書籍化される小説の特徴とは、テンプレに沿った上でキャラが魅力的な事
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この記事の作者はプロのラノベ作家です。
小説には作者の個性──オリジナリティが一番大事であると言われます。
しかし、ここで問題になるのが、
「売れるためにはテンプレートが大事と言われるライトノベル界で、テンプレートとは対極的存在にある"個性"を大事にしろとは一体どういうことなのか」ということです。
結論から述べると、小説家が「個性」を発揮すべきはキャラクターです。
この理由は、ライトノベル執筆においては「他作品の優秀なテンプレート構成を徹底的にマネる」&「そこからちょっとずらす」という2点が重要であるからという事によります。
「他作品の優秀なテンプレート」とは、特になろう系で重要視されていますが「この展開をやったら受けることが多い」という型にはまった展開のことです。
「ギルドを追放された主人公は別の居場所で才能を認められ、そのころ一方元居たギルドは主人公を失ったせいで破滅に追いやられている」「婚約破棄された令嬢が、別のもっと優れた男性貴族に見定められて幸せになっていく」的なものが、大枠での代表的なテンプレートだと思います。
その他なろう系でなくとも、「難病にかかったヒロインの寿命が残り〇か月で、主人公がそのヒロインの最後の夢を残り〇か月で叶えるために奔走する」「他の男子生徒には一切見向きもしない超絶美少女が、何故か主人公である自分だけには惚れてしまった」といったものもテンプレートです。
このテンプレートの面では、個性を発揮することをあまりお勧めしません。
何故ならば面白い展開というのは種類が限られていて、大体どの展開も先人の作家によって発見されているものだからです。
ここで個性を発揮して「今までにないような面白い個性的な展開を考えてやる!」ということをすると、全く面白くなくなるか、かなり面白くなったが結果的に過去の人気作品の展開とほとんど同じになったという2通りのどちらかに落ち着くことがほとんどです。
であれば、最初からテンプレートに関してはすでに人気なものを取り入れた方が近道です。
これが、「他作品の優秀なテンプレート構成を徹底的にマネた方がいい」理由です。
ここまで話すとよく「それではすべての作品がほとんど似通った作品になってしまうのではないか」という質問を頂くことが多いです。
しかし、「キャラクターさえ個性的で魅力的であれば、過去作品と構図が全く一緒でも斬新な新しい作品に読者には見える」という現象が起きるので問題がありません。
何故ならば、(誤解を恐れず言えば、)その作品の面白さがテンプレ的な構成により演出されたものであったとしても、読者はその作品の面白さが「キャラクター性により演出された」と勘違いすることが多いからです。
極端な例ですが、アンパンマン等が一番分かりやすいかもしれません。
脚本上ではアンパンマンがカッコよく見えるようにアンパンマンが倒すべき敵が設置され、その敵をアンパンチで殴った時に気持ちよくなるようにその敵に脚本前半部で悪事を働かせます。
そして一瞬顔が濡れた的な危機をアンパンマン側に作るのですが、それを乗り越えてアンパンマンが敵をかっこよく倒してアンパンマンがかっこよく物語を締めるというテンプレ脚本を作ります。
この時、この物語が面白くなっている理由は間違いなく「脚本がうまくできているから」という事になります。
しかしこの物語を見た子供たちに『このお話はどうして面白かったんだと思う?』と聞いたら100人中99人は「アンパンマンがかっこよかったから」と言います。
つまり、本当に面白さを演出している立役者は「脚本」なのに、その面白さが「アンパンマンのかっこよさ」に由来するものだと勘違いします。
また別の例えをすれば、『皆うなぎはおいしいっていうけど、おいしいのってタレの方なんじゃないの』的な話にも近いと思います。
食感等は除き、味覚的なおいしさを醸し出しているのは「うなぎのタレ」の方なのに、人々はうなぎを食べて「うなぎが美味しい」と言っている的なイメージです。
なので、「他作品の優秀なテンプレート構成を徹底的にマネる」をした上で、「そこからちょっとずらす」の部分でキャラクターをとにかく個性的にすることが、いわゆる『作品で個性を発揮する』手段として最適解だと個人的には考えています。
「面白いあるあるのテンプレート」×「魅力的で新しいキャラクター」が、斬新で非常に面白い作品を生む可能性が高いです。
プロ作家を目指す方にはテンプレートの研究と、キャラクターの魅力的を引き出す研究を同時並行で行うことをオススします。
(肉料理で言えば、テンプレがタレ。キャラが肉です)
キャラクターを個性的にする方法ですが、
ちょっと珍しい食べ物が好き、変なこだわりがある、特定の口癖をはく、……等と、結構簡単な設定1つでキャラクターは意外と個性的になったりします。
または「そのキャラクターは何に怒りを感じることが多いか」といった部分をキャラクター作りの時に意識すると、これもキャラクターの個性が立つことが多いです。
2023年10月18日に作成した記事
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