャンルを書くべき?
プロのラノベ作家が作家志望の質問にお答えします。 ○質問 ・プロ作家を目指すな…
テキスト
-
タイムリープ物のテンプレ。ラノベ作家が教える小説の書き方
この記事の作者はプロのラノベ作家です。 タイムリープは、数ある小説テンプレの中でも強力なテ…
テキスト
-
プロ作家と小説の批評がし合えるサロン。夏目漱石の木曜会のような場所
小説の質を上げるのに一番良いのは、信頼できる他人から意見やアイディアをもらうことです。 ア…
テキスト
-
Web小説が書籍化されやすくなる3つの考え方。試行回数と回復と分析
この記事の作者はプロのライトノベル作家です。 今回はWeb小説が書籍化されやすくなる3つの…
テキスト
-
長編小説ストーリーの書き方。20万字以降の展開はどう書けば良い?
この記事の作者はプロのライトノベル作家です。 プロ作家デビューした人の悩みで一番多いのが、…
テキスト
-
「望みを叶える魔法の道具」作家わかつきひかる先生の小説講座
作家わかつきひかる先生の小説講座 わかつきひかる先生は、ラノベや時代小説、官能小説など幅広…
動画
-
女性向け小説新人賞の受賞、書籍化決定。ラボメンバーのインタビュー
2023年10月4日、エンタメノベルラボで女性向け小説新人賞を受賞、書籍化したメンバーが現…
テキスト
-
小説家として成功するには自分の武器に気づくこと。才能を覚醒させる方法
この記事の作者はプロのライトノベル作家です 小説家の才能とは最初からあるモノではなく、努力…
テキスト
-
ページを捲る原動力。アハ体験によって小説の中だるみを突破する方法
このミス大賞受賞作家:梶永正史先生による講座 謎の提示と解決によって発生するアハ体験によっ…
動画
-
小説の書き方。初心者が犯しがちなミスの代表格とは?序盤の設定渋滞の解決
小説家サロン「エンタメノベルラボ」を主催して、5年以上、いろんな方の小説を批評させていただ…
テキスト
-
小説家になろうからコミカライズ。ラボメンバーのインタビュー
2023年9月20日、エンタメノベルラボで、「小説家になろう」から小説のコミカライズが決定…
テキスト
-
漫画、アニメとラノベ(Web小説)の最大の違いとは?小説のジャンル特性
この記事の作者はプロのライトノベル作家です。 「小説は主人公に自己投影して楽しむメディアで…
テキスト
-
キャラクター文芸の書き方講座「第5回、文体・レーベルについて」
キャラ文芸の文体・レーベルについて 5回に分けて行われるキャラ文芸講座の第5回です。 プロ…
動画
-
物語の鉄則。主人公キャラは善人であるべき。ヘイトコントロール
この記事の作者はプロのライトノベル作家です。 物語をおもしろくする秘訣はヘイトコントロール…
テキスト
-
web小説の文章の書き方。なろう、カクヨムで読まれる4つのコツ
この記事の作者は、なろう、カクヨムから複数回の書籍化、コミカライズ経験のあるプロ作家です。…
テキスト
-
小説家志望が最初に目指すべき目標「10万字以上書いて完結させること」
この記事の作者はプロのライトノベル作家です。 小説家志望が最初に目指すべきは目標は、10万…
テキスト
-
小説初心者向け、ストーリーの作り方の秘訣。一番重要なのはログライン
この記事の作者は、プロのライトノベル作家です。 ストーリーで一番重要なのはログライン ログ…
テキスト
オンラインサロン情報
小説家オンラインサロン【エンタメノベルラボ】書籍化&新人賞受賞者多数!
サロン紹介
- 運営ツール
- DMMオンラインサロン専用コミュニティ