カクヨムで受賞・書籍化を目指すWeb小説の書き方【3つのポイント】

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カクヨムで受賞・書籍化を目指すWeb小説の書き方【3つのポイント】

カクヨムで小説を投稿しているけれど、なかなか読者が増えない。


書籍化を目指して人気のあるテンプレを取り入れてみたものの、思ったように面白くならない。


そんな悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。


こんにちは。創作者向けコミュニティ「エンタメノベルラボ」を運営している、うっぴーです。
私はカクヨムから、これまで複数の作品で書籍化やコミカライズを経験してきました。


今回は、カクヨムで読者を獲得し、コンテストでの受賞や書籍化を目指すうえで、私が重視している3つのポイントを紹介します。


これを実践すれば必ず人気が出る、受賞できる、という必勝法ではありません。
私自身の作家としての経験や、人気作品の分析を通して整理してきた考え方です。


特に男性向けの異世界ファンタジーを念頭に置いていますが、ほかのジャンルにも応用できる部分があると思います。


1.タイトルとあらすじで「どんな楽しさがあるか」を伝える

まず大切なのは、読者に「この作品を読むと、どんな楽しさが味わえるのか」を伝えることです。


私は、小説そのものの完成度と、その面白さが読者に伝わるかどうかは、別の問題だと考えています。


どれほど後半が面白くても、そこまで読んでもらえなければ、その良さは伝わりません。


そこで重要になるのが、タイトルやあらすじです。
たとえば、読者が求めているのは、謎解きの楽しさでしょうか。恋愛のときめきでしょうか。それとも、不遇な主人公が実力を認められ、周囲を見返していく爽快感でしょうか。


読者が作品に求める楽しさは、それぞれ違います。


そして読者が求めている楽しさを、わかりやすく伝えるために役立つのが、いわゆる「テンプレ」や「お約束」です。


私はテンプレを、単に決まった展開をなぞるためのものではなく、読者と楽しさのイメージを共有するためのものだと考えています。


ただし、「追放」「最強」といった人気のキーワードを入れるだけでは、ほかの作品との違いが見えません。
そこで、読者になじみのある楽しさに、その作品ならではの工夫を加えます。


たとえば、こんな話を考えてみましょう。


「追放された魔獣使いが、別の場所で認められる話」


これだけでも、主人公が周囲を見返す楽しさや、新しい居場所を得る喜びが想像できます。
では、そこに少し工夫を加えてみます。


魔獣を奴隷のように扱う冒険者ギルドを追放された魔獣使いがいる。
しかし、主人公は魔獣たちを道具として扱わず、大切な仲間として接してきた。
そのおかげで魔獣たちは本来の力を発揮できるようになり、主人公は彼らと協力して人々を救っていく。


こうすると、単なる追放ものではなく、主人公がどんな人物で、どんな活躍をするのかが具体的に見えてきます。
もちろん、この設定なら必ず人気が出る、という意味ではありません。


大切なのは、読者が期待する楽しさに、その作品ならではの魅力を加えることです。


これは、自分の書きたいものを捨てて、流行に合わせろという話ではありません。


むしろ、自分の書きたいものの中から、読者が面白いと思ってくれそうな部分を見つけて、それを入口で伝えるという考え方です。


また、タイトルやあらすじで伝えた楽しさは、本文でも大切にする必要があります。


魔獣との心温まる交流を期待して読み始めたのに、肝心の魔獣との交流がほとんど描かれず、戦争の情勢説明ばかりが続いていたら、読者は戸惑ってしまいます。


途中で物語が大きく展開すること自体は問題ありません。


ただ、「読者は何を楽しみに、この作品を読み始めたのか」という視点は、忘れないようにしたいところです。


2.主人公を応援したくなる理由を作る

2つ目は、読者が主人公を応援したくなる理由を作ることです。


テンプレを使っているのに、どうも面白くならない。


そんなとき、私はキャラクターの行動理由を確認します。


作者がやりたい展開を優先するあまり、キャラクターが不自然な行動を取っていないでしょうか。


たとえば、普段は用心深い主人公が、何の準備もなく危険な場所に飛び込む展開があったとします。
もちろん、慎重な主人公が危険を冒す展開自体は問題ありません。


ただし、普段の慎重さを上回るだけの理由が必要です。


目の前に、かつて自分を助けてくれた人がいる。今すぐ動かなければ、その人が死んでしまう。


あるいは、危険は承知のうえで、準備してきた方法なら助けられると判断している。


こうした理由があれば、読者も「だから、この主人公は危険を冒してでも助けに行くんだな」と理解できます。


先ほどの魔獣使いの例でも考えてみましょう。


追放された主人公が新しい町にたどり着き、その町を守るために命がけで戦うとします。


ここで、いきなり「町のみんなのために命をかける!」と宣言されても、なぜそこまでするのか、読者には十分に伝わらないかもしれません。


では、主人公が追放されて行き場を失っていたとき、町の人々が温かく迎え入れてくれたらどうでしょうか。


お金のない主人公に食事を分けてくれたり、寝る場所を用意してくれたりした。
そんな恩人たちが暮らす町に、凶悪な魔獣の群れが迫っている。


ここで主人公が「今度は自分がみんなを助けたい」と立ち上がれば、戦う理由が生まれます。


同じバトルでも、読者の受け取り方は変わってくるはずです。


私はバトルや逆転劇を盛り上げる際、技の派手さや敵の強さだけでなく、「なぜ、この主人公に勝ってほしいのか」を先に作ることを重視しています。


主人公が守ろうとしている相手には、どんな魅力があるのか。
主人公と相手の間に、どんな関係があるのか。
勝てば何を守れて、負ければ何を失ってしまうのか。


こうした部分が描かれていると、読者は主人公の勝利を願いやすくなります。
そして、主人公が勝ったときの爽快感も大きくなると思います。


もちろん、主人公を必ず善人にしなければならない、という意味ではありません。
悪人が主人公の作品でも、その人物なりの感情や判断が理解できれば、読者は行動を追いやすくなります。


主人公の考え方を理解することと、その考え方に全面的に賛成することは別です。


また、Web小説ではテンポの良さが重視されますが、説明を減らすことと、必要な動機まで削ることは違います。


長い独白を入れなくても、短い会話や一つの行動で、主人公の気持ちを伝えられる場合があります。
原稿を見直すときには、


「なぜ、この主人公は今、こんな行動を取るのか?」
「考えが変わったなら、何がきっかけだったのか?」


と確認してみてください。


展開を成立させるだけでなく、主人公の感情と行動をつなげる。
その積み重ねが、主人公を応援したいという読者の気持ちにつながると考えています。


3.小さな満足と「続きを読む期待」を両方作る

3つ目は、読者に続きを読みたいと思ってもらうことです。


カクヨムのように1話ずつ公開していくWeb小説では、第1話を読んだ人に第2話も読んでもらえるかどうかが重要になります。
私は第1話を確認するとき、世界観や設定がすべて説明されているかどうかよりも、まず次のことを見ます。


主人公は今、どんな状況にいるのか。何をしたいのか。そして、この先にどんな楽しさがありそうか。


この3つが読者に伝わっているかどうかです。


独自の世界観や設定は、作品の魅力になります。
しかし、最初から大量の設定を説明すると、肝心の主人公が何をしている話なのか、わかりにくくなってしまうことがあります。


まずは目の前の出来事を理解するのに必要な情報を伝え、ほかの設定は必要になったときに説明してもよいと思います。


そして、続きを読みたくなる展開を作るうえで、私が意識しているのは、単に危機を作るだけではなく、「次に見たいもの」を用意することです。


たとえば、先ほどの魔獣使いの第1話を考えてみます。


主人公は町で暴れている魔獣に遭遇します。
魔獣を倒すのではなく、魔獣の習性を利用して落ち着かせ、住民の安全を確保する。


さらに、魔獣も殺さずに助けることができた。
これによって、主人公が優れた能力を持っていることや、魔獣に対して優しい人物であることが伝わります。


また、主人公が活躍して事件を解決したことで、読者にも一度、満足感を味わってもらえます。


そのうえで、町全体が凶悪な魔獣の群れによって危機的な状況にあると判明する。
町の人々は絶望していますが、魔獣の特性をよく知る主人公だけは、解決策に気づきます。


そこで第1話を終える。


こうすると、読者は「この魔獣使いは、どうやって町を救うのだろう?」と、次の展開を楽しみにしやすくなります。


ここで重要なのは、第1話の中で主人公の活躍を見せ、小さくても一度は読者を満足させていることです。


続きを気にしてもらおうとするあまり、危機を次々に起こすだけで何も解決しないと、読者には引き延ばしに見えてしまう場合があります。


また、逆転劇の爽快感を楽しませる作品なら、主人公がピンチに陥ったときにも、状況をひっくり返せそうな材料を用意しておくとよいと思います。


以前に見せた技術が使えそうだ。
主人公には、まだ見せていない技や準備してきた道具がある。
過去に助けた仲間が、ここで力を貸してくれるかもしれない。


こうした材料があれば、読者は主人公の危機を見ながらも、どうやって切り抜けるのかを楽しめます。


逆に、主人公がただ一方的に苦しめられる展開が続くと、読者にとってはストレスばかりがたまる時間になりかねません。


もちろん、ホラーやサスペンスのように、不安そのものを楽しませるジャンルでは事情が違います。
すべての作品を安心して読める話にする必要はありません。


大切なのは、その作品で読者が期待している楽しさに合わせて、展開を作ることです。


私は各話の終わりを確認するとき、


「ここまで読んで、読者は何を楽しめただろうか?」
「この先、読者は何を見たいと思うだろうか?」


と考えるようにしています。


読者に満足してもらうことと、続きを読む期待を作ること。
この両方を意識すると、各話の構成も考えやすくなると思います。


まとめ|カクヨムで受賞・書籍化を目指すなら、読者の楽しさを意識しよう

今回は、カクヨムで読者を獲得し、受賞や書籍化を目指すために意識したい3つのポイントを紹介しました。


1つ目は、タイトルやあらすじの段階で、どんな楽しさを味わえる作品なのかを伝えること。


2つ目は、主人公の感情と行動をつなげて、読者が応援したくなる理由を作ること。


3つ目は、小さな満足を届けながら、その先に続きを読む期待を用意することです。


コンテストの受賞や書籍化には、作品の完成度や企画の魅力、各レーベルとの相性なども関わるため、読者人気だけで決まるわけではありません。
ただ、読者に楽しんでもらえる作品を作ることは、受賞や書籍化を目指すうえで重要な土台になると考えています。

自分の作品を読み返すときには、

「これは、何を楽しむ話なのか?」
「この主人公を応援したいと思えるか?」
「続きでは、何を見たいと思えるか?」


この3つを確認してみてください。
自作の推敲だけでなく、カクヨムの人気作品を分析するときにも役立つと思います。


書籍化やコンテスト受賞を目指して執筆している方の、少しでも参考になれば嬉しいです。


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執筆:うっぴー(エンタメノベルラボ主催)。2026年10月16日


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